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[2009年8月28日:掲載]

抗弁の接続を認めない貸金業者と債権譲受業者

最後まで三者間契約を認めない貸金業者であったが、結果的に和解となった事例を紹介する。


相談内容

 インターネットで調べたパソコン内職の業者(以下、販売業者)に電話をかけた。販売会社に「1日1〜2時間のパソコン入力の仕事で月5〜6万は稼げる」などの説明を受け、「仕事をするために教材費など約50万円が必要」と言われた。そこで初めて仕事のために費用がかかることを知った。お金がない旨を伝えたが「当社の知っているローン会社(以下、貸金業者)を紹介する」と勧められ、30万円を借りて販売会社に振り込み、パソコン教材ソフトなどを購入した。しかし、仕事の内容や報酬が当初の説明と異なり、ほとんど収入にならなかった。

 しばらくして、借金(債権)が債権譲受業者(当初とは別の貸金業者)に譲渡されたという通知が貸金業者と債権譲受業者の連名で届いた。数カ月後、販売業者とは連絡不能になったためだまされたと思い、お金を借りた貸金業者に支払停止の抗弁(*)を申し出た。しかし、貸金業者からは二者間の金銭消費貸借契約なので割賦販売法の適用は受けず支払停止の抗弁は認められないと回答があった。そして1カ月くらい過ぎた頃、貸金業者は廃業し連絡不能となってしまった。

 さらに、それから2カ月後、債権譲受業者から請求通知が届いた。どうすればよいか。

(20歳代 女性 給与生活者)


*「支払い停止の抗弁」とは割賦販売取引において、返済を一度棚上げすることによって、消費者がクレジット会社に対抗することである。つまり、クレジット契約の支払いを一時的に停止できる。

本事例の契約関係
相談者、販売業者、貸金業者、債権譲受業者の契約関係図



処理結果

 販売業者は特定商取引法違反等の容疑で警察に逮捕され、貸金業者も廃業のため連絡が取れなくなっていたことから、国民生活センター(以下、当センター)は、債権譲受業者に対して、信用情報機関に登録した延滞情報の抹消および、金銭債務の請求についての検討を求めて交渉を行った。債権譲受業者は「三者間契約とは考えていない。当社は債権を買っただけである。しかし、解決のために和解に応じる用意はある。残金の2、3割を支払えば、信用情報機関の延滞情報も抹消する」という提案があった。

 当センターが、相談者の苦しい生活状況を含めて交渉を重ねた結果、販売業者から改めて和解金額が提示された。

 当センターは、相談者が提示金額を入金し、信用情報機関の延滞情報が抹消されたことを確認して、相談を終了した。



問題点

(1)三者間契約の問題
 債権譲受業者は最後まで三者間契約を認めず、当センターも販売会社と貸金業者の提携関係等を示す証拠を得ることはできなかった。しかし、「販売業者から貸金業者を紹介された」という相談者の申し出が一貫していたことや、相談者の居住地と貸金業者の所在地は遠く離れており、消費者自らが当該貸金業者を探し出すとは考えにくい等の理由をもとに、三者間契約であることを主張したが、結局話し合いは平行線に終わった。

(2)債権譲渡の成立の問題
 貸金債権の債権譲渡通知が貸金業者と債権譲受業者の連名により通知がなされた場合、債権の譲渡人から債務者への通知として効果があるのか(民法467条1項)、当センターの法律相談を受けた。その結果、実務的には債権者と債権譲受人の両者の共同名義で差出人となり、債権譲渡通知がなされることもままあり、法的に問題とまでは言い切れないとのことなので、債権譲渡の効果そのものを争うということは見送った。

(3)債権譲渡の引き継ぎの問題
 相談者が和解金を債権譲受業者に支払うことで和解が成立したものの、もし和解が不成立であった場合、利息の引き直し等について争いが生じる可能性があった。今後同様の相談で、債権譲渡を受けた債権譲受業者が「自分たちは債権を譲り受けただけであり、消費者に返金する債務までは承継していない。よって、利息の引き直しには応じない」という主張をすることは十分に考えられる。三者間契約の当事者の一方である貸金業者、信販会社等から債権を譲り受けた業者に対して、利息の引き直しを求める場合は、「債権譲渡は実質的には契約上の地位の移転である」ということを主張し、交渉することになろう。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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