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[2003年12月19日:掲載]

賃貸マンションの契約時に支払った申込金

 結婚後の新居を探すために不動産業者を訪ねた。そこで、建設中の5階建てマンションを勧められた。気に入ったが、他の物件も探したい旨を伝えたところ、「この物件は入居希望者が多い。あらかじめ部屋を押さえておく必要がある」と言われ、1ヶ月分の家賃(63,000円)を申込金として支払った。

 数日後、申込金を支払った物件の周辺環境等が気になったので、断ることにした。不動産業者に電話をしたが、「申込金は貸主の承諾後は返金できない。領収書に明記してある」と言われた。申込金を返金してほしい。

(20歳代 女性 給与生活者)


アドバイス

 賃貸借契約を申し込む際、申込金・手付金・内金・予約金などの名目で一定の金銭(預り金)を求められることがあります。契約前に借主が断ると「貸主の承諾を得ているので返金できない」などと不動産業者が説明し、預り金の返金を拒否するケースが少なからず見受けられます。

 そもそも賃貸借契約の成立には、契約の成立前に宅地建物取引業者から当該物件の重要事項についての説明を受けた上で、書面が交付されることになっています(宅地建物取引業法第35条、注1参照)。

 賃貸借契約の成立前に支払われた金銭は、名目を問わず、すべて預り金とみなされます。そのため、契約成立前に預り金を受領していた場合、その預り金は申し込み順位確保のための証拠金として授受されるにすぎず、賃貸借契約が成立するわけではありません。よって、キャンセルした場合には、業者は預り金を返金しなければなりません。

 この相談では、預り金は返金されるべき性質の金銭であることを主張した結果、全額が返金されました。



コメント&解説

 この相談のように、預り金をめぐるトラブルが絶えないため、同法第47条の2第3項の国土交通省令(注2参照)及び同法施行規則第16条の12第2項(注3参照)で「預り金の返還の拒否の禁止」を定めています。

 業者は、金銭の支払いを求めることによって消費者が簡単にキャンセルすることを防ごうと考え、申込金などの名目で預かっているものと思われます。

 このようなトラブルを防ぐためには、預り金を求める業者には注意し、どうしても預り金を支払わなければならない場合には、契約の締結に至らなかった場合には返金される旨を明記してもらうことが大切です。

(注1)宅地建物取引業法第35条
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第5号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。(以下省略)
(注2)同法第47条の2第3項
宅地建物取引業者等は、前2項に定めるもののほか、宅地建物取引業に係る契約の締結に関する行為又は申込みの撤回若しくは解除の妨げに関する行為であつて、宅地建物取引業者の相手方等の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。
(注3)同法施行規則第16条の12第2項
宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと。



ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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