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[2007年9月3日:掲載]

玩具の電池が液漏れし、幼児が化学やけど

 電池を使用する玩具は大変多いが、この事例は1歳6ヵ月の幼児が自動車の計器盤とハンドルを模した玩具を触っていて、電池の液漏れで下唇とひざに化学やけどを負ったものである。

 なお、この事例は横浜市消費生活総合センター(以下、横浜市センター)で受け付け、国民生活センター(以下、センター)と共同で処理に当たった。


相談内容

1歳6か月の孫(女児)が自動車の計器盤とハンドルを模した玩具を触っていて、下唇とひざに化学やけどを負った。

 この玩具は単1の乾電池を5本装填するもので、5本のうち4本を新しいものに交換後、女児の兄が30分ほど使用した。が、その際は何の異常もなかった。翌朝女児がこの玩具を触っていたところ、突然泣き出したので様子を見ると、玩具がひっくり返り、電池がすべて本体から外に出ており、畳、本体、電池ともに液で濡れていた。

 痛がる女児を病院に運び診察してもらったところ、ひざ部分のやけどは皮膚移植が必要なほど重い症状で、後日移植手術を受けることになった。 

(53歳 女性 :当事者 1歳 女児)



処理概要

 横浜市センターにて事故品を見ながら詳しい聴き取りを行ったところ、以下の点が確認された。

  • 電池を5本装填すると、電池ボックスのふたがその重みで開いてしまい、電池が落下しやすい。
  • 装填していた電池5本の内訳は、4本が新品のアルカリ電池、1本が新品でないマンガン電池。

(1)電池および玩具メーカーの調査

 横浜市センターは、まず液漏れした電池を製造したメーカーに調査のうえ報告書を提出するよう求めた。

 電池メーカーは、相談者の誤使用も考えられるが、重大な危害を受けた事例なので、調査をすると約束した。

 提出された調査報告書によると、液漏れの原因は次のようであった。

 玩具機器内のアルカリ電池は何らかの原因で充電されたために、電池内部に設けられた破裂防止用の安全弁が作動したことにより液漏れした。アルカリ電池は充電されると構造上、安全弁が作動し液が流出するようになっており、本事故は玩具機器の異常および何らかの外的要因によって発生したものと判断できる。

 そこで、玩具機器回路において電池が充電される回路を想定し、再現テストを実施したところ、事故品と同様に電池が充電され、液漏れに至ることを確認した。

 電池メーカーの調査結果を受けて玩具メーカーも調査を実施した。

 その報告書によれば、液漏れの原因は当該玩具の「回路不良」と思われる。

 回路不良の原因については、玩具内部の回路接点同士がハンダによりショートしていたことによるとのことだった。

 回路不良の製品が市場に出てしまったのは、生産ラインで省かれるものが誤って混入したと推測され、相談者の誤使用ではなく、製品に問題があったことを認めた。

(2)メーカーの対応

 玩具メーカーは、製造過程のチェックミスによって不良品を市場に出し、その結果、事故を起こした責任として、やけどを負った女児の治療費などの実費負担について、その補償を約束した。また、治療費などとは別にとりあえず見舞金を支払った。

 電池メーカーも、電池に問題があったわけではないが、自社製品使用中の事故ということで、見舞金を支払った。

 なお、センターから市場対応などについて必要であれば何らかの措置を講じるよう要望したところ、玩具メーカーは直ちに社内で検討し、その結果が報告された。

 この商品は1998年まで16年間にわたり68万台弱が出荷されたが、電池の液漏れによるやけどの危害は今回の1件しか報告されておらず、単品不良の範ちゅうととらえている。よって、製品回収などの措置は実施しないとしながらも、同社で製造する玩具の半数は電池を使用する製品であることも踏まえ、取り扱う商品について以下の対策(一部実施済み)を講ずるとした。

〈一部実施済み〉

  • 電池ボックスのふたはねじ止めして電池の脱落を防ぐとともに、ふた裏面にはスポンジを張り、電池から液漏れが生じても液を吸収し外部へ漏れないようにする。
  • 電池ボックスの形状を工夫し、マイナス極とプラス極の誤装填を防止する。

〈今後の対応を検討〉

  • アルカリ電池は構造上、液漏れを起こす場合があるという商品特性を乳幼児の保護者に理解してもらうため、取扱説明書にその旨を具体的に記述する。
  • 同社のホームページで電池の商品特性および取り扱い上の注意について、広くPRする。
  • 業界団体である(社)日本玩具協会においても、共通の問題として事故の未然防止に向けて検討する。


問題点

 乳幼児が使用する玩具については、事故防止のため細心の注意を払って設計・製造し、市場に流通させる社会的責任が玩具メーカーに課せられる。しかし今回の事故は、設計段階で、誤使用を防止する工夫が不足していたこと、製造過程で不良品を見逃したという点において、メーカーの責任は重いといわざるをえない。

 今回の事例は単品不良とのことであったが、日ごろから保護者は玩具を選ぶ際に、安全性の配慮がなされているのかをできる限り確認して購入する必要がある。

 また、電池の誤使用による事故も少なくないことから、電池の商品特性に関する知識の習得も大切であろう。




※当相談事例は2001年10月に掲載し、一部加筆・訂正を行い、再掲しました。



ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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