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[2009年10月28日:掲載]

絵画の展示場で長時間拘束のうえ締結させられた版画の契約

友人を待つ間、同じビル内の展示会場で絵画を鑑賞していたら長時間執拗(しつよう)な勧誘を受け高額な版画を契約させられた事例を紹介する。


相談内容

 駅ビル内を歩いていると、自分の好きな画家の展示会をやっていたので見に行った。展示会場は区切られた場所で入りづらい雰囲気だった。絵を見ていると、男性販売員に、どの絵が一番好きか聞かれ答えた。その版画は2枚並んで掛けてあったので2枚一組と思っていた。その後、会場奥で金額の話をされ、「絵を見に来ただけなので」と何度言っても、話を変えられ、帰りたい一心で2枚、約100万円で契約してしまった。このとき、2枚は別々の値段で1枚でも買えると知った。ローン契約についてはすべて言われるままに書き、信販会社から電話があるので明日来るよう言われた。会場を出た時は23時頃で約3時間経過していた。

 翌日、同じ担当者から呼び出されて喫茶店に案内され、信販会社からの電話に対し、担当者に指示されたとおりの返事をした。そして帰り際に何度も「クーリング・オフしないように」と言われた。

 契約後、版画が届くまでの約3カ月の間に、担当者から展示会の誘いが来て、母親と出向いたところ、同様の勧誘を受け、断り切れず契約してしまった。3枚目は与信が通らず、母親のクレジットカードで契約した。支払いが困難になり、解約したい。

(20歳代 女性 無職)



処理結果

 契約書を確認したところ、クレジット契約は信販会社2社(以下、A社、B社)にまたがっていることが分かった。

 相談者は、販売会社と各信販会社に契約の経緯を記した手紙を送付したが、販売会社は契約して1年たっていることなどを理由に解約を認めず、また信販会社の1社が、支払い請求を再開すると通告してきた。そこで、国民生活センター(以下、当センター)へ相談が寄せられ、当センターで処理をすることになった。

 当センターは信販会社から次のように聞き取りを行った。

 A社によると、販売会社との加盟店契約は、今は打ち切っている。一つの契約を2社に分けることは与信の基準が変わってくるのでよくない。他社と契約したことは聞いておらず、与信が通らないために分けたとしたら問題である、とのことだった。

 B社からは、販売会社とは1年前から新規取引はしていない、とのこと。契約者の意向を無視して一方的に請求再開することはしないが、加盟店として問題がない以上、ずっと請求を止めておくわけにはいかない。通常、相談者の年収であれば、100万円の与信契約はしない、との回答を得た。また、契約確認の電話は、販売会社所有の携帯電話に入電していたことが判明した。

 当センターが展示会場のあった駅ビルを調べたところ、同展示会は4日間、10時〜20時までで、最終日は18時であった。一番遅い階でも22時までの営業であり、それ以降客がいることはあまりないとのことであった。

 そこで、当センターより、販売会社に以下の点について指摘した。

  • 展示会場が20時までとなっているのに23時近くまで帰らせない状況は、長時間拘束といえる。また、自由に出入りできる会場ではなかった。
  • 信販会社からの確認の電話が相談者ではなく、会場外の喫茶店にいた販売担当者の携帯に入っていることは、確認の方法として不適切である。
  • 信販会社2社とも、もしどちらか一社だけで与信の申し込みをしていれば、過剰与信として断ったケースと認めている。
  • 4カ月のうちに3枚の絵を販売したことは過量販売に当たる。

 これらの点を指摘したところ、販売会社は正当な販売行為であると反論してきた。当センターは、3枚目について、与信が通らないので、母親名義のクレジットカードで決済したことは契約の強要に当たると主張したが、販売会社は認めなかった。しかし、既払い金を放棄するなら解約の方向で検討したいと販売会社から提示があり、最終的に相談者は既払い金を放棄し、契約を解除した。最初の2枚の版画は手元に残したくないとのことで、販売会社に送り返し、3枚目は母親が支払うことで契約続行となった。



問題点

 本事例の問題点は、支払い困難となることが予想されたにもかかわらず、過量販売を誘引した販売方法やクレジット契約の確認が不十分であったことである。2007年4月に作成された(社)全国信販協会のガイドラインにおいても「他社契約件数も含め2件までとする」としている。

 また、今回は、展示会場に複数の人が出入りしており、特定商取引法の「訪問販売」に該当するかどうか、また「クーリング・オフ妨害」や消費者契約法の「退去妨害」に該当するか難しい判断を迫られた事例であった。

 なお、相談者がB社に手紙を送った後、請求を再開してきた点について確認したところ、B社では法律上の抗弁と認めていなかったことが判明した。今後は、相談者が信販会社に解約の意思の手紙を送った後、法律上の抗弁と認められたのか、加盟店調査は行ったか、個人信用情報機関への登録状況などについて確認する必要があるだろう。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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