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[2005年8月19日:掲載]

説明が不十分なワーキングホリデープログラム

 ワーキングホリデーや留学など海外の長期滞在の手続きを自分で進めることに不安のある消費者に対し、情報提供や、計画を立てる際のカウンセリングなどのサービスを提供する事業者がある。今回は、事業者側の説明不足が原因でトラブルになった事例を紹介する。

相談内容

 海外で仕事をしながら語学を学びたいと思い、事業者に資料請求した。
その後、事業者の担当者から電話があり、希望の都市や予算を伝えると、オーストラリアのワーキングホリデーで、現地語学学校での勉強や、アルバイト先を紹介してもらえるプログラムを勧められた。料金は約55万円であることを簡単に説明され、まず会員になる必要があり、申込金として約16万円を今日中に送金してほしいと言われた。急に代金を請求されたので驚き、そのときは待ってもらった。

 後日契約書などの書類が届き、書類を返送し、申込金を事業者に送金した。申込金は、語学学校の授業料などに充てられると思っていた。

 申込金を支払って会員になれば、詳しい学校の資料などが届くと思っていたが、会員になってもどのようなサービスが提供されるのか分からず、ホームページを見ても、契約前後で得られる情報に差がなかった。

 その後、約2カ月間事業者から連絡がなく、留学や渡航に関する情報提供はなかった。しかし、突然「最終手続きの資料を送ったので、返送してほしい。説明会があるので、来てほしい」と言われた。突然出発の話になったのでさらに不安になり、解約を申し出たところ、申込金の7割が解約料であると言われ驚いた。手続きも始まっていないし、何もサービスを受けていないのに、7割の解約料は高過ぎる。

(20歳代 女性 無職)

処理概要

 当初、相談者は居住地の消費生活センター(以下、受付センター)に相談し、受付センターがあっせんに当たった。受付センターが解約料の根拠を問い合わせたが、明確な回答がなかったため、受付センターから国民生活センター(以下、当センター)に相談があり、移送を受けた。

 当センターから事業者に来訪を求め解約料の根拠について問い合わせたところ、次のような回答であった。

 申込金は主にカウンセリング代に使われている。
このプログラムは相談者が質問をしてくればそれに回答するものである。しかし、相談者は問い合わせをしてこなかった。相談者が利用していないだけである。当社がサービスを提供していないわけではない。

 申込後1週間の間にオリエンテーションをしている。これは、営業担当者と別の者が行っている。そこで、契約内容を改めて説明して、営業担当者から聞いた話と違うという場合には、クーリング・オフ制度はないが、全額返金に応じている。解約料についても説明している。

 当センターは次の問題点を指摘した。

 相談者は、積極的に事業者から連絡がありカウンセリングを受けるものだと思っている。自ら連絡をしないと何もしてもらえないサービスだとは認識していない。また、代金はホームステイ等の代金に使われるものと思っており、カウンセリング代であるということも認識していない。相談者は契約の内容をきちんと理解していないため、「何もしてもらっていないし、出発まで約3カ月もあり解約料が高額である」といった苦情につながっている。これは、提供されるサービスの内容が不明確で、事業者の説明が不十分なため、何に代金がかかっているのかが消費者に伝わっていないからではないか。

 事業者側の記録上の申込受付日には、相談者は契約書を受け取っていない。詳細が分からないまま、契約成立になっている。

 プログラム内容の説明が申込金に含まれているとのことだが、相談者は契約締結前にオーストラリアに行くこともプログラムの内容も相談して決めている。契約締結までは、営業活動であり、有料のサービスではないのではないか。どこからが有料のサービスなのかが不明確である。

 相談者は、事業者のいう有料部分のカウンセリングはほとんど受けていない。そのことから考えると、サービスの提供を受けていないので、7割の解約料はやはり高額である。

 ワーキングホリデービザについて、説明を受けていない。その証拠に、申込書にビザ不要に○がついている。相談者になぜ不要に○をつけたのか尋ねたが、まったくビザについての認識はなかった。

 相談者は申込後のオリエンテーションを受けていない。

 事業者は、再度事実確認のうえ、ワーキングホリデーには欠かせないビザの説明をしていないこと、オリエンテーションも行っていないこと、また、申込受付後に契約書が送付されていることなど、落ち度があったことを認めた。その結果、解約料として約1万円を提示し、残金は相談者に返金するという提示があり、相談者が了承した。

問題点

 この事例では、事業者がプログラムの代金はどのサービスに対しての対価であるかという説明を十分に行っていないため、消費者は事業者から受けるべきサービスを受けていないと感じているという根本的なところに原因があると思われた。今後、事業者はいろいろな面倒をみるサービスではなく、消費者からの質問に回答するものであることを最初に説明すべきである。

 今回、解約料について消費者契約法第9条1号の平均的損害額を上回るのではないかということで解決が図られるか検討したが、約款だけでは事業者の解約料が不当に高額であるという結論を導くのは難しく、説明不足などの事業者側の落ち度を指摘しあっせんをした。事業者が本来の契約内容を十分に説明し、消費者が理解したうえでサービスを受けていた場合に、事業者の解約料が不当かどうかを再度検討する必要がある。

 また消費者にも、一人で海外生活を希望するからには積極的な姿勢が必要であり、不安や疑問に思うことがあれば自ら問い合わせるなどの対応が望まれる。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。