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[2005年12月20日:掲載]

電子レンジで加熱した豆乳の突沸

 飲料物などを電子レンジで加熱する際、「突沸」(注1)の発生を予測し、危険を回避することを念頭に置いている消費者は多くないはずである。今回は、豆乳を電子レンジで加熱した後、突沸により豆乳が跳ね上がり、顔に大やけどを負った事例を紹介する。


相談内容

 紙パック入りの豆乳を湯飲み茶碗に半分くらい注ぎ、電子レンジの「あたためボタン」を押して加熱した。終了したので取り出し、台の上に置いてかき混ぜようとスプーンを入れた途端、豆乳が1メートルくらい噴き上がり、顔に大やけどを負い通院・治療に2ヵ月を要した。

 豆乳メーカーのお客様相談室に電話し事故の発生を知らせたが、担当者の対応は「国民生活センターが公表した資料(注2)がありますが、今回のような現象は“突沸”といって当社の製品だから起こるのではありません。ですから当社には一切責任はありません」というものだった。金銭的要求をしているわけではなく、事故の再発を防ぐことはできないかと思っただけなので、国民生活センター(以下、当センター)に相談することにした。

(50歳代 女性 給与生活者)



処理概要

 当センターは相談者に「この公表資料の趣旨は、電子レンジを安全に使用するため、危険な事例などを具体的に説明し消費者に注意を呼びかけるもので、突沸現象が起きて消費者が危害を受けても、メーカー等に責任がないとするものではありません」と説明するとともに、本件のような事故はかなりの頻度で発生するものなのか、商品テスト部において事故状況の再現テストを実施することにした。

(1)商品テスト結果

 苦情同型品の豆乳を電子レンジで温めたところ(「あたためボタン」を使用)、2回目の温め終了後(温め直しを想定)にスプーンを入れると豆乳が噴き上がり、本件事故と同様に危険な状態になることが確認できた。また、参考品の豆乳4銘柄と牛乳4銘柄も同様にテストを行ったが、苦情同型品と同じ結果であり、苦情同型品に限った現象でないことが分かった。

 また、電子レンジで加熱したときの「突沸」等に関する注意表示を調べたところ、苦情同型品を始め、参考品の豆乳や牛乳には表示がなかった。しかし、調理器具である電子レンジの取扱説明書には、「突沸」や「沸騰」によるやけどの注意表示があった。

 消費者は次の点を守って「突沸」事故を回避するとよい。

 1) 「あたためボタン」のみによる飲料物の加熱は、過熱状態となる場合があるのでなるべく行わない。
 2) 過熱された恐れがある場合は、加熱後すぐに取り出さず、1〜2分以上冷ますこと。

(2)電子レンジメーカーへの連絡

 相談者の苦情対象は、豆乳メーカーについてのみだったが、当センターの判断で相談者の了承を得たうえで、電子レンジメーカーに本件事故の発生を知らせた。

 相談者宅の電子レンジ(2002年製)の取扱説明書には、牛乳、酒、水、バター、生クリームなどを電子レンジで温める際は、突沸現象に注意が必要である旨の記述があったが、豆乳については記載がなかったことから、現在販売中の電子レンジの取扱説明書ではどうなっているか尋ねたところ、記述内容に変更はないとのことだった。さらに、本件事故の発生を知って、今後取扱説明書に豆乳についても記述を入れることを検討するか尋ねたところ、現時点で記述を入れると約束はできないが、検討はするとのことだった。

(3)豆乳メーカーの対応

 商品テスト結果が出たところで、豆乳メーカーの担当者に来所を求めた。当センターは担当者に対して、「自社製品使用中に大けがをした消費者への対応として、問題があったのではないか」と尋ねた。これに対し担当者は、非を認めたうえで、相談者に対して、これまでの対応について謝罪するとともに、改めてお見舞いをしたいとの意向であった。

 さらに当センターは、事故の再発防止に関して、本体パッケージにやけどに関する注意表示を入れることは検討できないか尋ねた。担当者からは即答はなかったが、社に持ち帰り検討することが約束された。

 お見舞いに関しては、相談者の意向を確認し、最終的に、治療に要した実費相当額が見舞金として支払われることで合意となった。

 注意表示に関しては、パッケージに「温めすぎやオート(自動)機能での加熱は突然の沸騰や火傷の原因になります。ご注意ください」という注意表示を入れるとの報告があった。



問題点

 電子レンジで加熱する際のやけどに関する注意表示がないことで、欠陥(指示・警告上の欠陥)があるとして、PL法上の責任を問うのは困難かもしれない。ただし、事故の再発防止の観点からすれば、少なくとも事故が発生した商品のメーカーは、その対応策について積極的な取り組みが求められる。

 この点について当該メーカーは、注意表示のレベルや表現に関して他社との横並び意識から、当初難色を示した。最終的にはその重要性を理解し対応がみられたが、相談者から事故発生の連絡が入った段階で、早急に検討すべきであった。

注1 通常、液体を加熱し沸点に達すると、液体内部から水蒸気が発生し沸騰状態となるが、まれに沸点に達しても沸騰しない場合がある。この状態の液体が何らかのショックを受け急激に沸騰を起こす現象を「突沸」という。

注2 電子レンジを安全に使うために − 使い方による危険性を探る− (2003年9月5日公表)




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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