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[2007年9月3日:掲載]

利用した覚えのないホテルでの飲食代を国際クレジットカードで請求された

 海外旅行をする日本人が増えている。最近では旅行代理店によるパック旅行ではない手配旅行や個人旅行等も多くなっているといわれている。自分でホテルやレンタカーなどの手配をする際には必ずといっていいほどクレジットカードの提示を求められ、クレジットカードを持たないと不便なほどである。  今回は海外のホテルでクレジットカードを利用し、帰国後、身に覚えのない請求がきたという事例を紹介する。

相談概要

 西インド諸島の観光地に旅行したときに、その地域では最も大規模なホテルに宿泊した。宿泊費の清算はクレジットカード(以下、カード)を利用することにし、チェックアウトの際には伝票の金額と内訳について確認して、サインをした。

 帰国後、クレジットカード会社(以下、カード会社)から送付された代金の利用明細(請求書)を確認したところ、ホテルの利用金額が思ったより高く納得がいかなかった。そこで、旅行代理店を通じて当該ホテルに連絡してもらい請求書の明細を取り寄せたところ、利用した覚えのないミニバーの利用代金(約4800円分)が含まれており、伝票には自分の署名がなかった。

 金額は少ないが利用していない分の請求に納得できず、カード会社に請求内容について説明を求めたところ、「ミニバーの利用代金については伝票に本人のサインがなくても請求が可能であり、このことは海外でのカード利用上の常識である」といわれたが、どういうことか。

処理概要

 国民生活センターよりカード会社に問い合わせたところ、以下のような説明を受けた。

  • 海外でカードを使った場合、ホテルにチェックイン後のミニバー利用やレンタカー手続き後のガソリン代などについては、本人のサインがなくても代金を請求することがある。
  • このことは、ホテルやレンタカーの利用約款に記載されているが、カードの利用約款には書かれていない。
  • このような制度は、海外のホテルなどでカードを利用する場合は、通常行われていることである。

 当センターで、さらに調べたところ、以下のようなことが分かった。海外でのカードを利用する場合に国内にはない制度などがある。その1つに、「サインオンファイル(Sign On File)」または「シグネチャーオンファイル(Signature On File)」とよばれているホテルやレンタカー利用における未清算分の追加請求の制度がある。

 例えば、海外でレンタカーを利用する場合、事前に知らされるのは、ガソリン代、税金、任意保険料等諸費用を除いた車両の代金だけである。

 実際に車を借りる手続きを行う際、レンタカー会社から書面が渡され、サインが求められるが、その契約書面には、保険の加入料、車の乗り捨て料などが、当初の料金に追加して請求されることについて了承する旨が書かれている。また、海外でのホテル利用の場合も同様に、チェックアウト時の清算に間に合わなかったミニバーの代金、電話代、クリーニング代などについても同様である。これらは追加請求分の伝票には、「ON FILE」「S.O.F.」などと記載されている。

  • この制度については、契約の際(レンタカーでは車両を引き渡される手続きの際、ホテルではチェックイン時)に渡される契約書に書かれている。しかし、ほとんどの場合は英語で書かれていて、ほかの書類と一緒にサインを求められるため認識できずに署名しているのが実情であろう。

 相談者は、当センターからのこの制度についての詳しい説明に了解したが、交渉は旅行代理店を通じて継続しており、さらに自主交渉していくとのことで、センターのこれ以上の「あっせん」を望まなかった。

 そこで、カード会社に対して、相談者への説明を十分にすべきであったことを伝えて相談を終了した。

問題点

 海外でのカード利用に際しては、慣習的なことや海外独特の制度などがある。例えば「不泊料(No Show Charge)」というのもその1つで、日本ではホテルを予約して宿泊しなくても宿泊代金を請求されないこともある。しかし、海外ではカードで予約した場合、期限内にキャンセルしないと予約した際に告げたカード番号に宿泊料金が請求される。またレストランで食事をした際、伝票のチップ欄を空欄にしたままサインをすると店側がチップ欄に記入し、後日チップ代が追加して請求されることがある。このような制度や商習慣などを利用者が知らなかったことでトラブルになるケースが少なくない。

 この相談のような制度、「サイン オンファイル」についても同様であり、カード会社はパンフレットなどで一応注意を呼び掛けているが、一般消費者に十分知らされているとはいえない。この相談については、利用者からの問い合わせに対して、カード会社はもう少し丁寧に説明を行うべきであったと思われる。

 海外でのカードの利用に関しては、身に覚えのない請求に関するトラブルが少なくない。使用していないものについて支払う必要がないのは当然だが、海外であることや言語の壁により解決が難しいのが実情である。

 万一カード会社からの請求の中に身に覚えのないものがあれば、代金が口座から引き落とされる前に、カード会社にその旨を申し出ることが重要である。不明な点などをカード会社に伝え、請求された代金の明細を取り寄せ、具体的な内訳を確認する。

 その請求がサインオンファイルによるものであれば、ホテルやレンタカー業者などの請求元と(場合によっては旅行業者を通じて)交渉する、ケースによってはチャージバックすることができる。

 海外でカードを利用する際にはこのような制度や商習慣の違いがあることを前もって知っておきたい。


※当相談事例は2001年12月に掲載し、一部加筆・訂正を行い、再掲しました。



ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。