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[2008年2月20日:掲載]

浴槽用浮き輪での溺水事故

 ’07年7月5日に浴槽用浮き輪での溺水(できすい)事故について公表を行ったところ、1歳4カ月の子どもが浴槽用浮き輪を使用中に溺れて入院中であるという事例が寄せられた。


相談概要

 母、6歳の娘、1歳4カ月の息子の3人で入浴していた際、息子を浴槽内の浴槽用浮き輪に入れたまま、先に出た娘に洋服を着せていた。浴室を見ると息子が横に倒れるように転覆していた。足は浮き輪にはまったままだった。シャボン玉用のストローが流れていたので、それを取ろうとして転覆したのではないか。

 すぐに抱き上げて声をかけたが、反応がなく息もしていなかった。縦抱っこで振動を与えながら救急に電話していると鼻から水が出てきて苦しそうに息をし始めた。救急車で総合病院に搬送されたがひどい肺炎を起こしているため、高度医療機関に転送された。一度は無呼吸状態に陥り丸2日間ICUで過ごしたが、現在食事ができるまでに回復した。障害の残る可能性がなくはないと言われている。(30歳代 女性 家事従事者)



処理概要

 相談者は既に当該製造事業者へ事故を報告しており、今後話し合いをしていくということになっていたが、国民生活センター(以下、当センター)が間に入ることを相談者が希望したため、当センターから改めて事業者に連絡を取り、本件および同種製品に対する今後の対応の説明を求めた。

 当該事業者は、事故の起きた浴槽用浮き輪の同型品は既に生産を終了しており、その後は別のタイプを販売していた。しかし、6月に日本小児救急医学会において浴槽用浮き輪の使用による乳児の溺水例の発表があったという報道を見て、すべての浴槽用浮き輪の販売中止を決定していた。さらに当センターの公表を受け、顧客に送付するダイレクトメールの中に注意喚起文を同封すること、会員向けメールマガジンとホームページで同様の注意喚起を行うことを決めていた。

 当センターでは、購入者全体に対する注意喚起、回収の実施の検討を求めた。また、事業者が作成した注意喚起の内容は、浴槽用浮き輪の使用を前提とし、目を離さないように呼びかけるにとどまるものであるため、事故の防止のためには使用をやめるよう呼びかける内容にすべきであると指摘した。指摘を受けて、当該事業者は注意喚起の内容をより直接的な内容に変更した。しかし、製品の回収は行わないとした。ダイレクトメールやメールマガジン、ホームページなどでの注意喚起は年内いっぱい継続するとのことである。

 その後男児は無事退院し、予後について医師の診断を受けた。現在異常はみられないが、一度脳が腫れていること等から後遺障害が発生しないとは断言できないとの診断結果であった。これを受けて、両親は事業者に対し、就学時まで経過を見たうえでの対応を求めた。

 最終的に、事故に対する補償を事業者が提示し、示談書において就学時までの定期健診で当該事故による後遺障害の発生を医師が判断した際は別途協議するとの約束を交わすことで合意し終了した。



問題点等

 製品に明らかな欠陥が認められない場合、事業者は利用者の不注意として責任を認めない場合が多い。特に、乳幼児を対象とした製品ではまず保護者の責任として片付けられることが多い。今回の事故もそうなっていた可能性がある。

 今回は、当センターが同種製品の事故の多発と重篤性を公表した後であったため、事業者側も対応が迅速であった。社団法人日本玩具協会を通じて、製造会社の把握と過去の事故発生についての調査がされているところでもあった。

 自社製品で事故がなかったとしても、他で事故が起きていた場合、製品に共通性の問題があるケースがある。事業者間での情報共有や事故の発生を認めることを恐れない姿勢が製品事故を減らすためには重要であろう。そういう意味で業界団体の役割も重要となる。

 一方で、事故にあってしまった消費者の側も、事故の発生を公にすることがさらなる拡大防止、未然防止に役立つということを理解してほしい。事故にあった場合、それが重篤であればあるほど自責の念にかられたり、まわりの非難を浴びたりして声に出せないことが多いが、できるだけ情報を寄せてくれることを望みたい。証拠となる事故品も捨ててしまわず保管しておくべきである。

 消費生活センター等の相談窓口では、事故の情報が寄せられた場合、製品のメーカー名や型式、事故に至った状況の詳細を聞き取ることが非常に重要である。たとえ誤使用によると思われる事故でも、裏には誤使用を招きやすい要因が隠れている可能性もある。製品を特定すること、事故の詳細な状況を分析することが事故の防止に役立つのである。

 その後、浴槽用浮き輪に関しては、全メーカーとも自主的に新規の販売を中止した。また、’07年8月21日に社団法人日本玩具協会から、浴槽用浮き輪のメーカー7社と共同で消費者へ注意を呼びかける社告が出され、全国紙2紙上に掲載されている。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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