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[2007年8月20日:掲載]

病気がよくなると説明されたがまったく効果はなかった携帯音楽プレーヤー

 病気が治るとうたって携帯音楽プレーヤーを販売している連鎖販売業者。特定商取引法に抵触する恐れがあることを指摘した結果、解約にはなったものの、事業者は薬効に関するセールストークを行ったことは認めなかった事例について紹介する。


相談内容

 妻が重い病気にかかっていることが分かった。病気が少しでも早く治ることを願い、さまざまな民間療法も試みていた。そうした中、知人(以下、紹介者)から「イヤホンを通して音楽を聴くだけで奥さんの病気は治る」と言われて、紹介された販売員から商品の説明を受けた。「このようなもので本当に効果があるのか」と販売員に尋ねたところ、「本当に効く」と言われたので、藁(わら)にもすがる思いから、言われるままに契約書類にサインした。その場で商品を受け取り、妻に渡した。

 直接使い方を教えたいと言われたので、販売員が、入院先の病院で説明を行うことを了解した。

 しばらくして信販会社から明細書が届いた。商品の代金は30万円以上で、返済総額は約44万円になっていた。この頃、妻から「指示されたとおりに使っていたが、一向に効き目が表れないため、機械を使うことをやめてしまった」と聞かされた。また、販売員が病院で販売活動を行ったため、出入り禁止となったことも妻から聞いた。そこで、販売員や紹介者に商品の効果や代金のことなどを問いただそうとしたが、連絡がつかなかった。妻の病気に効果のない商品は要らない。返品するので支払ったお金を返してほしい。

(60歳代 男性 自営自由業)



処理概要

(1)商品について

 国民生活センター(以下、当センター)では、まず事業者のホームページから商品に関する情報収集を行ったところ、リラクゼーション効果があるというだけで、病気が治るという記載はまったく見当たらなかった。

(2)抗弁書の送付と事業者への確認

 事業者の販売方法に問題があると思われたので、相談者に信販会社へ抗弁書を郵送するように助言した。信販会社から当センターに対して、「抗弁に応じる。担当に調査を行うように指示した」という返事があった。並行して、当センターは、事業者に連絡を取り、事実確認を求めた。事業者からは、連鎖販売事業を行っていることを踏まえて、商品の販売に当たっては、特定商取引法始め関係法規、社内規定は必ず守るように指導しているという説明があった。

 さらに、1)販売員、2)紹介者から聞き取りをしたところ、以下の回答があったという報告もなされた。

1)販売員

  • 「ストレスをなくすことは病気にはよいことだ」とは言ったが、「病気に効く・治る」とは一切言っていない。医療用具ではないということも伝えた。
  • 既に相談者はこの商品を購入したいという気持ちが強い印象であった。また商品に関する詳しい質問は特に受けなかった。
  • 「商品を使用するのは妻である」という相談者の強い申し出があったので、商品購入と連鎖販売組織への登録申込書(以下、契約書面)の名義を、相談者の妻に書き換えた。
  • 相談者から商品の説明をしてほしいと言われたので、病院に出向いて説明を行った。病院内で他の人への販売活動は一切していない。

2)紹介者

  • 購入後2回ぐらい会ったが商品の苦情の話は一切なかった。今回の話を聞いて驚いている。
  • 自分は商品紹介後に体調が悪くなり、しばらく入院していた。


 上記の回答を相談者に伝えたところ、「そんなことはあり得ない、妻の病気に効くと聞いていなかったら買うはずがない」と憤った。さらに、契約書面に関しても、妻の名義にしてほしいと申し出たことは一切ないということだった。相談者は、入院中の妻のそばから離れることはできないということで、相談者・事業者(紹介者・販売者を含む)・当センターの三者面談を行うことはかなわなかった。

 事業者と相談者の主張が平行線をたどったことから、当センターは、相談者の金銭的な被害回復を図るために、契約書面の名義が妻の名義であったことに焦点を絞り、

  1. [1]たとえ相談者からの申し出があったとしても病気の妻の名義で会員登録(しかも消費会員ではなく連鎖販売組織の販売会員としての登録)を認めたことは問題がある。
  2. [2][1]の問題に加えて、そもそも妻を会員にするのを認めたのであれば、妻に対して法定書面の交付義務があるが、それを行っていないのは、特定商取引法違反(書面不交付など)である。

と主張して交渉したところ、事業者は、無条件解約に応じた。今後、いっそうの販売員等の指導を求めるとともに、こうした問題を発生させないように要望した。



問題点

 病気に苦しむ家族の治癒(ちゆ)を願う気持ちに付け込むような販売方法は許されるものではない。事業者は薬効をうたう販売方法を最後まで認めなかったものの、PIO−NETに類似の苦情が多数寄せられており、複数回にわたり聞き取りをした相談者の主張には一貫性があるので、正しいものと思われた。

 その後、事業者のホームページを確認したところ、消費者関連法規の順守を掲げて、特定商取引法や薬事法の規定を紹介するなど、若干の業務改善がみられた。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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