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[2006年8月18日:掲載]

高齢者をねらい次々と契約をさせる住宅リフォーム業者

 複数のリフォーム業者を転々としている営業担当者が、一人暮らしの高齢者をねらい、数年にわたり次々と契約させた事例を紹介する。


相談内容

 訪販リフォーム業者Aの営業担当者Xが、「自分がお金を支払うから契約しても心配ない、支払いは必要ない」などと言い、念書まで書いて渡してくれたため、信用して補強金具取付工事の契約をした。しかし、支払い請求があったので、業者Aに対して担当者Xが書いた念書を見せ、自分には支払い義務がないと主張したところ、業者Aからは「すでに担当者は辞めており会社とは関係がない、会社もだまされた」と言われ、まったく相手にされなかった。そのため、担当者Xに連絡したが連絡が取れなかった。自分は、担当者Xにだまされたのではないか。お金は支払わなければならないのか。

(70歳代 女性 無職)



処理概要

 相談者から地元の消費生活センター(以下、受付センター)に相談があった。受付センターが相談者に対して、ほかにも契約しているものがあるかと尋ねたところ、ほかにB、C、D、E社と契約を結んでいたことが判明した(計5業者)。契約書の内容を受付センターが検討し、各業者に事情を聞くために連絡をしたところ、業者Bはすでに倒産していた。また、その他の業者との契約書も、相談者が署名したものではないこと、すべての契約に関して、連絡が取れなくなった担当者Xが関与しており、契約書にXの氏名が記載されているということが判明した。

 受付センターは、相談者に対してどのような経緯でこのように次々と契約を結んだのかと尋ねたところ、担当者のことを「自分の話を聞いて親切にしてくれていい人だったから」「念書まで書いてくれたから」などと、全面的に担当者Xのことを信頼していたため、自分がだまされているという意識は、当初はまったくなかったという。なお、この段階では担当者Xが相談者に対して書いた念書は見つからないと言うため、受付センターは相談者に対して念書を探すように依頼をした。

 また、受付センターは相談者に対して今までの支払いはどのようにしていたのか尋ねたところ、契約金額が高額になり支払いが困難になってきたため、担当者Xに相談をし、その際に自分の通帳を見せ「お金がもうない」と言ったところ、消費者金融に連れていかれ10万円を借りさせられてXに渡した。なぜ、お金を渡したのか尋ねたところ、ローンの振り込みに充てるものと思っていたという。

 さらに、受付センターは工事内容が適正に行われていたか否か確認するため一級建築士に相談者の自宅を調べてもらうことを依頼し、一級建築士に調査報告書を提出してもらった。調査報告書によると、(1)小屋裏の補強金具の一部にねじの止め不足があり、工事費に見合った工事内容であるか疑問がある、(2)床下補強について、補強効果の見込まれない部位にも工事が施されている。また、金物の傾き、ボルト不足等、施工精度の悪い所が見受けられる、(3)床下の調湿剤の効果があるのか疑問がある、(4)台所床下補強についても、施工精度に問題があるという結果であった。

 そこで、受付センターは相談者に対して、業者ACDEおよび関連する信販会社に対して調査報告書を添付した契約解除の通知を送付するよう助言した。

 後日、相談の発端となった業者Aから連絡があり「当社には金がない」と言い、解約返金の話し合いに応じる姿勢がみられなかった。また当該契約の信販会社も残済がわずかだから支払ってもらえないかと言い出した。一方、他の業者Cは当初契約金額の半額を返金すると言ったが、受付センターが工事内容、金額の不適切さを指摘し交渉をした結果、ほぼ全額が返金されることとなった。また、業者Dは既払金の全額返還、業者Eは既払金の約9割の返還となった。

 数日後、相談者から受付センターに念書が見つかったと報告があった。そこで、受付センターは国民生活センター(以下、当センター)に対して、当該念書をどのように交渉に利用したらいいかと相談をした。当センターで念書の法的効果、および交渉の進め方について検討をし、受付センターに対して以下の助言をした。

  1. (1)業者Aは念書を見て相談者と営業担当者が共謀し、代金を払わず工事だけを施工させたのではないか、詐欺を働いたのではないかと主張しかねないので、慎重に取り扱うこと。
  2. (2)念書を警察に持っていき被害届を出し、そのうえで業者Aおよび信販会社に対して念書と、建築士が作成した調査報告書をもとに解約交渉をすること。
  3. (3)業者Aは自分たちもXにだまされたから責任がないと言うが、その理屈は通らない。使用者として担当者Xを利用したのであり、責任は免れない。業者Aが相談者に対して責任を果たした後は、業者Aと担当者Xとの求償関係の問題となる。

 以上の助言をもとに受付センターが再度、業者Aおよび信販会社と交渉をしたところ、信販会社から既払金の約8割の返金ということになり相談処理は終了となった。



問題点

 今回の相談は、契約日から時間がかなり経過しており、あっせんについて難航が予想された。また、営業担当者Xの問題性も高いことが相談途中に判明したことから、慎重な処理が求められた。Xの行為が悪質であることは間違いないが、そのようなXを利用していた責任は当然、販売会社にあり、その使用者責任は重いと考える。

 本件は、受付センターの粘り強い交渉が、既払金の返還という成果を勝ち取ることができたと思われる。一人暮らしの高齢者の寂しさに付け込んだ本件のような事例はほかにも多数あり、今後も引き続き注視していく必要がある。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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