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[2004年7月22日:掲載]

集金代行業者から届いたADSL契約の代金請求

 数ヶ月前、駅前でADSLの無料キャンペーンの勧誘を受け、モデムを受け取ったが、すぐに返却した。当該プロバイダ業者から請求があったが、電話でモデムはすぐに返却したことを伝えたところ、その後請求はなかった。

 最近、夫宛てに法務大臣の許可を得た債権管理回収業者(いわゆる“サービサー”。以下「サービサー」という)から「プロバイダ業者から委託を受け、利用代金を回収代行する」旨が記載された通知が届いた。どうしたらよいか。

(30歳代 女性 給与生活者)


アドバイス

「債権管理回収業に関する特別措置法」(以下「サービサー法」という)は、不良債権の処理等の促進を目的として平成11年2月1日に施行されました。これまで弁護士法により、弁護士以外の者が債権の管理回収を行うことはできませんでした(注1)が、サービサー法の成立により、弁護士法の特例として民間業者に債権管理回収業(注2)が解禁されました。ただし、債権管理回収業を営むためには法務大臣による許可が必要であり、サービサーが管理回収できる債権の種類を「特定金銭債権」として定めています(注3)。

 同時にサービサーは業務の範囲も定められており、債権管理回収業及び一定の付随業務以外の業務を営むことはできませんが、法務大臣の承認を得れば兼業を営むことができます。

 プロバイダ料金や携帯電話料金などは「特定金銭債権」に含まれていないため、サービサーがこれらの料金を管理回収しようとする場合には、集金代行業務についての兼業承認を得た上で、プロバイダ業者や携帯電話会社より集金代行業務の委託を受けることが必要です。また、弁護士法との兼ね合いから事件性(紛争性)のある債権は回収できないことになります。

 サービサーに集金代行業務を委託している業者の多くは、消費者に一定回数の請求を行っても支払いがない場合にサービサーへ委託しているようですが、消費者に対してその旨(サービサーへ委託することや委託するサービサー名など)の説明が不十分と思われます。そのため、消費者からすると、今まで全く関係なかったサービサーから突然請求書が送付されたと感じ、不安や不信感を募らせることになります。

 この事例では、請求書を送ってきたサービサーに事情を話し、プロバイダ業者と話し合うこととなりました。



コメント&解説

 集金代行業務はサービサー以外の業種も扱っており、金融機関自動振替やコンビニ等での収納代行などが代表的です。

 しかし、近年、身に覚えのない請求がきたという架空請求に関する相談が大幅に増加しており、この中にはサービサーと同一もしくは類似の名称を用いて架空の請求書を送りつける事例もあります(注4)。このような状況を鑑みれば、サービサーに委託している業者や消費者に請求するサービサーには、集金代行をしている旨や請求している債権の内容、利用日などを明確に消費者に伝えるといった、より丁寧な説明が求められます。

 一方、消費者としては、サービサーから請求された場合、下記の点に注意することが必要です。

(1) 請求されている債権の発生原因や契約先等について十分に確認すること。
(2) サービサーの名称を用いた請求書が送付されても、全く関係のない業者からの架空請求である可能性もあるため、安易に支払うことは避けること。
 法務大臣の許可を得たサービサーの名称や所在地、電話番号などは法務省のホームページで確認できます(注5)。許可を得たサービサー名での請求であっても、心当たりがない場合は、サービサーと同じ名称を用いた架空請求の可能性もありますので、許可されたサービサーに確認してみましょう。ただし、許可を得たサービサーが、請求書面に担当者の携帯電話番号を記載するようなことはありません。なお、架空請求であった場合は支払わずに放置してください(注6)。
(3) 許可されたサービサーからの請求であっても債権について疑義がある場合は、サービサーにその旨を伝え、当該債権の発生原因となった契約先の業者とよく話し合いをすること。
 ここで紹介した事例のように、何らかの理由があって支払わない(あるいは支払う必要があると考えていなかった)消費者に対して、契約の相手方であった業者が十分な説明をしないまま、サービサーへ集金代行を委託する姿勢には、顧客対応という観点から問題であるといえます。
  1. (注1)弁護士法は、弁護士の使命や職務等を定めた法律です。同法第72条において、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱うことを禁止しており、同法第73条では、他人の権利を譲り受けてその権利の実行を業とすることを禁止しています。また、これらに違反すると2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処されます(同法第77条)。
  2. (注2)サービサー法上「債権管理回収業」とは、「弁護士又は弁護士法人以外の者が委託を受けて法律事件に関する法律事務である特定金銭債権の管理及び回収を行う営業又は他人から譲り受けて訴訟、調停、和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業をいう」とされています(同法第2条第2項)。
  3. (注3)「特定金銭債権」には、「金融機関等の有する貸付債権」「破産宣告や再生手続開始の決定、整理開始の命令等を受けた者が有する金銭債権」「求償権又は保証料債権を担保する保証契約に基づく債権」「証票等を利用する割賦購入あっせん契約に基づいて生じる金銭債権であって、1、2回払いのもの」などが列挙されています。プロバイダ料金や携帯電話料金などは含まれていませんが、これらの料金をクレジットカード等で支払っている場合などは「特定金銭債権」に含まれます。
  4. (注4)法務省もホームページで注意喚起を行っています。「債権回収会社と類似の名前をかたった業者による架空の債権の請求にご注意ください」
    http://www.moj.go.jp/KANBOU/HOUSEI/chousa19.html
  5. (注5)法務大臣の許可を得たサービサーの一覧(名称、所在地、電話番号など)を見ることができます。「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」
    http://www.moj.go.jp/KANBOU/HOUSEI/chousa15.html
  6. (注6)架空請求に対するアドバイスは、当センターホームページ(悪質な「利用した覚えのない請求」が横行しています)をご覧ください。



ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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