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[2007年9月20日:掲載]

大学生がもうかると勧誘され、契約した連鎖販売取引

 大学生が、もうかると言われてマルチ商法に勧誘され、消費者金融から借金して契約させられ問題となった事例を紹介する。

相談内容

 同じ大学で同じ学科の友人から「いいアルバイトがある」と誘われた。

 話を聞くと、誰にでもできる仕事で、同い年の人でも数カ月で何百万円も稼ぐ人がいる、仕事ができるのは3万人限定とのことであった。その後、友人と一緒に事業者の説明会に参加することになり、約1時間、事業内容や活動状況等の説明を聞いた。説明会の最後に、仕事をするには約30万円が必要で、支払いさえすれば、事業者の収益の30%を契約者3万人で分け合う権利が手に入るとの話だった。説明会終了後、ファミリーレストランでマネジャーという男性から説明を受けた。自分にはお金が用意できないので断ろうと思っていたところ、友人から「私は消費者金融から借りたよ」と言われた。不安だったが友人もやっているので契約する決心をした。

 次の日、友人と消費者金融に行き、契約書に、学生ではなくアルバイトをしていて、年収が200万円で、ショッピングの目的で借りることなど、友人の指示を受けて、事実でないことを記入して30万円を借りた。

 借り入れ後、友人と一緒にマネジャーに会い、会員登録のための申込書に記入した。その際、申込書とは別の「誓約書」に、「学生ではありません、消費者金融の斡旋(あっせん)はありません」などと書かされた。また、友人から、家族に見つからないように商品の送付先をマネジャー宅にするよう指示された。

 契約後、勧誘時に説明された内容と異なり、自分が誰かを紹介してその人が会員になればお金が入り、また、その会員が誰かを紹介すればさらにお金が入ってくるマルチ商法だと分かった。友人を紹介することはできないし、消費者金融への返済も苦しいので、事業者に解約を申し入れたが、「一切返金できない」という回答の手紙が届いた。

(20歳代 女性 学生)

処理概要

 国民生活センター(以下、当センター)で契約に至るまでの詳しい経緯を確認したところ、以下の問題点が明らかになった。

  1. (1)相談者には申込書しか交付されておらず、特定商取引に関する法律(以下、特商法)第37条第2項で規定された「契約書面」が交付されていないこと。
  2. (2)事業者の規約では学生の契約を禁止しているにもかかわらず、相談者と勧誘した友人(以下、勧誘者)は大学生であること。
  3. (3)勧誘者の勧めで、消費者金融から借り入れて契約していること。
  4. (4)借り入れの際、勧誘者から、学生ではなくアルバイトをしていて、年収200万円があり、ショッピングの目的で借りるなど事実でないことを記入するように指示されていること。
  5. (5)「誓約書」に記入させる際に虚偽の申告をするように勧誘者から指示があったこと。


 特商法第37条第2項の「契約書面」が交付されていない場合、クーリング・オフが可能であるし、特商法の通達で、大学生に消費者金融から借り入れをさせてまで連鎖販売取引の契約をさせることは適合性の原則に反するとされている。

 当センターは事業者に連絡し、事業者として勧誘者やマネジャーにどのような事実の確認をしたのか問い合わせたところ、「勧誘者に、(1)相談者を契約させる際に消費者金融へ付き添った事実はあるか、(2)相談者が学生であることを知っていたかという2点を確認したが、勧誘者からは(1)について、相談者が30万円借りる際に付き添った覚えはない、(2)について、相談者が大学生であることを知らなかったと回答された」ということであった。しかし、実際には、勧誘者と相談者は同じ大学、同じ学科の学生である。

 当センターは事業者の事実の確認は不十分であると判断し、再度詳しい調査をするよう事業者に申し入れた。しかし、事業者は「相談者および勧誘者のグループは以前から学生の契約が多く、問題のあるグループである。現在、グループ全体を調査しているため、個別の相談に関して事実確認をする余裕がない」と回答した。当センターは、「グループ全体の調査もさることながら、個別の事実確認も早急に行うべきである」と申し入れた。しばらくして、当センターより問い合わせたところ、事業者は「グループの調査はまだ完全に終わっていないが、グループ全体に学生の勧誘、消費者金融の利用、勧誘時の不実告知、販売目的を告げずに呼び出すなどの問題があることが分かってきた。勧誘者とも連絡が取れないため、相談者の申し出のほうが真実であると判断し、全額返金する」と回答した。後日、相談者に全額返金されたことを確認した。

問題点

 特商法の通達において、大学生に消費者金融から借り入れをさせてまで連鎖販売取引の契約をさせることは、適合性の原則に反するとされている。それにもかかわらず、大学生が大学生を勧誘し、嘘(うそ)の申告をさせて消費者金融から融資を受けさせ、契約させる強引な勧誘に問題がある。さらに、契約書面を交付していないことやお金を出せばもうかると説明しているだけで勧誘時の説明に不実告知があったなど、問題点が多かった。

 結果的に、相談者には全額返金の対応がなされたが、事業者の事実の確認はずさんで、個別案件での問題究明は最後まで行われなかった。事業者は責任をもって対応すべきであるし、問題勧誘がないよう会員に指導すべきである。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。