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[2006年12月15日:更新]
[2006年11月20日:掲載]

医療機関で契約したケミカルピーリング

 医療機関でケミカルピーリング等の契約をし、施術前に解約を申し出たところ、解約はできないと言われた事例を紹介する。


相談内容

 インターネットでケミカルピーリング(以下、ピーリング)を行っている病院を見つけ予約を入れた。予約日に病院に行き、問診表に記入した。担当者に会い、にきびについて質問を受け、にきび跡のことなどで悩んでいると伝えたところ担当者から、次のような説明を受けた。

 「ピーリングとクリアタッチ(肌に複数の波長の光を照射し、にきびに治療効果をうたう機器による施術)を同時に行うことによって、よりきれいな肌になる。ピーリングは医師が行い、クリアタッチは医師以外が行う。通院期間は約半年間である」。そして、料金表等を見せられ、申込書、治療同意書等に署名した。

 また、支払いはクレジットにしようと思い、カードAを渡したところ、限度額を超えたと言われたため、もう1枚持っていた別会社のカードBも使って一括払いすることにした(合計約18万円)。

 帰宅後、知人から治療を受ける前に高いお金を払うことはやめたほうがいいと言われ、キャンセルしたいと思うようになり、契約書を見るとクーリング・オフできないとの記載があった。クーリング・オフできないというのは本当か。

(20歳代 女性 給与生活者)



処理概要

 国民生活センター(以下、当センター)で、契約書等を確認したところ、キャンセルについて次のように記載されていた。

*当医院は医療機関であり、特定商取引法の適用対象外となっております。このため契約成立後は理由の如何にかかわらずクーリング・オフや中途解約はできません。
*当医院は患者様の健康上やむを得ない理由があると判断した場合に限り、以下の清算方法でキャンセルいたします。

 当センターは相談者に、ケミカルピーリングは特定商取引法(以下、特商法)の適用を受けないのでクーリング・オフはできないこと、割賦販売法の適用がないため抗弁を主張できないことなどを説明した。しかし、本件を準委任契約ととらえるとクーリング・オフはできないが相手方の損害を賠償すれば解約できると考えられることから、相談者に解約したい旨を病院と信販会社Aと信販会社Bに申し入れることを助言した。

 後日、相談者より「病院から、解約の理由を聞かれ、『一方的な理由でキャンセルは絶対できない、支払いは必ずしてもらう、通うか通わないかのどちらかしかない』と事務員に言われた」と連絡があった。また信販会社Bからは、本件は1回払いで、かつ割賦販売法の指定役務ではないので抗弁は認められず、予定どおり支払ってもらうと言われ、実際に引き落とされたとの報告があった。

 一方、信販会社Aからは「とりあえず引き落としは待つ」と言われたとのことだった。

 当センターから、病院に電話し、本件は契約から4日目の解約申し出であること、一度も施術を受けていないこと、次回施術日を予約していないという状況から契約金額を全額請求するのは問題であること、および「〜理由の如何にかかわらずクーリング・オフや中途解約はできません」という条項は消費者契約法9条1項、および10条に抵触する恐れがあることを伝えた。

 これに対して病院側は、契約書に書かれているように「健康上の理由がなければキャンセルできず、本件は全額支払ってもらうことになる」と回答し、消費者契約法について説明しても「それがどうかしましたか」というような対応であった。また、「当方は病院なので、国民生活センターから連絡をもらうこと自体が考えられず、交渉にも応じられない」という態度であった。

 そこで、当センターは割賦販売法の適用にならないことは承知のうえで、信販会社Aに相談内容や問題点を伝え、再度引き落としを待ってくれるように要請した。信販会社Aからは、本件病院は別の信販会社Cの加盟店になっており信販会社Cを通じて調査を依頼しているところであるとのことだった。当センターは、信販会社Cにも連絡し、同様に問題点等を指摘したところ、「本件については病院側に解約について検討を依頼している、調査結果が出るまでは引き落としは控える、病院から回答がない場合は信販会社の判断として売り上げを取り消す」との回答であった。

 その後、病院側より相談者に10%の解約料を請求したいという提案があり、相談者がこれに合意したため相談は終了した。



問題点

 本件の相談については、以下のような問題点があった。

(1)解約条項が消費者契約法の不当条項に当たると思われること。
(2)当該サービスは「人の皮膚を清潔にしもしくは美化し」「役務提供期間は1カ月以上」「金額は5万円以上」という特商法のエステティックサービスの要件に当てはまり、実質的には“エステティックサービス”である。しかし、ケミカルピーリングが医療機関で行われた場合は特商法が適用されず、施術を一度も受けておらず予約を入れていないという状況なのに解約できないこと。
(3)割賦販売法の指定役務ではないため、抗弁権の接続ができない。

 当該相談だけでなく、同様の問題点があれば当センターは病院と交渉を行っているが、一般的に病院側の対応には誠意はみられない。消費者にとってはサービス内容がエステティックサービスと実質的には同じであるにもかかわらず、提供する機関が異なるだけでトラブルが解決されないというのは問題であると考える。

 なお、その後信販会社Cから、当該病院について同様の相談が寄せられたことから約款の見直しを求めることにしたと連絡があった。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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