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[2009年5月15日:掲載]

クーリング・オフを認めない資格教材販売業者

契約直後に解約を申し出たにもかかわらず、クーリング・オフ回避を行った資格教材販売業者の事例を紹介する。

相談内容

 資格教材販売業者(以下、販売業者)から「行政書士資格を取らないか」という電話があった。話をするうちに資格講座の契約をするのが義務であるかのように感じてしまい、「分割で支払う」と答えてしまった。後日届いた書類に記載された約50万円という契約金額に驚き解約を申し出たが、販売業者から「やめることはできない。こちらからの電話を無視し、裁判で訴えてもらってもよいが、そんなことをして捕まるのはそちらだ」などと繰り返し言われて、諦(あきら)めて書類に記入して返送した。

 その後、販売業者から「全額についてクレジットを組むと金利が高いので、少し現金を入れたらどうか」と言われ、都合できる金額を答えた。また、「残りはどうするのか」と聞かれ「当てがない」と答えたところ、「銀行は手続きが難しいが、クレジットならすぐに手続きできる」と詳細に説明された。クレジットのしくみはよく分からなかったが、「クレジットにする」と答えてしまった。

 翌日、貸金業者から電話があり、名前や住所などを答えると、契約書などが送られてきたので、記入して返送した。すると、販売業者から電話で「貸金業者からお金が振り込まれているはず。確認後、こちらの口座に振り込むように」との指示があり、そのとおりにした。

 しかし、月々の返済が苦しく、解約したい。

(20歳代 男性 給与生活者)

処理結果

 この事例は、契約書が届いてすぐ相談者が解約を申し出たのに、販売業者が「解約できない」と言うなど、クーリング・オフ回避を行っていたと考えられる。その一方、販売業者は「クーリング・オフ期間が過ぎているので解約は認めない」と主張し、クーリング・オフ回避を行ったことについても認めなかったものである。

 また、本件は割賦販売法の適用を受ける三者間取引であると考えられたが、貸金業者は、二者間契約であると言い、抗弁を認めなかった。

 そこで、国民生活センター(以下、当センター)が調べたところ、販売業者と貸金業者との間に別の業者が介在していることが判明したため、貸金業者や仲介業者に本件の解決に向けて協力を求め、あっせんを行うこととした。

 交渉を拒否していた販売業者だったが、仲介業者から連絡があったためか、交渉には応じることとなった。改めて、当センターより、契約直後の解約申し出を受けなかったこと、特定商取引法等に定める記載の不備等について説明し、再度クーリング・オフを認めるよう交渉した。販売業者は、「今後の貸金業者への支払いはこちら(販売業者)が全額支払うが、現金で支払われた分については返金しない」と回答してきた。

 これに対して当センターは、本件はクーリング・オフとして解決されるべきであるから、すでに受け取った現金の分も販売業者から相談者に返金すること、また、本件は三者間契約であるので貸金業者への支払いについては販売業者と貸金業者との間で清算することを要求した。

 さらに、契約書類を確認したところ、法定されたクーリング・オフに関する事項のうち威迫・困惑させた場合について記載されておらず、かつクーリング・オフを申し出た相談者に対し、「裁判」「捕まる」等の言葉を用い、解約を認めなかったこともあって、契約書類の原本の提出を販売業者に求めた。

 契約書類のひな型を確認したところ、クーリング・オフ条項部分の記載に不備があることも判明した。当センターは、相談者が全額返金を求めていたので、あくまでクーリング・オフを主張した。

 販売業者は当センターや相談者に対する不満が収まらないようすであったが、結局、相談者の要求をすべて受け入れ、返金に応じた。

問題点

 本件は、相談者の知識不足に付け込んで高額な資格講座教材の契約をさせた事案である。相談者が契約をやめたいと申し出ても、販売業者は相談者に不実のことを告げてクーリング・オフを回避した。また、クレジットカードを持ったことがない相談者にクレジットの利用を勧め、実際には消費者金融から融資を受けさせていた。しかも、クーリング・オフを認めず、誠実に対応しようという姿勢がみられなかった。

 また、相談者が販売業者から消費者金融を紹介され融資申込書を受領していること、融資申込書は仲介業者を通じて貸金業者に渡ったこと等の経緯から、当センターは、本件契約は三者間契約として割賦販売法の規制対象であると考えていた。しかし、販売業者、貸金業者ともにこれを認めなかった。このような契約形態が増加し、割賦販売法の規制を免れようとするような業者が増えているため、今後とも注意が必要である。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。