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[2006年3月20日:掲載]

携帯電話を紛失後、利用された国際ローミングサービス

 日本の携帯電話会社が提携する海外事業者の設備を利用して、海外でも電話やメールなどが利用できるようになってきた。今回は、そのサービスにより、思わぬトラブルになってしまった事例を紹介する。

相談内容

 国内のみで使用できる機種を選んで携帯電話を購入した。娘が海外旅行でカメラとして利用するために携帯電話を持って行ったが、旅行中にそれが盗まれてしまった。現地警察に被害届を出したが、海外で使われることはないと思い、電話会社には日本に帰ってから約10日後(電話を盗まれてから12日後)に連絡し、電話を解約した。翌月電話会社から請求書が届き、通信料が300万円を超えていると知って驚いた。電話会社に連絡をしたが、「国際ローミングサービス(注1)が使われている。支払ってもらうしかない」と高額な請求にもかかわらず、まったく取り合ってもらえない。娘の電話は、国際ローミングはできない機種であるし、支払うことに納得できないが、どうしたらよいか。

 注1 契約している電話会社のサービスを海外の提携事業者の設備を利用して受けられるサービス。電話会社によってサービスの内容は異なるが、日本国内で利用している電話の番号が海外でもそのまま利用できるほか、インターネットなどができる。

(40歳代 女性 給与生活者)

処理概要

 国民生活センター(以下、当センター)では、相談者から契約書、パンフレット、取扱説明書等を取り寄せた。パンフレットを見ると、確かに当該機種は、国際ローミングはできない端末と記載されていた。

 当センターから電話会社に対し問い合わせたところ、電話会社は、「国際ローミングは、現在販売時に自動的に加入するようになっており、必要がなければ解約する方法をとっている。この種類の電話は、ICカード(注2)を差し替えれば、海外でも使える。したがって、今回の料金について考慮の余地はない」という回答であった。つまり、当該機種のままでは海外では使えないが、電話機の中に挿入されているICカードを抜き出し、海外で利用できる電話機に差し替えれば、この相談者の娘が利用したものとして利用ができるということであった。しかしながら、相談者は販売時にICカードおよび国際ローミング契約が付加されていることについて説明を受けておらず、「店員が『このカードを入れないと使えません』とその場で電話端末の裏のどこかを開けて入れてくれた。このカードがそんなに重要なものであることは聞いていなかった」ということだった。

 当センターでは、販売した家電量販店に販売時の説明について問い合わせたところ、国際ローミングやICカードの詳しい説明は特にしていないという回答があった。

 そこで、当センターの顧問弁護士に見解を求めたところ、「当該電話機は、海外での利用は不可能であるにもかかわらず、契約者は海外での利用のための契約を自動的にしている。販売に際しても、当該機種は海外での利用が不能なため、国際ローミングの説明はされないとのこと。利用者は、当該契約の存在を知らず、知ることも困難なまま契約書に署名しているものと思われ、当該契約は意思の合致を欠き不成立と言うべきである」との回答であり、これを踏まえてあっせんに当たった。

 電話会社は、基本的には取扱説明書を理解し使ってもらうので、請求を止めないという対応であったが、資料を照らし合わせながら確認をし、次のような問題点を指摘した。

  • 当該機種については、パンフレットに国際ローミングができない機種とされており、消費者は海外では利用できないものと認識していた。
  • 申込書には、国際ローミングの加入が自動加入になっており、解除するには申し出が必要であるが、その説明はされていない。
  • 消費者に対してICカードの説明が不十分であり消費者も認識が薄い。

 相談者は、「国際ローミング代については、契約をしていないし、説明も受けていないのだから支払わない。異常な使い方であり、電話会社から連絡すべきではないか」という主張をした。

 電話会社は、これまでの経緯を踏まえて検討した結果、減額の姿勢をみせた。相談者との主張とは食い違うものの、電話会社は本人への連絡を何度も試みたと言っていること、また、帰国してから電話会社に利用停止を申し出るまでに時間があったことなどから、最終的に相当額減額された金額で、両者が合意した。

 またその後、電話会社も、利用案内や説明書などに注意表示をするなど、一部表示の改善がなされた。

 注2 携帯電話で通信を行うための中核の役割を果たすもので、内蔵のICチップに電話番号、アドレスなどの情報が記憶されている。電話機を変えてもカードを差し替えれば、同じ人が利用していると認識される。電話会社によって、カードの呼び名は異なる。

問題点

 電話会社各社が提供する新しいサービスにより、消費者にとって便利になる一方で、サービスに対する情報提供が不十分なため、システムが理解できずにトラブルになってしまうことがある。本件では、パンフレットを始め、表示が非常に分かりにくく、当センターであっせんをするに当たって、注意深く資料を読み込んでも理解できない部分が多かった。

 本件では、第三者によるICカードの不正使用防止のための暗証番号を設定することもできたが、相談者はトラブルが起こり得ることを知らず、設定を行っていなかった。

 通話するつもりがなくても携帯電話を海外に持って行く消費者もいると思われ、ICカードの重要性が認識されなければ同種のトラブルになり得る。電話会社には、十分な情報提供と分かりやすい表示を望みたい。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。