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[2004年4月20日:掲載]

キャッチセールスで契約させられたエステティックサービスと関連商品

 キャッチセールスは、学校教育の中でも例示されたり、テレビの報道番組でもひんぱんに取り上げられている。若者にはかなり知れわたっていると思われるのだが、被害はいっこうに減らない。収入の少ない若者がなぜ高額な契約をしてしまうのか。業者の巧妙な手口を紹介する。

相談内容

 休日の午後、繁華街を歩いていたら、「美容に興味はある?」「化粧品は何を使っているの?」と男性に声をかけられた。「時間があればエステのコースを体験してアンケートに答えてほしい。アンケートは雑誌の広告に使う。怪しいことはない。お金は絶対かからない。住所や名前も嫌なら書かなくていい」と言われ、少し興味もあったので店に行ってみた。

 業者のサロンで、アンケートに答え実際のコースを体験したが、施術中「今までみたことがないほど不健康だ」というようなことを言われた。

 その後、女性担当者が来て身体のチェックをした。「身体の脂肪のまわりに老廃物がたまっていて血液の流れが悪いので、むくみやすい。疲労が蓄積して肌によくない。このままの状態だとあなたが気にしているニキビは絶対に治らない。ここでお金をかけてでも悪循環を断ち切り、身体を治したほうがいい」と勧められた。「コース全体で150万円のところ、店の参考例という形にして100万円にする。効果を促進するために健康食品や化粧品、美容機器も併せて使う必要がある」と言われた。ニキビに悩んでいたので「今すぐ身体を治したほうがいい」とせかされて契約した。しかし、あまりに高額な契約で、支払えるか不安なので解約したい。

(20歳代 女性 給与生活者)

処理概要

 国民生活センター(以下、当センター)はまず相談者に、エステティック業者とクレジット会社2社に契約の経緯と解約の通知を配達記録郵便で送るように助言した。
 相談者からの聞き取りや、契約書等の資料から次のことが明らかになった。

(1)クレジット契約総額は154万円。美顔と全身のエステティック契約が約70万円(Aクレジット会社)。施術は1回だけ受けた。美容機器、化粧品、健康食品の契約が約84万円(Bクレジット会社)。美容機器は1回使用した。化粧品と健康食品の使用分の合計が11万4700円。

(2)美容機器の取扱説明書の記述について疑問があったため、薬事法の担当課に照会した。「ローラーマッサージにより循環機能は改善され、また脂肪細胞に絡みついたコラーゲン繊維が溶かされる」「脂肪の分解・代謝の改善」等の効能効果を記述するのならば薬事法に基づく医療用具としての承認・許可を取得する必要がある。しかし、この美容機器は医療用具としての承認・許可を取得してはいないのであるから問題である、との見解であった。

(3)相談者は就職して4ヶ月で、予想される年収は150万円であった。エステティックサービスの契約書には正しい年収が記載されていたが、関連商品の契約書は、女性担当者の指示で年収を240万円と虚偽の記載をさせていた。これは、特定商取引に関する法律第7条(訪問販売)及び第46条(特定継続的役務提供)に抵触するおそれがある。

 また、役務と関連商品をクレジット会社2社に分け、関連商品の契約書では役務の有無の欄に「無」と記載しており事実と異なっていた。

(4)女性担当者は、相談者の健康状態をまるで医師が診断するように説明していた。また健康食品や化粧品は効能効果をうたってはならないのに、あたかもこれを使えばニキビが治るかのように説明していた。

(5)エステティックサービス契約の概要書面の交付がなかった。

 以上の問題点を整理したうえで、当センターは信販会社に支払い停止の抗弁について問い合わせた。

 関連商品の契約をしたBクレジット会社は、直接加盟店契約をしているのは、美容機器の販売会社C社で、当該エステティック業者は取次店であり、キャッチセールスをしないという約束を交わしているとのことであった。

 エステティック業者との交渉では、まず、事実確認をした。
 エステティック業者の説明では、キャッチセールスは、原則行っていない。アンケートの謝礼に無料サービス券を渡して、後日店に予約の電話をいれてもらうシステムを採っている。今回はキャッチセールスになったが、レアケースである。

 クレジット契約を2社に分けた理由は、役務の契約が組める会社と物販の会社に分けただけだという。
 女性担当者のセールストーク等については内容をほぼ認めた。

 相談者は化粧品や健康食品を1回消費していたが、ニキビが治ると言って買わせたのならば、健康食品や化粧品に効能効果をいって売るのは問題とセンターは判断し、使用した分も含めて交渉した。

 その結果、エステティック業者は問題点を認めて無条件解約に応じた。センターは業務の改善を業者に申し入れ、改善点が提出された。

問題点

 特定商取引に関する法律では、このような問題勧誘で化粧品や健康食品等の消耗品を購入した場合でも、消費者が使用してしまった場合は買い取らなければならず、高額な商品であっても無条件解約は難しい。

 この相談ではニキビが治ると言って健康食品も売っていたが、「保健機能食品(特定保健用食品と栄養機能食品)」を除き、機能等を表示することはできない。したがって今回は、使用した消耗品も含めて解約交渉をした。

 また、エステティック業者はBクレジット会社とは直接加盟店契約を結んではいなかった。02年5月に経済産業省が「割賦購入あっせん業者における加盟店管理の強化について」で廃止するように指導した、いわゆる「枝番・子番」であった。クレジット会社に販売の実態を隠し、消費者の支払い能力を超える与信をさせるなど悪質な販売方法であったといえる。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。