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[2005年4月20日:掲載]

相談者の積極的な行動で返金された家庭教師と教材の契約

 クーリング・オフの申し出をしたら速やかに返金することは事業者の義務であるが、クーリング・オフを認めても返金が実行されないという例は案外多いものである。今回は、相談者自身が積極的に行動し、返金された例を紹介する。


相談内容

 中学生の子どもの家庭教師を探していたところ、知人宅に勧誘の電話があったと聞き、事業者に問い合わせた。「詳しいことは会って説明したい」と言われ、翌日来訪してきた。

 事業者に成績のことを伝えたところ、「お子さんの場合、普通の塾や家庭教師では成績の向上は無理。この教材を使って家庭教師を頼まないと高校には合格できない」と言われ、約60万円の教材を勧められた。その場で返事を求められたが、高額なこともあり、1日待ってもらった。

 翌日、家庭教師を頼みたいと電話で申し出をし、契約は3日後に事業者が来訪して行うことになった。ところが、急に都合が悪くなり、契約日の延期を連絡したところ、「少しでも早く家庭教師の派遣をしたいので、手配だけでもしてよいか」と言われ、承諾した。

 10日後に事業者が来訪し、2年分の5教科の教材セット約60万円の契約と家庭教師の契約(入会金約2万円)をし、総額約62万円を現金で支払った。そのときに、「家庭教師については早めに手配したので、契約日を電話で承諾した日の日付にしてほしい」と言われ、指示に従った。また、その場で「教材を確認する」と言って事業者が開封し、子どもに「テキストをすぐ始めるように。家庭教師は決まっていてすぐ連絡がある」と言われ、子どもはその日のうちに指示された部分のテキストをやった。

 ところが、家庭教師からの連絡がなく、事業者に問い合わせの電話をしたが、対応が悪かった。教材も、高額な金額に見合うものには思えず、納得がいかない。不信感を持ったので解約したい。

(30歳代 女性 家事従事者)



処理概要

 国民生活センター(以下、当センター)は、相談が契約日の2日後だったためクーリング・オフをするように助言。相談者は、その日のうちに配達証明で通知を出し、電話でもその旨を事業者に伝えた。

 翌日、事業者が相談者宅に来訪し、説得をしたが、クーリング・オフする旨を強く伝えたところ、「これは訪問販売ではあるが、その子のレベルに合わせ、注文を受けてつくった教材だからクーリング・オフできない。解約には応じるが違約金を払ってもらう。違約金として、教材の使用したもの、開封して折り目・手あかがついているものはすべて負担してもらう」と言われた。

 当センターでは、相談者より契約書等を取り寄せ、さらに詳しい聞き取りを行ったところ、以下のような問題点があると思われた。

 (1) 相談者がもらった書面には、関連商品、中途解約等の記載がなく、特定商取引法(以下、特商法)上の特定継続的役務提供の法定書面が渡されていない
 (2) 家庭教師の契約書に実際に契約をした日より早い日付(電話で契約を了承した日)を記入するよう指示している(領収書はすべて契約日)
 (3) 「その子のレベルに合わせて注文を受けてつくった教材だからクーリング・オフができない」という言い方はクーリング・オフ回避に当たる
 (4) 教材を意図的に使用させ返品に応じないなど、クーリング・オフ回避の疑いがある
 (5) 「家庭教師派遣依頼申込書」の中の「本契約と別紙契約分(教材等)は無関係ですので解除できません」という記載は実態と違う。

 事業者の責任者に問題点を伝え、速やかに特商法のクーリング・オフの対応を求めたが、事業者は、クーリング・オフには応じないとし、特定継続的役務提供も認めなかった。

 その後も対応に誠意がみられず、あっせんにも応じる姿勢がまったくなかったため、当センターでは相談者に特商法60条(主務大臣に対する申出)に基づく「特定商取引法の申出制度」を助言し、併せて裁判上の支払督促の情報も伝えた。

 相談者は県の特商法担当課に申出書を提出。さらに簡易裁判所の相談窓口で支払督促について相談をし、通常訴訟を勧められ提訴した。

 約2カ月後、事業者が簡易裁判所に答弁書を提出したが、その中で相談者が主張した、

 (1) 家庭教師を依頼するのに当該教材が必要と説明されたため契約した
 (2) 事業者の指示で家庭教師派遣契約書に実際より早い日付を記載した
 (3) 事業者が教材を開封し、すぐ始めるように具体的な場所も指示した
 (4) クーリング・オフ期間中にもかかわらずクーリング・オフできないと言われた

について真っ向から反論した。しかし、当センターに対して認めなかった特定継続的役務提供については認め、教材を返品すれば返金すると約束した。

 その後2回の口頭弁論で、「契約金全額を返金すること」「商品を返品すること」で和解が成立した。

 ところが、相談者は商品を返品したものの、和解の支払期日を過ぎても事業者から入金がされなかったため、相談者は県の特商法担当課に出向いて再度申し出を行い、簡易裁判所で通常訴訟を行った経緯を伝え、和解書の提出を行った。

 支払期日を9日過ぎて、事業者から相談者の口座に全額返金された。



問題点

 クーリング・オフに応じないのは、特商法違反である。センターがあっせんし迅速な対応を求めても、この事例のようにあっせんに応じない事業者もいる。消費者基本法5条(事業者の責務等)により、事業者は消費者との間に生じた苦情を適切に処理する責務があるが、誠実に対応しない事業者に対し、相談者本人が自ら申出制度の利用や訴訟手続を活用した例である。しかも、訴訟により返金を約束したにもかかわらず守らなかった事業者に対し、さらに積極的に行動して解決に至った。このように行動を起こすことは気力・労力とも大変であり、この相談者のように行動できる消費者は多くはないと思われるが、参考として紹介する。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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