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[2007年9月3日:掲載]

航空会社に預けた荷物が出てこなかった!!

海外旅行に行こうと思い、ヨーロッパへの航空券を予約した。成田空港で荷物を預け、現地の空港に着いた。ところが、預けたはずの荷物が出てこなかったので利用した航空会社に申し出たところ、荷物が到着次第宿泊先のホテルまで届けると言うのでホテルで荷物が届くのをずっと待っていた。しかし、実際に荷物が届いたのは帰国する前日であった。

 すぐに荷物が届くと思っていたし、洋服や化粧品類も荷物に入れてしまっていたので非常に不便な思いをした。観光に行っても荷物のことが気になり、楽しめなかった。

 現地で購入せざるを得なかった洋服等の費用を航空会社に補償して欲しい。

(50歳代 女性 主婦)


アドバイス

 1929年に「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」(以下ワルソー条約という。)が締結され、国際運送における旅客、手荷物、貨物事故に対する航空会社の責任などについて定められました。日本は1953年に批准しています。

 このワルソー条約によると、航空会社の託送手荷物に関する責任は、貨物1キログラム当たり20米国ドル(250フラン)が上限とされています(但し、旅客が事前により高い価額を申告し、かつ必要とされる増料金を支払った場合はこの限りではありません)。エコノミークラスの無料手荷物許容重量は20キロ(注1)となっているため、補償額の上限が400米国ドルとなります(注2)。

 この相談では相談者が補償額に納得しなかったため、国民生活センターが航空会社と交渉しました。その結果、相談者が補償額を上回って支払わざるを得なかった価額分(現地で購入した衣服の代金等)の一部を航空会社が支払うこととなりました。

(注1)20キログラムはエコノミークラス利用の場合。他のクラスを利用した場合や旅行先、利用航空会社によっても上限は異なります。
(注2)ワルソー条約の中に各航空会社は補償限度額を引き上げてよいという規定があるため、上限は利用航空会社の定めている約款によっても異なります。しかし、託送手荷物に関する責任は、ほとんどの航空会社が1キログラム当たり20米国ドルとなっています。

(出典:「航空会社のサービス比較−国際便・エコノミークラス−」 平成7年2月 国民生活センター)



コメント&解説

 航空旅行客の最も多いアメリカ合衆国では、ワルソー条約は補償される価額が低すぎるとして批准せず、米国連邦規則に基づいて米国国内区間の旅行に関しては航空会社の責任をより重いものにしています。このように、旅行先によっても補償額の上限が異なります。 また、航空会社の補償額では納得ができないという場合、航空会社と交渉してみることも一つの方法です。

 なお、海外パック旅行における手荷物の延着に関して、航空会社の配送ミスにより手荷物が到着しなかった場合であっても、旅行会社に対して慰謝料の支払いを認めた判決(東京簡判平成11.5.19判決 判例集未登載)もあります(但し、この判決は配送ミスをした航空会社がすでに慰謝料を支払っており、また、当該旅行会社の旅行条件書の解釈を主な争点とした裁判であり、同じようなトラブルが起きたからといってすべての場合において旅行会社に対して慰謝料を求められるという意味ではありません)。


(2004年7月8日 追記)
 従来の規定では、賠償金が低いなど近年の情勢にそぐわないため、2000年に「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」(以下モントリオール条約)が締結され、2003年11月4日に発効になりました。

 モントリオール条約は、旅客や利用航空会社の国籍とは関係なく、出発地と到着地が条約の締約国である場合について適用になります。手荷物に関する運送人の責任は、受託・持込手荷物合計で、1人当たり最大限度額が1,000SDR(約16万円)(注3、4)とされています。

 (注3)SDRとは、国際通貨基金が定める特別引出権の額のことを言います。2004年7月2日現在では、1SDRは約159.88円です。

 (注4)旅客が託送手荷物を運送人に引渡す際に、引き渡し時の価額として特定の価額を申告し、追加料金を支払った場合には、この限りではありません。




※当相談事例は2001年11月に掲載し、一部加筆・訂正を行い、再掲しました。



ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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