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返金しないマルチ業者

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[2003年9月22日:掲載]

クーリング・オフしたにもかかわらず、
返金しないマルチ業者

 アルバイト先の知人の紹介で連鎖販売取引に参加しないかと勧誘された。知人に「夢がかなう。ビジネスには参加しなくてもいいので、人を勧誘する必要もない」と言われたので、とりあえず契約し、化粧品一式を約40万円で購入した。

 しかし、契約金額が高額だったことや、親に内緒にするように言われたことなどから不信感が募り、クーリング・オフ通知を出した。返金されるのを待っていたが、後日、弁護士名で「事業の継続が困難なため、一括で返金することができない。分割払いによる返金をしたい」との書面が届いた。すぐに返金してほしいが、どうすればよいか。

(20歳代 女性 給与生活者)

アドバイス

 いわゆるマルチ商法やネットワークビジネスと呼ばれる取引は「特定商取引に関する法律」の中で連鎖販売取引といわれ、一定の規制を受けています。同法では連鎖販売取引のほか、訪問販売や通信販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供なども規制しています。

 同法では通信販売を除き、クーリング・オフ制度が定められており、業者はクーリング・オフを受けた場合にその契約の解除に伴う損害賠償や違約金などを消費者に請求できず、商品の引き取りや原状回復に要する費用も業者の負担とされています。

 連鎖販売取引においては、同法第38条1号(※1)により連鎖販売取引についての契約の解除によって生ずる債務の履行を拒否したり、不当に遅延させた場合には指示処分(※2)の対象となりますが、どの程度の期間で返金するかは社会通念上と照らし合わせて判断することになります。

 本件の場合、業者から一方的に分割払いによる返金が伝えられていることや、業者の分割返金案に従った場合、全額返金までに3年以上を要するため、それに応じる必要はないと考えられます。これらを踏まえ、当センターから業者に連絡したところ、「この文書はあくまでもお願いである。分割払いを希望しない消費者には、一括で返金できるよう努力する」とのことでしたので、このことを相談者に伝えました。

コメント&解説

  仮に業者が破産して裁判所から破産宣告を受けた場合、破産した業者の財産の管理処分権は破産管財人に委ねられることになります。破産した業者に対して債権を有しているときは、破産した業者の残った資産を全ての債権者に公平に配当するため、債権届出をして配当を待つことになります。

 しかしながら、業者に資産が残っている例は多くないため、実際に全額が配当される可能性は低いのが現状です。“クーリング・オフがあるから”と安易な気持ちで契約せず、慎重に検討することが大切です。

(※1)特定商取引に関する法律第38条
主務大臣は、統括者が(中略)次に掲げる行為をした場合(中略)連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が害されるおそれがあると認めるときは(中略)必要な措置をとるべきことを指示することができる。
1 その連鎖販売に係る連鎖販売取引についての契約に基づく債務又はその解除によつて生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。
(2号以下省略)
(※2)指示処分
行政処分の一つ。主務大臣は連鎖販売取引の公正等が害される事態を避けるために必要な措置を取るべきことを指示することができる(改善指示)。
主務大臣は経済産業大臣であるが、経済産業省以外の省庁が連鎖販売取引の商品等を所掌している場合には、その担当大臣とともに主務大臣となる。
なお、主務大臣の権限は、同法第68条及び政令第18条1項により、都道府県知事に委任されている。

ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。