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[2007年9月3日:掲載]

強引に年金生活者を勧誘した高額な屋根工事の点検商法

 「無料」と言って耐震診断をさせ、地震で瓦が落ちると不安をあおり、高額な屋根工事を勧める「点検商法」はいまだに後を絶たない。

 今回は、年金で暮らしている高齢者が高額な屋根工事契約をした事例を紹介する。


相談概要

 娘の私が1ヵ月ぶりに実家を訪ねたところ、屋根が新しくなっていた。事情を聞くと、突然、業者が来て「今、無料で耐震診断をしている」というので診断を依頼した。その結果「このままでは地震のときに瓦が落下し、近所に多大な被害が及ぶ。工事は割引のできる今しかない」と業者に勧められた。父は年金生活者なのでお金がないと断ったが、月々の支払い額が約2万4000円であることや総額が210万円であることを強調され、やむなく契約してしまったという。

 その夜、信販会社からの確認の電話で、総額約210万円の契約で10年間のローンを組むと、総額が約300万円にもなると聞き、金額の大きさに驚き断ることもできず電話を切ってしまった。翌日、業者に改めて電話で契約額が違うと解約を申し出たが、分割払い手数料分を値引きするので考え直してほしいといわれた。

 また、その日の夜、販売員らが来て「今後10年以上家族全員が金融機関のブラックリストに載る」などといわれ、家族の迷惑になると思い、何も言えなくなってしまったという。工事は2日間ほどで完了した。

 以上が経緯であるが、今までの屋根が早急に工事を必要とするほど傷んでいたとは思えない。販売方法にも問題があるし、年金しか収入のない両親にとっては高額すぎる契約なので解約させたい。

(相談者:33歳 女性 家事従事者、当事者:65歳 男性 年金生活者)



処理概要

 相談は契約した当事者の娘からの相談であったため、再度当事者である父親から詳しく聞き取りを行った。

1.当事者からの聞き取りなど

  1. (1)診断と称して屋根のビデオを見せながら、工事が早急に必要であること、このままでは近所に多大な被害を与えると言い不安をあおった。
     しかし、当事者は屋根診断の撮影過程を確認しておらず、またビデオには屋根の一部しか映っていないので、本当に自宅を撮影したものかどうか不明である。
  2. (2)高額な見積もりに対して、お金がないと断ったが、月々の支払い額を強調されて契約した。信販会社への支払い総額を知って、解約を申し出たが、手数料を値引きするなどと説得された。
  3. (3)工事内容には不満はない。
  4. (4)当該家屋は築28年の木造。瓦は老朽化していたかもしれないが、今まで雨漏りはなかった。

2.当センターの調査

  1. (1)見積書の瓦(金属瓦)本体の単価は、3万9500円(m2)であったが、瓦メーカーに問い合わせると当該商品の通常販売価格は6400円前後であることが分かった。
  2. (2)当事者が、過去に補修工事等を頼んだことがある地元の工務店の見積もりと、当センターの試算でも屋根工事代金はおよそ100万円前後であった。

3.交渉過程

  1. (1)解約の申し出が口頭であったので、改めて当事者が文書で通知した。
  2. (2)業者から当センターと当事者に対し、「クーリング・オフ回避はしていない。解約の申し出は当事者の一方的な言い分であり、絶対に認められない。しかし、減額交渉に応じる用意はある」という旨の文書が送り付けられてきた。
  3. (3)同時期に当事者宅には販売員の訪問や無言電話が続き、当事者は恐怖心を抱くほどだった。
  4. (4)通常は三者(当事者、業者、センター)で話し合うところ業者の態度が非常に高圧的であり、当事者らが怖がっている点を考慮して業者と当センターだけで話し合いを行った。当センターは、交渉に当たりクーリング・オフの成否についても考えたが、契約の翌日、当事者が業者へかけた電話の内容に断ったといえるかどうか曖昧な点があるためクーリング・オフについては、業者に強く主張することができなかった。
  5. (5)クーリング・オフでなく、業者が解約に応じた場合の消費者の負担について、当センター弁護士の見解は以下のようなものであった。
     「このケースでは、実際に受けた利益分を支払うことになる。この利益とは工事を行わなかった場合、建物の残存期間にかかるであろう維持費となる。あるいは工事を行った場合の一般的価格などを元に算出することになる。その際、業者に"もうけさせない"ことが大切であろう」。
  6. (6)当センターに来訪したのは販売員の上司で、解約は絶対認めないと威圧的で強硬な姿勢ではあったが、減額には応じるとして工事代金150万円を要求してきた。
     しかし、当センターが調査した前記の金額とかけ離れていることから再考を求めたところ、95万円の提示があった。当事者らは工事内容に不満はなく、またこれ以上業者とかかわりたくないとの意向であったため、この案を受け入れることにした。
  7. (7)信販会社には処理終了後に業者の実態を伝え、加盟店指導を依頼した。


問題点

  • 強引な勧誘は特商法(特定商取引に関する法律)6条に違反の恐れがある。
  • 一般に白あり駆除や住宅設備などの点検商法では役務提供後に解約になることが多い。

 このような場合、特商法(10条)においては役務の対価が解約料の上限とされている。また、消費者契約法4条に基づく取り消しになれば、受けた利益分は返還しなければならない。いずれにせよ消費者には金銭的負担が生じ、業者の「やり得」になってしまう面がある。

 相談窓口としては、販売方法等に問題があった場合には業者に「工事を行ってしまえば得」にさせないような解決をしたい。




※当相談事例は2002年1月に掲載し、一部加筆・訂正を行い、再掲しました。



ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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