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[2007年1月24日:掲載]

法定書面の交付をせず、契約を締結させた資格教材販売事業者

 執拗(しつよう)な勧誘電話により契約をさせ、かつ法定書面を交付しない悪質な資格教材販売事業者の事例を紹介する。

相談内容

 資格を取れば専門知識を生かした仕事につけると考え、インターネットで見つけた第3種電気主任技術者試験(以下、電験3種)の資格教材販売事業者(以下、販売業者)に電話をかけたところ、「名前と電話番号を教えてください。担当者から電話させます」と言われたため、名前と電話番号を教えた。翌日から、販売業者の勧誘電話が数十回もあり、その度断ったが、最後は販売業者の説得に根負けして、契約を承諾した。

 後日、段ボール箱に入った電験3種資格教材が届き、信販契約申込書(以下、申込書)が同封されていた。申込書には商品金額、手数料等が未記入であり、自分の住所、氏名、引落口座名を記入し、本来手元に残すべきお客様控えを含めて、全て販売業者に返送するように注意事項が記載されていた。また、担当者から早く返送するように電話がかかってきたので、注意事項に沿って返送した。

 その後、信販会社からの確認電話があったが、よく分からないまま「はい」と答えた。1ヶ月間教材を放っておいたところ、同居している父に大量の教材をとがめられ、資格教材購入契約の話をした。父からは信販契約とは借金と同じことだと言われ、初めて信販契約の内容を知った。自分には、仕事が定期的にあるわけでなく、毎月の収入も不安定であり、借金はしたくないといつも思っていたので、解約したい。

(20歳代 男性 給与生活者)

処理概要

 国民生活センター(以下、当センター)では電話勧誘販売において、販売業者が相談者に交付しなくてはならない書面(法定書面)が交付されていないことから、クーリング・オフの行使を念頭に置きつつ、調査を始めた。まず、当センターから、信販会社に対して「申込書のお客様控えも含め、全て販売業者に返送させるように指示することに問題はないのか」と確認したところ、「販売業者は商品金額や手数料を記入した申込書を消費者に送り、消費者が個人情報を記入したあと、お客様控えは手元に残し、残りの書面を販売業者に返送すべきである」との回答を得た。

 これを受けて販売業者に以下の2点を指摘した。
(1)勧誘を断っている相談者に対して、数十回も勧誘電話をかけることは問題である。
(2)相談者の手元には書面が残っていない。電話勧誘販売に必要な法定書面が不交付である。

 この指摘に対する業者の回答は以下の通りであった。
(1)について 「はじめに資料請求の電話をしてきたのは相談者である。相談者をフォローするために2、3回こちらから電話をすることはあるが、数十回も電話することはありえない。相談者が嘘をついているとしか思えない」
(2)について 「金額欄が未記入の申込書を送るのは、一旦契約が成立したあとに、資格講座のコースを変更したいとか、分割払いの回数を変更したいとか申し出る消費者がおり、その都度書面のやり取りするのが面倒だからである。お客様控えも返送してもらうが、金額欄を記入した上で消費者のところに返送している。今回も郵送にて返送しており、書面は交付済みである。当社に非は全くない。契約解除に応じるつもりはない」とのことであった。念のため再度、相談者に確認したところ、「2、3回しか電話していないなんて全くの嘘だ。毎日電話がかかってきて、断りきれず申込をした。また、書面は返送されていない」
とのことであった。

 しかし、勧誘電話の内容についても立証することができず、また、電話の回数も着信履歴が消えてしまっていたため、立証することができなかった。

 そこで、当センターは勧誘方法の問題点からではなく、書面交付義務の点からの交渉を考え販売業者に対して法定書面不交付によるクーリング・オフを主張した。当初はクーリング・オフの主張に応じる気配は全く見せなかったが、法定書面交付の立証責任は事業者にあることを説明し、交渉したところ、最終的にはクーリング・オフに応じた。

まとめ

 今回は、販売業者の書面不交付という点からクーリング・オフを主張することが可能な事案であり、最終的にその事実が解決に結びついた。

 一方、消費者の側も信販会社からの確認電話に対して安易に回答するなど不注意な点もあった。理解できない契約には安易に応じないよう注意をしてほしい。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。