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[2005年10月20日:掲載]

いずれ家が傾くと言われて契約した浴室のリフォーム工事

 最近、悪質な訪問販売による住宅リフォーム工事が社会問題になっているが、土台が腐っていると言われて浴室のリフォーム工事を契約したものの、実際にはそのようなことがなくトラブルになった事例を紹介する。


相談内容

 数年前に住宅リフォーム業者(以下、事業者)と白アリ駆除サービスを契約したことがきっかけで、事業者が毎年点検に来ていた。今年も営業員2人が来訪した。床下の点検後、営業員が「浴室の土台に付いているとめ板が腐っているので土台も腐っている。だから浴室に接した通し柱が腐っている。このまま放置すると家が傾き屋根が落ちる」と、湿った木片を見せながら説明した。また床下に潜ったときに撮影したデジカメの画像も見せられた。営業員から、家が傾けば大金がかかるが、今なら浴室のリフォーム工事代だけで済むので早めに工事をしたほうがいいとも言われた。自宅は築23年の木造であり不安になって、浴室のリフォーム工事の契約をした(工事代金159万2850円、クレジット総額196万7070円、120回払い)。

 着工日にまず浴室が撤去された。自分で現場をのぞいてみると、浴室の土台は腐っておらず、ぬれてもいなかった。これなら浴室を工事する必要はないと思い、慌てて工事をしていた職人に尋ねたところ「確かにぬれていないのでなぜ工事をするのか疑問に思った」と言ったので、すぐ事業者に電話をして工事の中止を求め、営業員に自宅に来るように頼んだ。

 後日、上司と営業員が来訪し「土台が腐っている可能性があると言っただけでウソは言っていない」と説明された。話し合った結果、「社員割引き」の100万円で契約することに口頭で合意した。

 しかし納得できないものがあったので、消費者相談窓口に相談したところ「消費者契約法の不実告知による取り消しが可能であろう」と言われた。契約を取り消したいと事業者に伝えたところ「裁判をする」と言われた。どうしたらよいか。

(30歳代 男性 給与生活者)



処理概要

 相談を受けて、国民生活センター(以下、当センター)が、事業者に「浴室の土台に付いているとめ板が腐っている」とは具体的にどういうことかなど説明を求めたところ、事業者は「相談者が不満だと言うので値引きに応じ、新たな契約書まで作成して、サインをもらうだけのところまできたのに、いまさら取り消しとは何ごとか」と交渉に応じる気配はなかった。しかし、当センターが粘り強く交渉したところ、事業者から「洗面所側にある浴室の板がドライバーが簡単に刺さってしまうほど腐っていた。また、腐っていた板と土台が接していたため土台も腐っているかぬれている可能性があった」という内容の文書が送付されてきた。

 この点について、相談者が自宅の現場を確認して、板と土台は接しておらず浴室の土台と板の構造は事業者の主張するような状況にないことが分かった。また通し柱の位置を知るために自宅を友人の大工に見てもらったところ、「台所と浴室の境界にある柱が通し柱の可能性があるが、上まで登ってみないと分からない。浴室設備が撤去された状態を見ても通し柱がどれであるのか分からないのだから、工事前に通し柱が分かるはずはないと思う」というコメントだった。

 実際に浴室を撤去した後、土台は腐っていなかったこと、土台に接している板はないこと、また通し柱の位置が不明確であるという状況から、当センターは「浴室の土台に付いている板が腐っており、通し柱が腐って家が傾く」とはいえず、事実と異なることを告げられたため契約したものであると再度主張し、特定商取引法9条の2第1項による契約の取り消しを求めた。しかし事業者は「浴室の土台に付いている板が腐っていた」と強く反論した。

 事業者は契約時の「土台が腐っている」等の説明については認めず、交渉は膠着状況となったため、当センターは信販会社に相談の内容を伝え協力を求めた。信販会社は「事業者と当社との取引は長く、施工技術も信頼できる。工事代金を減額することで解決方法と考えるので事業者に働きかけたい」という回答だった。

 信販会社からの働きかけもあったのか、後日事業者から減額(値引き後の工事代金100万円の2分の1の50万円)に応じるとの回答があり、相談者は工事契約書の内容(「基礎工事」の具体的内容、ユニットバスのメーカーの保証内容、ユニットバスメーカーの施工要領等)を確認するとともに和解書を交わした。



問題点

 当センターが事業者に、通常どのように勧誘・契約するのかについて尋ねたところ、勧誘から契約に至るまで契約者の意思を確認し手続きを踏んでいると強調した。実際、今回のケースもこの手順どおりの手続きが行われており、契約意思の確認が不十分であるとは主張できなかった。

 今回は強引な勧誘や高齢者への販売等の問題はなく、争点は「不実告知」を行ったか否かであった。営業員の説明をめぐっては事業者と真っ向から対立し、結局「契約の取り消しに応じる」という回答を事業者から引き出すことはできずに、当初の工事代金の3分の1という結果になった。’04年11月、特定商取引法が改正され新たに取消権の規定が設けられたが、相談処理の現場では、言った、言わないの水かけ論になることも多く、取消権の規定を実際に活用し事業者に取り消しを認めさせるのは難しい、といえる。

 なお、工事代金の支払い方法について、相談者は工事完了日に一括現金で支払いたいと申し出たが、事業者はこれを拒否し、クレジットの一括払いをしきりに勧めた。理由は営業員が持ち逃げする恐れがあるから、とのことだった。結局、工事完了日に代金全額を銀行振り込みすることで合意した。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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