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[2010年6月28日:掲載]
業務提供誘引販売取引を認めないタレント・モデル事務所
タレント・モデルの登録後にキャンセルを申し出たところレッスン料や撮影料の返金に応じない業者の事例を紹介する。
相談内容
タレントのオーディションに合格し、必要経費を払って登録した。その際、登録期間は1年間、支払った費用について返金しないという契約書面にサインをした。
ネットの掲示板で業者から仕事がもらえないなどの書き込みを見て不安になり、キャンセルしたところ、写真撮影のキャンセル料3万円を請求された。レッスン料の返金には応じないという書面を交わしているので返金は求めないが、撮影のキャンセル料を支払わなくてはならないか。また、業者に自分の個人情報が渡っているのが心配だ。
(20歳代 男性 給与生活者)
結果概要
国民生活センター(以下、当センター)は相談者から送付された書面を確認したところ、本件は特定商取引法の業務提供誘引販売取引の要件を満たすと思われること、法定書面の不交付が確認できたので、クーリング・オフによる全額返金の申し出ができることなどを相談者に説明した。
その後、相談者から「登録を取りやめたい」「個人情報の削除を求めたい、できれば返金を希望する」という内容の手紙を業者に送付した。
これに対して、業者から相談者に、すでに支払ったレッスン料は返金できないが登録の延期なら可能、撮影キャンセル料3万円は別途スタジオに直接支払うよう連絡があり、解約を拒否されたうえ、追加支払いの要求があった。
当センターが業者に対し契約の内容について確認を行ったところ、次のことが分かった。
- レッスンは必ず受ける。まず写真撮影をしてプロフィール作成後、レッスンをいくつか受ければ登録可能。残りのレッスンは仕事と同時進行で受講可。
- 仕事の配分は男女別、年齢別や希望などその人に合わせた内容を選んでメールにより配信する。 仕事の依頼は毎日あり、最低限の収入は新人でも大丈夫。実際に本業のある人でも都合のよい日を選んで仕事をしている。以上が、説明の内容であった。
上記の説明では、レッスン料の負担が必須であり、仕事によるギャラを示して相談者を誘引している。このことから、特定商取引法の業務提供誘引販売取引に該当すると考えられ、法定書面が渡されていないことから、当センターは、クーリング・オフによる全額返金を業者に求めた。
これに対し、業者は、「法律のことは知らない」「そんな言葉は聞いたこともない」「レッスン料はレッスン所に渡してしまった」などと反論し返金に応じようとしなかった。
再度、法律の定義に該当する取引を行うのであれば法を守らなければならないと、クーリング・オフにより全額(レッスン料と撮影キャンセル料)の返金を求めたところ、業者は、「検討する」と回答した。
翌日、業者より、「業務提供誘引販売取引とは認めないがレッスン料は未受講を理由に全額返金する、写真撮影キャンセル料は相談者が直接スタジオに払ったため返金できない」と連絡があった。
相談者が早期解決を望み、この条件を受け入れたいとの意向だったので、レッスン料の返金と相談者の個人情報を今後所有しない旨の合意書を交わし、後日相談者の口座に返金されたことを確認した。
問題点
本事例は、業者が業務提供誘引販売を認めないままレッスンの未受講を理由に返金に至ったものである。
タレント・モデル事務所に関する相談においては、業務提供誘引販売に当たらない事例も多いが、本事例は業務提供誘引販売に該当するケースであった。
なお、写真撮影のキャンセル料については、スタジオと業者が同じ経営グループであるなど一体ということが判明すればキャンセル料の返金を求めることも可能と思われる。
ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。




