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[2006年11月10日:更新]
[2006年11月7日:掲載]

原野商法の二次被害

 不動産業者から「所有している土地を売って欲しい」という電話があった。その土地は、約30年前に将来性があると言われて利殖目的で購入した土地だったが、購入後値が上がらず、現在ではほとんど価値がなく、管理していない状態のものであった。

 後日、不動産業者の店舗に出向いたところ、「この土地は400万円で売れる。しかし、売却するためには正しく土地の面積、境界線を把握しなければならない。測量調査が絶対に必要である。測量調査は30万円だが、土地が売れれば損はない」と説明された。その場で、土地を売却するための媒介契約と測量サービスを契約した。

 その後、不動産業者から測量調査の結果が届き、料金を支払った。しかし、不動産業者から土地が売却できたという連絡がなかった。不動産業者に連絡すると、「周りの土地も一緒に売却できるように土地の所有者と交渉しているので、もう少し待って欲しい」と言われたが、媒介契約の有効期間も既に終了してしまっている。

 土地が売却できないのであれば、測量調査の意味がない。だまされたのではないか。

(70歳代 女性 無職)


アドバイス

 訪問販売や電話勧誘販売による「土地の測量」に関する契約であれば、特定商取引に関する法律(以下、「特商法」という)で、事業者には法定書面の交付義務があり、法定書面を契約者が受領した日を含む8日間以内であればクーリング・オフ(無条件解約)ができます。しかし、本件では電話の後、店舗に自ら出向いて説明を受けた上で契約しているため、訪問販売には該当しませんでした。

 特商法が適用できなかったため、当センターから相談者に以下の問題点を不動産業者に指摘し、取り消しを申し出るよう助言しました。

  • 不動産業者は本来の土地の値段よりもはるかに高額な値段を提示し、必ず売却できると言って勧誘している。しかし、実際には提示された額で売却できる可能性はかなり低かった。不動産業者が説明した内容には事実と異なる点があり、相談者は誤認して契約したと言える。(消費者契約法:不実告知)
  • 土地を売却するためには絶対に測量サービスの契約が必要であり、売却できれば測量サービスの料金を差引いても必ず利益が出ると説明している。土地を売却できない場合、測量サービスの料金を負担することになることを説明していない。(消費者契約法:断定的判断の提供、不利益事実の不告知)

 相談者が取り消しを申し出たところ、不動産業者から再度、「もう少し待って欲しい」と言われましたが、その言葉が信じられず、400万円で売却できる見込みが低かったため、測量サービスの取り消しを強く主張しました。その結果、不動産業者が支払済みの測量サービスの料金を返金し、相談者が測量調査の結果の資料を返還することとなりました。



コメント&解説

 原野商法とは、「ほとんど価値がなく将来の値上がりの見込みがほとんどない土地を、値上がりするかのように偽って売りつける商法」です。冒頭の事例の相談者は、約30年前にこの原野商法により土地を売りつけられたものと思われます。

 「将来確実に地価が上昇する」、「近くに高速道路、線路が建設予定である」などと言って、「今購入しておけば将来多大な利益が得られる」などと勧誘していても、実際には地価の上昇や建設計画等はなく、本来の価値の数十倍の値段で土地を売りつけている事業者もいます。これは、消費者契約法の不実告知、断定的判断の提供に該当し、契約を取り消すことができます。

 原野商法の二次被害とは、「将来必ず値上がりする」「もうすぐ道路ができる」などと虚偽の説明により、ほとんど価値のない山林や原野を時価の何倍もの価格で売りつける原野商法の被害者(一次被害)に対して、「土地の測量をしないと売却できない」「高額で売却するためには広告を出す必要がある」などと言って契約させ、高額な測量代や広告費、手数料などを請求するもの(二次被害)です。こうした二次被害が増加しているのはおそらく、以前、利殖目的で土地を購入した際の顧客リストが事業者間で出回り、ターゲットを絞った訪問販売や電話勧誘販売が行われているからと考えられます。

 相談内容の多くは、本件と同様、まず「以前購入した土地を売却しないか」という話を持ちかけられ、続けて「売却するためには正確な敷地の面積、境界線を測量する必要がある」と、測量サービスなどの契約を迫られます。また、土地を売却するための造成工事(整地)や広告代理サービスを勧誘されるケースもあります。

 特商法では、訪問販売、電話勧誘販売による契約(政令で指定された商品・権利・役務の契約に限る)においては、事業者に法定書面の交付義務があり、法定書面を契約者が受領した日を含む8日間以内であればクーリング・オフができます。土地の測量や造成工事(整地)は特商法の指定役務として政令で定められていますが、広告代理サービスは定められていないため、訪問販売や電話勧誘販売による契約であっても、事業者に法定書面の交付義務はなく、契約者がクーリング・オフをすることもできません。

 将来確実に利益が得られるなどのセールストークで勧誘する事業者には、取り合わないようにしましょう。また、そうしたものの二次被害にあわないよう注意しましょう。

 特商法の指定商品・指定役務に定められていない場合でも、勧誘方法に問題があれば、民法や消費者契約法等により解決できる可能性があります。早めに最寄りの消費生活センターに相談してください。




【参考】
以前より当センターホームページにて原野商法の二次被害についての注意を呼びかけています。詳しくは下記をご覧ください。
 ○多発する原野商法の二次被害(2006年7月6日:公表)



ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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