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[2004年8月20日:掲載]

飲み残しの炭酸飲料入りペットボトルが破裂して大けが

 国民生活センターの危害情報システムには、ペットボトルの破裂等による危害事例が報告されており、近年増加傾向にある。それらは比較的軽症の事例が多いが、本事例は治療が長期に及んだ重傷事例である。


相談内容

 開栓後飲み残した状態で置いておいた1.5L入り炭酸飲料のペットボトルが突然破裂し、ひとり暮らしの母(80歳代)の左ヒジに当たった後、天井まで飛び上がり突き刺さった。ペットボトルの強度等に問題がなかったか調べてほしい。

(50歳代 男性 給与生活者)



処理概要

 当事者からの事情聴取と現場確認のため、相談部および商品テスト部の職員が現場等へ赴くことにした。また、飲料メーカーに事故の発生を知らせ、現場等への同行を求めた。

《当事者からの聴き取り・現場の確認》

(1)事故品について

 購入時期ははっきりしなかった。開栓したのは2週間くらい前で、口飲みはせずコップに移して飲んでいた。ボトルには半分くらい飲料が残っていた。冷蔵庫での保管はしなかった(居室内は30℃を超えることはなかった)。

(2)事故のようす

 事故品を置いていた食器棚の付近で片付けをしていたところ、突然左ヒジに激痛が走り、多量の出血があった。何が起きたか分からなかったが、天井にペットボトルが突き刺さっており、破裂したペットボトルがヒジに当たり、その後天井に突き刺さったことが分かった。

(3)けがの程度

 左ヒジは複雑骨折を起こしており全身麻酔による手術を受けた。入院期間は1ヵ月以上に及ぶ見込みで、退院後もリハビリが必要である。

(4)現場の確認

 居室内の位置関係を記録した後、事故品を天井から引き抜いて目視したところ、事故品の賞味期限は事故日現在、期限切れの状態だった。また、ボトルの底が抜ける形で破損していた。

《メーカーによる原因究明結果》

(1)容器メーカーによる調査

 容器肉厚は正常であり、容器材質内に不純物その他は認められず、容器製造当日の工場稼働状況は正常であったことから、容器は正常品が出荷されたものと推定する。

(2)飲料メーカーによる調査

 製造当日の工場稼働状況および容器メーカーからボトルを受け入れた時点での目視検査は、ともに異常はなく、他にボトルが破裂したという苦情はないことから、事故品は正常品として出荷されたものと推定する。また、容器メーカーにて、同種のボトルを事故品が経時的に劣化したものと同様な一定の条件で劣化させた後、ボトルに水を詰め、圧力を加えて破壊試験を実施したところ、5.2〜7.67kg f/平方センチで、すべて事故品と同様な底割れとなった(製造直後の耐圧強度は、15〜16kg f/平方センチ)。

 この製品は糖分をはじめとした溶性固形分が12%あり、計算上可溶性固形分が酵母によって炭酸ガスに換算された場合、上記の容器耐圧結果7.67kg f/平方センチの値を容易に超えることが考えられる。

 以上の調査結果から、この製品が正常品として出荷された後、一度開封したことで大気中の酵母が混入した。夏季の常温で長期間放置されたことから発酵が進み、容器に炭酸ガスによる強い圧力が加わったことで、容器が割れるとともに、飛んだことにより事故が発生したものと推定する。

《当センターによる原因究明結果》

 破裂した事故品には、同型品には見られなかった炭素ガスを産出する酵母が存在し、酸性の炭酸飲料水中でも炭素ガスを産出することが確認された。しかし、この酵母は同型品の炭酸飲料水の中では、酵母の増殖が非常に遅く、炭素ガスの産出量はそれほど多くなく、何らかの形でこの酵母が事故の前にボトル内に紛れ込んだとしても、短期間では破裂に至るまでにならないと思われた。

 今回の破裂事故は、検出した酵母が産出した炭素ガスによる圧力上昇によるものと考えた場合、(1)初期に混入した酵母の数が非常に多かった(2)酵母の繁殖に適した温度条件下で長期間置かれた(3)ボトルが高い温度にさらされた(4)ボトルの耐圧性が衝撃やボトルの劣化などの何らかの原因により低下した、などのうち、いくつかの条件が重なって事故が起きたものと推測される。

《治療費等の負担》

 原因究明の結果、製品に欠陥があったということではなく、開栓後の取り扱いに起因していることが推察された。しかし、消費者側の誤使用ともいい切れないことから、治療等に要した費用を双方でどう負担し合うかについて、話し合いが持たれた。

 相談者は治療費、看護に要した宿泊代金・交通費などの負担を希望し、メーカーは損害賠償ではなく、「お見舞い」程度ということで考えており、隔たりがあった。

 しかし、双方ともに話し合いによる解決を望んだため、あっせんを継続したところ、相談者側が「こちらにも取り扱い上の過失があったことは否定できない。しかし、ペットボトルでけがしたことは事実であり、負担した費用の半分を持ってもらいたい。後遺症として骨髄炎の可能性があるが、高い確率で発症するということではないので、仮に今後発症しても、別途金銭的要求は行わない」と合意の条件を引き下げたことから、メーカー側が見舞金として、当初額から若干の積み上げを行い、これを支払うことで合意となった。



問題点

 事故品には、衛生面や環境問題を配慮した注意書が胴ラベルにあったが、飲み残しのボトル内に酵母が入り込み、条件によっては炭酸ガスが発生し、内圧が上昇することで破裂し、負傷する場合があることへの注意喚起が不十分と思われた。

 ボトルが破裂しないような構造が望まれるが、技術的な制約もあるので、当該メーカーに限らず、消費者への注意喚起に努力が必要である。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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