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[2009年10月2日:掲載]

指導付き学習教材を購入したのに翌月、業者が倒産

家庭教師派遣の業者から電話勧誘を受け、自宅で体験学習を受けた。申し込みのとき、家庭教師の指導に使用する学習教材を購入するよう言われた。翌月一括払いのクレジット契約をし翌週には教材が届いたが、販売会社が翌月倒産したという事例を紹介する。


相談内容

 中学校1年生の子どもの家庭教師を探していたところ、家庭教師の体験学習を勧める電話があり、販売員が来訪した。「家庭教師を派遣する会社で、25年の実績がある。子どもに合う教師を派遣するが、要望に応じて交代も可能。電話、ファクスでの指導やカウンセリングもOK」と説明され、高校受験までの指導を申し込んだ。契約する段になって、家庭教師の指導用に使うと説明され、教材を購入する話になった。代金が50万円以上と高額なので何度も断ったが「塾に通った場合の費用と比較すると決して高くない」などと熱心に説得され、結局3教科に減らして契約した。

 契約してすぐに教材が届いた。派遣された家庭教師は、あいさつもろくにできない学生で、交代を希望しようと販売会社(以下、販社)に何度も連絡したが、まったくつながらなかった。まもなく、販社から経営が困難との通知が届き、同じ頃、家庭教師も来なくなった。教材は、ほとんど未使用状態であり、返品したい。また、教材代金はクレジットの翌月一括払いであり、まだ引き落とされていない。支払いたくない。

(40歳代 女性 家事従事者)



処理結果

 販社から経営困難との通知があった時点で、相談者は販社に契約解除通知を出し、信販会社(以下、信販)に支払い停止の抗弁書(*)を発信した。

 その後、信販から相談者に、販社が事実上倒産したこと、一括払いの契約者に対しては、支払い請求を再開することを通知してきた。「いったん支払い停止になっていたのに、応じなければいけないのか、教材を返して解約したい」と国民生活センター(以下、当センター)に相談が寄せられた。

 当センターで契約書を確認し、販社に問い合わせたところ、「立替金はすべて商品の代金」という説明であった。だが、一方では契約書に立替金の一部は家庭教師管理費用となっているなど、説明と契約書の記載が矛盾していることから「契約書の記載内容は不適切。役務部分は不履行であるため支払い義務はないはず」と信販に申し入れた。

 しかし、その後の当センターとの交渉において信販は「一括払い(一回払い)は、割賦販売法の適用から外れるものであり、交わした契約書の約款においても支払い回数が3回未満の場合は支払い停止の抗弁はできないとなっている」と主張し、こう着状態となった。当センターは、信用情報機関への延滞情報の登録や遅延損害金の請求を行わないよう求めつつ、交渉を重ねた。

 しばらくして、信販から提案してきた和解案は、手数料を除くほぼ商品代金全額を相談者が負担するというものであった。相談者は「家庭教師が使用することが前提で教材を購入したのであって、教材だけでは意味がない。納得がいかない」と主張。延滞登録になってしまうことのリスクと信販からの提示額の支払いのいずれかを選択してもらったところ、「提示額では納得できない。延滞情報が登録されることを覚悟する」との意思が確認できたので、さらにあっせん交渉を続けた。

 当センターは信販に交渉を重ねた結果、最終的には、信販が譲歩し、相談者が商品代金相当額の7割を負担、教材は返還不要(信販は所有権放棄)という和解案の再提示があり、合意に至った。

 解約金を翌月末、一括で振り込んだことを確認し、あっせんを終了した。

*「支払い停止の抗弁」とは割賦販売取引において、返済を一度棚上げすることによって、消費者がクレジット会社に対抗することである。つまり、クレジット契約の支払いを一時的に停止できる。



問題点

 今回の事例は、どうにか解決にこぎつけたものの、割賦販売法の適用外ケースであり、最悪の場合交渉が決裂し訴訟になれば、消費者側の敗北は目に見えていた。交渉が信販との根比べになることを相談者にも覚悟してもらった。一番の問題は相談者の信用情報機関への延滞登録であった。信販は延滞情報となることをちらつかせながら、優位に交渉を進め、時間切れに持ち込もうと対応を長引かせる。今回は相談者の「納得がいかない」との意志が固く、積極的であったことが解決につながった。

 また、翌月一括払いのクレジット契約は、2009年施行予定の改正法でも適用されず、今後も起こり得るトラブルと思われる。

 継続的役務提供取引とは本来、役務内容や契約期間においてもリスクの高い取引である。この問題点に加え、翌月一括払いは割賦販売法の適用除外となり、契約どおり履行されない場合でも支払い抗弁が認められないなど、多くの問題点を抱えた事例であった。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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