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[2008年1月21日:掲載]

エステサロンで契約した、薬事法上問題のある健康食品

 アンケートのお礼として受けた無料エステのサロンで契約した健康食品について、薬事法に抵触する可能性が高い表現がみられたことから無条件解約となった事例を紹介する。

相談概要

 繁華街で男性から「化粧品についてのアンケートに答えてほしい。今ならアンケートに答えるだけで化粧品を1つプレゼントする」と声をかけられ、少し離れた「○○クリニック」という名称のエステティックサロン(以下、サロン)へ案内された。アンケート回答後、女性従業員から「サロンは口コミでお客を集めていて宣伝費がかからないため、他店より安い。サロンでは体質改善を目標にしており、やせやすい体質になるためにサプリメント等を飲んでもらい、家でケアしきれない部分をエステする」と説明された。アンケートのお礼として、化粧品とエステの無料チケットをもらい、エステの予約を取り3日後にサロンに出向いた。

 サロンで施術を受けた後、食生活に関するアンケートに回答すると、「新陳代謝が非常に悪い」と言われ「腸内にたまった宿便を出して新陳代謝を上げ、からだが必要としている栄養素を補給して食欲を抑え、やせる体質にする」というサプリメントや「専用のジェルを塗ってからだに当てるだけでやせられる」「この機械を使って1カ月で太ももが7cmやせた子がいる」という超音波マッサージ器を勧められた。サプリメントのみ契約すると答えると、別の部屋に案内され、契約書に記入した。代金は合計、約20万円で、クレジット契約にしたため25万円超の金額になった。学生であり支払いが難しいので、解約したい。

(20歳代 女性 学生)

処理概要

 国民生活センター(以下、当センター)は、相談者から契約書等の資料を取り寄せた。数種類のサプリメントの商品説明と思われる文書があり、その広告表現が薬事法に抵触しないか、業者所在地の薬事法の所管課(以下、所管課)に確認した。

〈所管課の見解〉

 「当該広告表示について確認した結果、相談者が購入したすべての商品について薬事法に抵触する可能性が高い広告表現が認められる。しかし、薬事法に抵触する表現で商品説明がなされたとしても、当該広告を行った者が明らかでなく、別の者が作成した可能性もあることから、当該商品の販売店を指導することは難しい。広告表示内に作成者が明示されておらず、表示している者と販売している者が同一かどうか不明である。たとえサロン内で当該広告表示を渡していたとしても、そのことについて確認も断定もできない」

 また、当センターは、サロンが医療機関でないのに「○○クリニック」と称し、相談者の日常食生活における栄養面について「健康指導」をしている点を、保健所に確認した。

〈保健所の見解〉

 「名称において『クリニック』と表現することについては、サロンは『疾病の治療をなす』場所ではないので医療法第3条(注)には抵触しない。また、栄養面に関する助言については、栄養士でなければできないというものではない」

 当センターは、薬事法の所管課による指導等は難しいとしても、契約時に渡された書面により、「代謝を上げる」「やせる」等と販売員が説明したことが裏づけられると考え、特定商取引法および消費者契約法の不実告知による取り消しを主張した。これに対しサロンは、解約には応じるが、使用済みのサプリメント代金は相談者に負担してもらい、支払い確認後、信販会社にキャンセルの連絡を入れると回答した。

 当センターでは、薬事法に抵触するような健康食品であることから、消費者には契約の取り消しによりサロンに返還すべき利益はないと主張し、無条件での解約を主張した。また、サロンとの交渉と併せて、信販会社に対して当該商品の問題点を指摘したところ、薬事法に抵触するような広告やセールストークは問題であり、事実を確認するとの回答を得た。

 その後、サロンより、無条件で解約に応じるとの回答があった。相談者が保管している商品をサロンに返送した時点でサロンから信販会社にキャンセルの連絡を入れるとのことだった。商品をサロンに返送後、当センターで、キャンセル扱いが確認できたため、相談処理を終了した。

注 疾病の治療(助産を含む)をなす場所であって、病院または診療所でないものは、これに病院、病院分院、産院、療養所、診療所、診察所、医院その他病院または診療所に紛らわしい名称を付けてはならない。

問題点

 本件は、学生に対して高額な契約を締結させたことも問題であったが、法令に抵触する可能性が高い広告表示で消費者を誤認させて商品を販売していた点が決め手となり、解決を図ることができた。サプリメント等の健康食品の相談では、広告表示が法令に抵触していないか確認することは重要なポイントである。

 また、本件では、最初に路上でアンケートに答えてほしいと言って消費者を完全予約制のサロンに連れて行っている。しかし、その場ではサプリメントの説明のみで勧誘・契約をせずに、3日後の無料エステの予約により再訪を約束させ、帰宅させている。

 最近の相談では、消費者を一度帰宅させ、時間をおいて再訪させて勧誘・契約する手口が散見される。このような場合、個別事情によっては特定商取引法の適用対象外となる恐れがあり注意が必要である。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。