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[2004年1月19日:掲載]

走行メーターが巻き戻されていたことを知らずに購入した中古車

 2年半前、96年に初度登録された走行距離3万キロの中古車を購入した。売却のため査定を受けたら、走行メーターに巻き戻しがあると指摘された。車は返却するので、購入代金全額を返してほしい。

(20歳代 男性 給与生活者)

アドバイス

 走行メーターの巻き戻しがあった場合には、販売店がどのように関与したが問題になります。(1)販売店自らが巻き戻しを行い販売した場合 (2)販売店が自ら巻き戻しを行ってはいないが、巻き戻しが行われていることを知りながら、それを隠して販売した場合 (3)販売店は巻き戻しが行われていることを知らずに販売した場合 などが考えられますが、いずれの場合も販売店は、販売の当事者として民事上の責任を免れることはできません。

 特に(1)、(2)のケースでは、価値の低い車に高い価格を付けて売ることで、購入者から代金を騙し取ることになり、刑法の詐欺罪が成立すると考えられ、刑事上の責任も追及できます。しかし現実には、購入後かなりの日数が経過したのちに巻き戻しの事実が判明することが多く、販売店がメーターの巻き戻しを行ったことや、巻き戻しの事実を知りながらそれを隠して販売したということを立証するのが困難な場合が少なくありません。販売店に苦情を申し出ても取り合ってもらえない場合などは、まず消費生活センターに相談してみましよう。

 金銭的被害の回復を図るには、法的手段に訴えることが考えられますが、販売店が販売上の責任を認め、巻き戻しのない正規のメーターの車両価格との差額を負担するなどの解決案が提示されるような場合には、話し合いによる解決の方がより現実的と言えます。

 今回の相談のように、巻き戻しの事実を知らされないで購入したのだから、支払った金額の全額を返してほしいという要求には法的にも一理ありますが、2年半にわたり車を使用できたという利益の扱いをどう判断するかという別の法的問題が出てきます。販売店は、話し合いによる解決に前向きであったため、車を使用できた利益に関する部分の扱いについては、当事者同士で話し合ってもらうことにしました。

コメント&解説

社団法人自動車公正取引協議会は、メーターの巻き戻しや交換などによる走行距離数の不当表示は、社会的にも大きな問題であるとして、その防止策について委員会を設けて検討し、自動車販売業者に以下のような事項の遵守を呼びかけています。

1.走行メーターの改ざんは絶対に行わないこと。
2.改ざん車両は絶対に仕入れないこと。改ざんが判明した場合は、仕入先に返却すること。
3.仕入れ・入庫時には、走行メーター管理システム(※1)等を活用して改ざんの有無をチェックすること。
4.走行メーターを自社で交換した車両には、交換した旨等を明瞭に表示(※2)すること。

 走行距離数は、購入者が中古車の性能を判断する重要な情報のひとつで、メーターの巻き戻しなどの不当表示が消費者にもたらす不利益は多大なものとなります。自衛策としては、信頼のおける販売店かどうかよく確認するとともに、定期点検整備簿との照合やシートのへたり具合、ハンドルやシフトレバーなど手に直接触れる部分の磨耗状態、エンジンオイルやベルト類の交換時のラベルとの照合などを行い、不自然なところがないかチェックしてみましょう。

なお、平成16年1月以降に車検(新車登録時の新規検査以外のもの)を受けた車は、車検証に車検時の走行距離数が記載されることになりました。

(※1)
 日本オートオークション協議会が開発したシステムで、オークションに出品された中古車の走行距離のデータを蓄積し、データベースとして管理している。消費者も手数料を負担することで、走行距離をチェックできる。

(※2)
 走行メーターを交換した車両、改ざんが判明した車両には、自動車公正取引協議会作成のシールがセンターピラー(運転席側)に貼付されることになった(同協会の会員には表示義務あり)。不具合により走行メーターを交換した車両には、「交換前・後の走行キロ数」などが記入され、走行メーターが改ざんされていることが判明した車両には、「改ざんの判明した月日」が記入される。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。