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[2006年2月15日:掲載]

「上場間近で必ず儲かる」と勧誘された未公開株

 「利殖に関するとっておきの情報があるが、興味はないか」という勧誘の電話の後、自宅を訪ねてきた販売員に、「今この会社の未公開株を買えば、半年後には上場して50万円の出資に対して80万円の儲けが加わり、130万円になる」と説明され、50万円で未公開株を購入した。その後、「別の会社の未公開株を90万円で買えば、4倍になる」と同じ販売員に再度勧誘され、応じてしまった。

 実際に儲かるか不安になった。解約して返金してほしい。

(60歳代 男性 無職)


アドバイス

 販売業者から相談者に渡された書類をセンターで確認したところ、説明事項確認書と題する書類の中には、「未上場株であり、上場日及び上場価格が確定しているものではありません」との一文があり、販売員の口頭での説明と矛盾していました。また、株式譲渡契約書と題する書類の中には、「約定単価」「約定金額」「受渡日」など、証券業界で飛び交う用語が見られました。

 “営業として”株取引(有価証券の売買等)を行うには、証券取引法により証券業の登録が必要なため、本件の販売業者が証券業の登録を行っているか金融庁のホームページで調べましたが、登録はありませんでした。

 また、最初に購入した未公開株の発行会社のホームページには、「当社株式に関するお知らせ」と題して、「当社の株式について、購入を勧誘する活動がある旨の情報が寄せられています。寄せられた情報の中には、事実と違う内容を告知して勧誘している例が多く見受けられます」としたうえで、「当社は株式上場の予定は全くありません。将来にわたる株式上場も全く検討していません。当社は、株式の売買について外部の法人もしくは個人への委託は一切行っていません。法外に高額と思われる売買価格を提示している例も見受けられます」との注意喚起がなされているのを確認しました。

 センターから販売業者に連絡し、本件に関して以下のような問題点を指摘しました。

  • 証券業の登録がないにもかかわらず、“営業として”株式の売買を行っていると思われ、違法ではないか。
  • 販売員は、上場が決まっていると言い、上場後の利益についても具体的な数字を挙げて説明しているが、説明事項確認書では、上場日及び上場価格が確定しているものではないと記述しており、矛盾がある。
  • 発行会社のホームページの注意喚起によれば、株式上場の予定はなく、契約締結過程において、事実と異なる説明を行っており、消費者契約法の「不実告知」に当たるおそれがあり、契約は「取消」となるべきである。

 販売業者は当初、責任者が不在であるなどと、なかなかあっせんに応じませんでしたが、最終的には、受領した金額の合計の7割を1ヵ月後に返金してもよいと回答してきました。

 本来なら、全額が速やかに返金されるべきであると考えられることから、センターから相談者には、7割という返金額の妥当性、訴訟によって返金を求める方法などについて弁護士による法律相談を受けたうえで、この条件で合意するか否か判断してはどうかとアドバイスしました。

 その後相談者から、7割ならすぐに返金すると販売業者が約束したため、この条件で合意し、実際に返金がなされたと報告がありました。



コメント&解説

 本件事例のように、未公開株購入にかかるトラブル関する相談が増えています。相談事例の内容は、「代金を振り込むと、販売業者が発行する預り証(または株券のコピー)が送られてきたが、株券は送付されない」「送られてきた株券は他人の名義となっていたので、発行会社に問い合わせたところ、譲渡制限がついており、名義の書き換えには応じられないと言われた」「上場すると説明された時期を過ぎても一向に上場されない」「販売業者と連絡がつかなくなった」など、詐欺的な内容も含めさまざまです。

 トラブルにあった相談者は株取引の経験があるという人に限らず、まったく株取引をしたことがないという人も少なくありません。上場直後の株は値上がりするケースが少なくなく、上場益を狙いたい投資家の注目を集めているようですが、上場前や公募時に株式を取得できる機会は限られていることから、「上場間近で値上がり確実な未公開株を買わないか」と勧誘されると、株取引の経験がある人もない人、つい「うまい話」に乗ってしまう傾向があるようです。

 本件は、センターのあっせんで販売業者が7割の返金に応じてもよいとの回答があり、合意後に返金が実行されましたが、一般にこれらの販売業者の信用度は不明であり、返金が確実に実行される保証はありません。そもそも、連絡がつかなくなる販売業者やセンターからの問い合わせに一切応じない販売業者が多いのが現実です。これらの販売業者から購入代金を取り戻すのは至難の業と言えます。

 トラブルを回避するには、これらの勧誘には取り合わず、きっぱり断ることが何より大切です。

 なお、詐欺など違法行為の要素が強いと思われる事案は、警察へ届け出ておきましょう。

【参考】




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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