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[2007年4月20日:掲載]

法定書面の要件を満たさない電話機リース契約書

 クーリング・オフに関する記述がなかったため、無条件で解約に至った電話機リースの事例を紹介する。


相談内容

 電話機リース会社の代理店であるサプライヤーから「大手電話会社から来ました。インターネットを利用するためには、今使っている電話機を変えて、回線の工事をしなければなりません。新しい回線に変更後は、今使っている電話機が使えなくなり、インターネットの契約はできません」等と言われた。インターネットに興味があり、これから始めてみたいと思っていた。

 インターネットに関しての知識がなかったため、リースの電話機でないとインターネットを利用することができないと思い、自宅用の電話を約76万円、店舗用の電話を約67万円、計2台のリース契約を結んだ。契約書には、自宅用、店舗用の2枚とも営業員の指示どおり店舗名を記入し、リース代金は店舗名義の口座から引き落とすことにした。なお、自宅用電話機のリース代金は、事業の経費として計上していない。相手方の説明に疑問を抱きながらも月々の支払いを続けてきた。

 契約後、約3年が経過したとき知人から当該契約についてのアドバイスを受けたので、リース会社に解約の相談をしたが無理だと言われてあきらめた。しかし、最近になって問題のある電話機リース契約に関する報道を知った。自分も問題のある契約と思ったので、解約したい。

(60歳代 男性 自営自由業)



処理概要

 国民生活センター(以下、当センター)では相談者からの聞き取りの結果、二つの契約のうち店舗用に購入した電話機については、事業のために用いていたことになり、事業者からの相談は当センターでは扱えないことを説明し、自主交渉を勧めた。

 次に、相談者が自宅用に購入した電話機の契約書面を確認したところ、クーリング・オフの記載がなかった。既に、契約してから4年以上経過していたが、クーリング・オフ通知をリース会社とサプライヤーに送付するように助言した。リース会社は「サプライヤーと交渉してほしい」という態度であり、サプライヤーは相談者のクーリング・オフに応じなかった。そこで、これ以上相談者がサプライヤーと交渉することは難しいと判断し、当センターがあっせんを行うことにした。

 当センターはまず、サプライヤーと交渉に入った。当初、サプライヤーはかたくなにクーリング・オフを拒否した。しかし、当センターから、

  1. (1)営業員が訪問の際に「大手電話会社から来た」と相談者を欺く方法で訪ねていること。
  2. (2)リースの電話機でないとインターネットの利用ができないと相談者に思わせて勧誘していること。
  3. (3)法定書面の記載事項に不備があり、法定書面の不交付といえる状態であること。

を指摘した。その結果、サプライヤーは、約30万円の返金を申し出た。しかし、当センターは再度、法定書面の不交付の状態でありクーリング・オフが可能なため、全額返金するべきではないかと主張した。

 その結果、サプライヤーは「法律を順守しようと思うので、無条件解約に応じる」と、最終的に当センターの説得を受け入れて、全額返金に応じることになった。



問題点

 営業のために、もしくは営業として訪問販売で契約した場合は、特定商取引法の適用が除外される(法26条)。この点を悪用し、個人事業主等をねらった悪質な電話機リースの訪問販売にかかわる苦情が急増したことから、経済産業省は’05年12月に通達の改正を行い、「例えば、一見事業者名で契約を行っていても、購入商品や役務が、事業用というよりも主として個人用・家庭用に使用するためのものであった場合は、原則として本法は適用される。特に実質的に廃業していたり、事業実態がほとんどない零細事業者の場合には、本法が適用される可能性が高い」と特定商取引法の適用範囲を明確化した。本件も、個人事業主をねらった悪質な電話機リース契約の一つといえよう。

 本件のサプライヤーは、相談者に対して自宅用の契約書面に、事業者名を記入するよう誘導しており、事業者契約とし、クーリング・オフに関する記載がなされた書面を交付していなかった。また、それほど頻繁に電話がかかってくるわけではない個人に、高額で多機能なリース電話機を使うメリットがあるのか疑問である。それにもかかわらず、リース契約を結ばせている点も悪質であるといえよう。そのほかにも「今使っている電話機ではインターネットの利用ができない」という虚偽の事実を挙げて勧誘しており、契約から4年以上経過しているが全額返金という解決は妥当ではないかと考えられる。

 一方、今回リース会社は「サプライヤーと交渉してほしい」とリース会社は関係ないという姿勢であった。確かに、悪質な勧誘方法を行ったのはサプライヤーであるが、リース契約は、リース会社も密接不可分な関係であり、契約書面の発行主体であるリース会社の責任は大きいと思われる。

 仮に、サプライヤーが交渉に応じない場合は、リース会社と交渉することになると思うが、勧誘したのがサプライヤーだからリース会社は関係がないというわけにはいかないであろう。その点については、今後の検討課題としていきたい。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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