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[2003年10月20日:掲載]

クーリング・オフ後の返金が遅い映画鑑賞券

 キャッチセールスで勧誘されたが解約したいという相談は後を絶たない。
 今回は、クーリング・オフしたのに、なかなか返金されず、適正書面の交付がされなかった事例を紹介する。

相談内容

 駅前で「アンケートに答えてください」と声をかけられて、小遣いや預金はいくらかといったようなことを聞かれるままに答えた。すると、「映画の招待券を無料でもらえる特別会員になれる。事務雑費として5000円がかかるが買わないか」と勧められた。契約書のようなものに氏名、年齢、職業を書かされ、5000円支払うと、会員証と領収書をくれた。領収書には「上殿」と書かれ、会員証にも自分の名前の記載はない。不審に思いやめようと、会員証に書いてある販売店に電話をしても、映画案内のテープが流れるだけで、販売店の人と話すこともできない。クーリング・オフができないか。

(18歳 男性 給与生活者)

処理概要

 国民生活センター(以下当センター)では、相談者から領収書と会員証を送ってもらった。
 キャッチセールスで映画鑑賞券を契約したという取引は、特定商取引法(以下特商法)の適用対象であり、契約したその日の相談であったため、当センターではクーリング・オフ通知を出すように助言した。

 およそ3週間後、当センターから相談者に5000円が返金されたかどうか確認の連絡を取ったところ、相談者は、相談をした当日にクーリング・オフの通知を配達記録郵便で発信したが、返金はされていないとのことだった。相談者には、販売店へ電話で返金を求める連絡をするようにと伝えた。

 しかし、相談者は会員証に書かれている販売店の電話番号に電話をかけても映画案内の自動アナウンスが流れており、週1日午前中の2時間だけしかつながらないので、相談者も仕事の都合上、この限定された時間に連絡ができるかどうか分からないとのことだった。

 当センターでは、この窓口開設の時間制限に加え、以下のような取引に関する問題点があると考えた。

  1. 1.会員証の会則の中に、クーリング・オフについて書かれていたが、その書き方が、「クーリング・オフ制度8日以内にご返送願います」というものであり、特商法第5条に照らすとクーリング・オフの説明として十分とは言えないのではないか。
  2. 2.販売店の連絡先には、曜日と時間の指定があるが、これは特商法5条2項に基づく書面記載事項の「電話番号」とは言えないのではないか。
  3. 3.特商法第7条1項1号では、契約の解除によって生ずる債務の履行を「不当に遅延させてはならない」とされている。クーリング・オフをした後、なかなか返金がされない場合に、どのくらいの期間がたつと問題と言えるのか。

 当センターでは、特商法の所轄官庁である経済産業省に問い合わせをした。

 1.については、クーリング・オフの趣旨が伝わらないので、書面不備と言えるであろう。書面のスペースが少ない場合には、「別紙記載」等として特商法に基づくクーリング・オフの告知を記載した別紙を渡すなどの対応をすべきである。

 2.については、開設時間を限定することは望ましくはないが、連絡の取れる時間が書かれ、消費者にそれが伝わっているのであれば違法とまでは言えないのであろう。

 3.については特商法で、返還すべき金銭の調達に要する合理的期間等社会通念上認められた猶予期間の間は違反にならないとされている。具体的に何日とは判断が難しい。

という回答であった。
 その後、窓口の開設時間帯に当センターから電話をかけて相談者への対応を求めたところ、販売店の経理の都合で毎月20日締めの翌月10日払いにしているという。そのため、返金が遅くなっているが、相談者には後日現金書留で返金するという回答があった。クーリング・オフの告知については、文字の大きさ(8ポイント以上赤枠の中に赤字)や記載事項など法に合わせて書いた別紙を渡しているとのことだった。

 当センターは、違法とは言えないまでも、窓口開設時間に電話をかけても、実際は電話がなかなかつながらないこと、PIO−NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)ではクーリング・オフをしても消費生活センターが連絡を入れるまで数ヵ月たっても返金されないという苦情も少なくないことから、販売店の責任者に来所を要請した。

 しかし、販売店の責任者は、経営は自分一人でやっており、行くのは難しいという回答だったので、口頭で次の点について改善を申し入れ、検討を依頼した。

  • この相談では、クーリング・オフを説明した別紙が渡されていなかったことから、会員証や領収書とクーリング・オフの説明が一体化した書面への改善
  • 対応窓口の時間を限定せず、いつでも連絡が取れる窓口の開設
  • クーリング・オフ後の速やかな返金

 その結果、次回の書面の印刷では、クーリング・オフの説明を入れること、返金を早急にするということが約束された。開設窓口については、1回線しかないため、検討させてほしいという回答が文書で提出された。

 また、相談者には、後日現金書留で返金されたことが確認された。

問題点

 問題点は複数あった。特に、特商法に明確に違反しているということは言えなかったが、週に2時間のみしか連絡が取れないことは、顧客対応として十分とは言えない。また、クーリング・オフ後の返金についても、通常であれば数ヵ月も遅れるというのは、不当に遅延させていると考えられる。

 そのため、消費者相談を受ける立場からは、事業者の対応は問題と考えられ、改善を望みたい。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。