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[2007年11月30日:更新]
[2007年10月19日:掲載]

広告と違い学費等を返金しないアニメスクール

 アニメスクール(以下、スクール)の入学を辞退し、学納金の返還を求めたところ一度は拒否されたものの、全額返還された事例を紹介する。

相談内容

 アニメの「専門学校」に通いたいと思い、「入学取りやめの場合、納付学費は返金されます」というホームページ広告を見て、入学を申し込み、入学金・授業料と教材費を支払った。しかし、その4カ月後の2月(入学の2カ月前)に電話で入学辞退を連絡し、返金の手続きに関する書類を提出した。しかし、6カ月たっても返金されない。入学を申し込んだときに見た広告と異なり、納得できない。

(10歳代 男性 給与生活者)

処理概要

 最初に相談が寄せられた受付相談機関(以下、相談窓口)が、スクールに問い合わせたところ、「返還計画書を送付する。教材については既に発送した」とのことであった。数日後、相談者あてに送付された学費返還計画書には、納付金の半額しか返金されないと書かれていた。相談窓口がスクールに確認したところ、授業開始前で、教材が届いてないにもかかわらず、「入学金・授業料は全額返金できない。教材は授業で使用するものだが、既に購入契約は成立しており解約はできない」とのことであった。そこで相談窓口は、今後の処理方針について国民生活センター(以下、当センター)に相談した。

 当該スクールは、入学辞退者に対し、納付した入学金・授業料のすべてを返還するかのような広告を出していたが、実際には、納付した入学金と授業料の3割強の金額を返還していなかった。

 当該契約は「入学を取りやめた場合は、入学金・授業料を返還する」という有利誤認表示による契約であるといえるのではないか。また消費者契約法4条1項1号(不実告知)に基づき取り消しを主張できる可能性があること、未受領の教材は、受取拒否で対応することを相談窓口に伝えた。

 相談窓口から再度、スクールに対して全額返金を求めたところ、教材費については返還を検討するが、入学金・授業料からの控除金については返還しないとのことであった。

 相談者によると、入学手続きの間にスクールから送付された封筒や書類には「入学取りやめの場合、納付学費は返還されます」「学費返還制度の導入」などと記載されていたとのことであった。

 本件は相談窓口から当センターに移送され、当センターがスクールと交渉することとなった。

 問題点を整理すると

  1. (1)消費者契約法9条(不当条項)の問題として交渉すると、授業料の返還は可能であるが、入学金の返還を求めることが困難になる
  2. (2)相談者が見た広告そのものがない
  3. (3)広告だけでは「勧誘」とは見なされないため、広告以外に勧誘がなければ、消費者契約法4条での交渉は困難になる

 そこで、消費者契約法を用いての交渉ではなく「解約時に全額返金する」という契約内容の履行がなされていない点から交渉を進めることにした。

 当センターからスクールに連絡したところ、スクールは「以前に表示を改めているため、改善後の広告表示を見ているはずである」と主張した。しかし、申し込み時期から推察して、改善後の広告を見たうえで申し込んだとは極めて考えにくい。「納付金の返還」は契約内容であり契約を履行してほしいと申し入れた。

 また、相談者にも再度契約の経緯について確認をした。申し込みは、相談者が手紙や電話でやりとりを行っており、直接スクールに出向いてはいない。返金申出後に送付された「納付学費返還請求書」を見て初めて、返還に際し控除金が発生することを知ったのであり、それまでに目にした資料にはすべて「学費返還制度」のみが表示されていたとのことであった。以上のことをスクールに伝え、契約の趣旨および契約時の表示を踏まえ入学金・授業料と教材費の全額返還を改めて求めた。

 1週間後、再度スクールに連絡をすると、「実費が発生しているので、事務手数料を引いた額を返還する」との回答だった。しかしながら、本件ではあくまで、入学手続き前に契約内容の履行を求めているのであるから、事務手数料を差し引くことはおかしいと、再考を求めたところ、全額返金との回答を得て、終了した。

問題点

 本件の相談処理後の’06年11月27日および’06年12月22日に、最高裁の学納金返還訴訟の判決が下され、学納金問題に関する裁判所の判断が統一されたといえよう。最高裁判決を端的にいえば、入学金は返還不要、授業料等は原則3月31日までに辞退を申し入れれば全額返還すべきということである。

 本件は最高裁判決以前であったが、従来の裁判例を踏まえると、授業料の返還は見込めるが、入学金の返還は困難であると考えられた。

 また、消費者契約法4条の規定は、「勧誘をするに際し」との条件を満たさなくては適用ができない。広告は、「勧誘」には該当しないと考えられるため取り消しの主張は難しい。

 上記の二つの理由から、消費者契約法を前面に持ち出すのではなく、表示された契約内容が履行されていないという観点で交渉を進めた。その結果、受講していない授業料はもちろん、入学金や手数料を含め全額の返金となった。本件のように、申し込みの前に入学金等の返還について取り決めが示されている場合には、純粋にその契約内容の履行を求めるといった方法も考えられるので、参考になれば幸いである。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。