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[2004年3月19日:掲載]

携帯電話で誘われて出かけた展示会で次々契約させられた絵画

 街頭で声をかけたり、電話で誘い、事務所に呼び出して長時間勧誘をした末、高額な商品を買わせる商法が増えている。また、以前契約した人を再勧誘する次々販売も増加している。今回はそうして絵画を2度も買わされてしまった典型的な例を紹介する。

相談内容

 当初、契約当事者の母親から「息子は以前にも絵を買ったことがあるのだが、その後も営業員らしい人からよく電話があるようで、最近また2枚300万円近くの絵画を購入した。しかし、専門家に見てもらったら1枚1000円位の価値しかないといわれた。だまされているとしか思えない」という相談があった。その後改めて当人から相談があり、話を聞いたところ次のような経緯がわかった。

 1回目は、02年12月、携帯電話に女性から連絡があり、絵画の展示会へ来ないかと誘われた。見るだけならと思い、出かけた。会場では「一般の人が入れない特別な場所へ行きましょう」と言われ、別の部屋へ案内されて、女性と2人きりになった。自分はどのような絵であれ買う気はない、と言ったが、「この絵は原画と言って特別な絵であり、あなたにぜひ持っていてもらいたい」と言われ、金額を下げたり“特別な”を何度も強調され、「ぜひあなたの担当にしてほしい」と女性営業員に繰り返しいわれ、約167万円の契約をしてしまった。

 その半年後、また携帯電話に連絡があり、同じく絵の展示会への誘いだった。1回目のこともあるので最初は「嫌だな」と思い断っていたのだが、何度も電話があったので、そのうち見るだけならいいか、購入は絶対断ろうと思い、出かけた。会場では前回の営業員の後輩と言う人に特別な人しか入れないという部屋に案内され、また2人きりになった。1枚の絵を紹介され、特別な絵だからぜひ買ってほしいといわれたが、買う気はないと断った。「払えないから」というと、金額を何度も下げ、「こんなすばらしい絵がこんなに安いのは信じられない。あなただから安くしたんですよ」「ぜひあなたに持っていてもらいたんです」と説得され、結局約125万円の契約をしてしまった。

 しかし、冷静になってよく考えると、自分には必要なものではないし、支払いも困難であるので解約したい。1回目の契約から1人で悩んでいたが、つい最近国民生活センターのことを知り相談してみようと思った。

(30歳代 男性 給与生活者)

処理概要

 契約後、随分日がたっていたが、相談者の解約の意思が明確なため、国民生活センター(以下当センター)は相談者に購入した経緯や納得いかない点と解約の意思を文書にしてもらい、それを業者に送ってもらった。その後、当センターから業者へ連絡をとり、解約交渉を行った。

 業者は、本人が解約を希望しているので解約には応じる。しかし、最初の契約から半年、2回目の契約からも1ヶ月程経過しており、無条件では応じられない。商品総額の1割を違約金として支払うことでどうかとの提示があった。なお、この時点で1回目の契約のクレジット支払いが契約日より8ヶ月も先になっていたため支払いは始まっておらず、2回目の契約の第1回分の引き落としがなされただけであった。また、相談者は2回とも商品の絵画については返送や受け取り拒否をしており、手元に持っていなかった。

 当センターとしては、2回分の契約を合わせて1割、という違約金の提示には疑問があった。しかし、1回目の契約からすでに6ヶ月を経過していること、1回目の契約は不本意であったと言いながら2回目も呼び出しに応じて事務所に出向いており、また、勧誘されるだろうとわかっていながらなぜ出向いたかの理由が、相談者の口からは明確にされなかったことなどから、業者の販売方法の問題点を強く突くことができなかった。そのため、業者の申し出をそのまま相談者に伝えた。

 相談者は自分にも問題があったのでこの条件で解約に応じたい、とのことであったので、21万円(既払い金:2万3800円、精算金:18万6200円)で合意解約となった。

問題点

 当該相談では相談者は1回目2回目とも全く同じ手口で契約に至っている。その部分が納得できなかったため何度か尋ねたのだが、相談者からは最後まで明確な回答を得ることができなかった。しかし、執拗な携帯電話での誘い、展示会場で別室に連れ込まれての個別勧誘など、男女間の感情を利用したいわゆるデート商法的な要素があったのではないかとの心証を得た。

 デート商法の問題点のひとつは、契約当事者が被害に遭ったと認識するまで時間がかかる点、勧誘上問題があるにしても相談者はその時点では納得して契約したように見えるケースが多いことである。

 また、今回のケースの場合、1回目の契約の商品引渡し日が、契約日から7ヶ月も先になっており、クレジット支払い開始時はさらに1ヶ月先になっていた。このことが本人および周囲には、電話をくれた女性に会ってみたくて出かけたと思えており、実は初めから販売目的であったという事実を認識させることを遅らせることとなっていたと思われる。そして、それが解約条件を不利にしていた。

 この業者は以前より同様の販売方法を行っているが、消費生活センターが解約交渉に入ると速やかに解約に応じている。そのため、根本的な問題の追及がなされないまま同様の被害が続いている状態である。

 キャッチセールスや電話勧誘で始まるデート商法そのものが禁止されていない現状では、消費生活センターを中心として、消費者への啓発をさらに積極的に行うべきであると思われる。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。