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[2007年9月3日:掲載]

海外で利用したクレジットカードでキャッシングの二重請求

 クレジットカードは海外旅行の必携品の一つともいえる現在、海外でのカード使用をめぐるトラブルも決して少なくない。

 今回は、海外のATMでのキャッシングトラブルとその解決法を紹介する。


相談内容

 新婚旅行先のサンフランシスコで現金が必要となったため、ホテル内のATM(現金自動預払機)でクレジットカード(以下、「カード」)のキャッシングで(300ドル)を引き出そうとした。その際、モニター画面に表示された英文の指示に従って操作していたが、途中で意味が分からなくなったのでいったんキャンセルし、近くにいた添乗員を呼んで説明を受けながら、再度操作して希望金額の300ドルを入手した。操作の完了は初期画面に戻ったことで確認した。

 帰国後、カード会社から送付された利用明細を確認したところ、キャッシングは2回利用したことになっていて、実際の2倍の額(300ドル×2=600ドル)を請求された。そこで当該クレジットカードの発行会社(以下、「カード会社」)に連絡したところ、契約が2回成立していることになっているため、請求どおり支払ってほしいといわれた。

 しかし、利用当時、利用伝票は1枚しか出てこなかったし、その間、自分たちはATMのそばを離れなかった。また、暗証番号を入力するときは添乗員も離れたところに下がっていて、どうしてこうなったか、納得できない。

(男性 27歳 給与生活者)



処理概要

 相談者に当時の詳しい状況のメモ、ATM操作時の利用伝票、カード利用明細(請求書)などのコピーを送付してもらい、それらをカード会社のお客様相談窓口に提示し、相談内容を伝え説明を求めた。

 カード会社の回答は次のようなものだった。

  1. 1)ホテル内のATMは、現地の金融機関が設置、管理しているものである。国際カードを利用すると、利用に関しての情報が国際ブランド(国際クレジットカード会社)の決済センターをとおして日本のカード会社に伝達され、カードの有効性や利用限度額が確認された後に、精算が行われる。
  2. 2)ATMにカードを入れて画面の指示に従って操作すると、暗証番号を入力した時点でカードの有効性が確認され、次に入力した金額に「承認」が与えられるという流れになっている。ログ(ATMの詳しい作動記録)を確認したところ、この操作が2回行われていたことになっている。相談者の申し出では、途中で画面上の指示の意味が分からなくなったためキャンセルしたというが、金額の入力後にキャンセルすることは不可能である。1回目の操作時に機械に何らかの不具合が発生し、現金が出なかった可能性が高い。
  3. 3)海外での出来事のため、現時点で直ちに機械の状況を調べることは不可能である。契約が2回とも有効に成立しているため支払いを拒絶することはできない。とりあえず支払ってもらいたい。直ちに現地の金融機関に*チャージバック手続きを取る。
  4. 4)手続き後、金融機関から反論がないまま60日が経過すればチャージバックが認められたものとみなされるルールになっている。


処理結果

 約2ヵ月後に、センターからカード会社に問い合わせたところ、「現地の金融会社から何の反論がなく60日が経過したためチャージバックが成立したと考えるので、1回分については返金する」との回答があった。「現地でATMを調査した結果、出金記録と実際の金額の差額から相談者の言い分が認められたものだろう」とのことだった。

 1週間後に相談者の口座に1回分の金額が入金されたことが確認された。



問題点

 最近、海外旅行先での買い物の支払いやインターネット取引など国際カードをめぐるトラブルが目立っている。こうしたトラブルは、販売店などが海外にあることや言語の問題などがあり、消費者が直接交渉するのは困難で、ほとんどのケースはカード会社への支払いをめぐるトラブルとして問題になる。国際ブランドは、紛争解決のルールとして「チャージバック」制度を運用している。

 このケースは相談者の主張がカード会社に認められ、希望どおり返金されたものであるが、消費者が通常この制度の存在を知らなかったり、自分のトラブルがチャージバック手続きの対象になるかどうかなどが分からず、うまく解決できないことが少なくない。

 海外でのカードトラブルの実情からすると、消費者がこの制度を利用できるよう、カード会社には制度の周知が望まれる。

 また、消費者も伝票などはきちんと保管し、利用明細を必ず確認することが肝要である。

*チャージバックとは
 主に海外でのカードの利用をめぐるトラブルの解決方法の一つとして、国際ブランドごとに運用されている手続きである。これはカード会社が、提携している国際ブランドをとおして、現地の加盟店契約会社(事例の場合はATMの設置主体である金融機関)に支払い済みの代金の返還を求める手続きである。チャージバック手続きは、国際ブランドが定めたルールに従って行う必要がある。このルールの運用は「チャージバックの理由(リーズン)」、「手続きの期限」、「添付すべき証拠資料」などにより判断されている。 『国民生活研究』第39巻第1号、1999年6月、1ページ〜)




※当相談事例は2001年8月に掲載し、一部加筆・訂正を行い、再掲しました。



ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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