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[2005年7月20日:掲載]

教育相談員の指導を期待して契約した補習用教材

 今回は、補習用教材の訪問販売で、教員免許を持つ販売員が指導する約束が果たされなかったという事例を紹介する。


相談内容

 事業者から「新しい学習方法について聞いてほしい」と電話があり断ったが、見るだけでもとしつこく言われ承諾した。後日、「教育指導員」と肩書のある名刺を持つ販売員が来訪した。販売員は「勉強の仕方が分からなければ、教員免許を持っている自分が責任を持って教える。小4から中3までの教材のセット販売だが、指導も行うので大勢は扱えず、あと数人しか受けない。指導要領が変わっても、変更教材を送るので大丈夫。小学生用ワークもつける。月々1万円くらいの代金で、中学3年生まで責任を持って指導する」など、約2時間説明され、結局契約した。教材の代金は87万円、手数料等を含めると約125万円で、ボーナス併用のクレジット契約にした。

 教材は教科書に合っていると説明されたが、勉強を始めてみると、目次と照らし合わせて自分で探す手間のかかるものであった。そのうえ、指導するというので契約したのに販売員からは連絡がなく、1カ月後に催促の電話をして、その半月後にようやく1時間くらい、教材の使い方の説明に来た。しかしその後は電話も訪問も一切ない。勧誘時の説明と違うので解約したい。

(30歳代 女性 給与生活者)



処理概要

 国民生活センター(以下、当センター)では、契約時の経緯と解約理由を書いた通知書と抗弁書を、事業者とクレジット会社に送るよう助言。契約書を確認したが、役務欄には「無」とあり、商品欄にもコース名のみで、詳しい商品や料金の内訳の記載がなかった。販売員の名刺には「教育指導員」という肩書があり、事業者名のほかに教材メーカーA社のロゴと社名が印刷されていた。

 クレジット会社に確認すると、教材はA社が作製したもので、当該契約は役務のない教材のみの契約だとの認識であった。販売員の名刺にA社のロゴが印刷されていることや「教育指導員」の肩書については分からない、とのことであった。

 A社は、「事業者は当社の特約代理店である。名刺に当社のロゴを使うことは認めているが、教育指導員という肩書については関与していない。当社はメーカーなので販売の仕方には関知していない。役務の有無についても関与しないが、事業者が役務つきで販売しているとは聞いていない」とのことであった。

 事業者の担当販売員からは、「指導のつかない教材のみの販売であることは十分説明しているので解約には応じない」との返事があり、相談者の「販売員は教員免許を持っており指導もすると言っていた」という主張についても否定した。そのため、クレジット会社に加盟店指導を依頼したところ、販売員より「中学生分については解約に応じるが、小学生分は応じない。また、全体の5%に当たる4万3500円を違約金として請求する」と回答があった。

 当センターでは、「教材のみの販売契約だというが、現に苦情が出ているのだから、説明が不十分だったか、誤解するようなセールストークがあったのではないか。契約書には教材のコース名のみで明確な分量が分からない。相談者は小学生分の未開封分も返品を望んでいるので、学年ごとの単価を明らかにしてほしい。また、販売員とではなく、代表者と解約交渉をしたい」と伝えた。

 その後相談者より、「自分は二つのコースを87万円で契約したと思っていたが、A社のホームページを見たところ、小4から中3までのセットを50万円で販売している」と連絡があった。そこでA社に問い合わせたところ、「事業者は今回、当社のコース教材と別会社の小学生ワークをセットにして87万円で販売しているようだ」と返事があった。クレジット会社へこれまでの経過を報告し、事業者へ商品明細と価格についての説明を求めている旨を伝えたが、事業者から説明がないため、さらに加盟店指導を依頼し、三者面談も考慮している旨を伝え、やっと商品明細と価格の内訳が届いた(中学生用40万3000円、小学生用7万8000円、小学生ワーク38万9000円で87万円)。

 それを見た相談者が、教材はすべてA社製と思っていたのにワークは違う会社名だったため調べたところ、同じものが1冊1470円で販売されていた。事業者はワークを1冊2万4000円としていたため、当センターが教材会社に問い合わせると、「当社の商品は塾専用の販売で、先生が指導しながら使うことが前提の商品である。その価格は、指導者や塾が指導することで設定していると思われる」との返事であった。
 このことを事業者に伝えると、請求額を下げてきたが、相談者はまだ納得しなかった。そこでクレジット会社に事業者の回答と相談者の言い分を伝え、ワークの代金が適正な範囲内のものであるかなどの調査や、抗弁申し立てが行われた場合の速やかな対応を要請した。

 事業者は、ワークの価格は販売業者が自由に決められると反論したが、提示された価格は指導つきを前提とする価格と思われるとのコメントを教材会社から得ていること、何より相談者は販売員が指導すると言ったので契約したのであり、指導がないなら契約しなかったと言っていること、等を再度主張した。結局、既払金の放棄で解約すると連絡があり、相談者が合意した。



問題点

 このようなトラブルは、消費者が過去に契約した情報をもとに、新たな契約を迫る二次被害である。こうした消費者の個人情報は、業者による名簿屋からの購入や、業者間の名簿の売買等により流通しているものと思われる。

 補習用教材では、指導つきというので契約したのに実際は指導がなかった等の苦情が多く、解約すると、今度は教材について高額な解約料を請求され、さらなる苦情となる。セット販売のため1冊でも使用すると商品価値がなくなるといわれるためである。当センターでは、教材の単価を明確にするよう主張しているが、なかなか明示されず、適正価格かどうかの判断も難しかった。今回、メーカーの価格が判明したため、それを根拠に交渉ができた例である。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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