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[2003年9月19日:掲載]

契約書の表現が不適切なプロバイダーのパソコンリース契約

 パソコンのリース契約満了時にパソコンを返却できると思っていたが、実際にはできなかったという事例を紹介する。相談者は地元の消費生活センターに相談したが、その後当該消費生活センターより国民生活センターに相談が寄せられた経由相談である。


相談内容

 パソコンのリースとプロバイダーサービスをセットで申し込むことにより、3年間にわたりパソコンとインターネットが利用できるというサービスを、大手のプロバイダー業者(以下業者)が提供していると友人から聞いた。友人はパソコン店で当該サービスを知ったらしく、店員より「3年契約で1ヵ月3980円で利用できる。3年後はパソコンを返却することになるが、さらに3年延長の契約をするか、使用したパソコンを3万円で買い取るか、パソコンをアップグレードし、リース契約を継続するか、任意で選択できる」と聞いたようだった。興味を持ったので、パンフレットを見て再度確認したうえで、友人とともに申し込みをした。

 その際、申し込み用紙を送るだけで契約は完了し、申込書の裏面に規約などが記載されていた。

 その後、特に問題もなく利用していたが、期間満了の数ヵ月前に業者より書面が届き、次の三つのプランから選択するように記載されていた。

  1. 1)さらに3年間のリース契約を締結する。
  2. 2)使用していたパソコンを3万円で買い取る。
  3. 3)パソコンを最新機種にアップグレードし、リース契約を継続する。

 契約時に三つのプランから任意に選択できると聞いていたため、パソコンは返却もできると思い込んでいたが、リース期間満了近くになって届けられた書面を読んで、パソコンを返却することはできず、三つのプランから選択しなければならないと分かった。しかし、パソコン店で友人が聞いた説明やパンフレットの記載方法、規約の書き方などからはパソコンが返却できないとは考えていなかった。納得できないため、業者にパソコンを返却したい旨を申し出たが、「三つのプランから選択してもらうしかない」との一点張りで納得できない。

(男性 50歳代 給与生活者)



処理概要

 地元の消費生活センター(以下受付センター)では、相談者より契約時の状況等の聴き取りを行った。受付センターでは、パンフレットや契約書の記載方法が紛らわしいため、誤解を招きやすいと考えた。そこで業者に連絡し、認識をただしたが、業者は「記載方法に問題はまったくない、相談者の誤解であるため、規約どおり三つのプランから選択してもらうより他にない」とのことであった。

 業者のホームページには、当該サービスについてのページがあり、そこには「3年後に返却するプランはありません。ご注意ください」との注意書きが大きく記載されていた。このような記載が入ったのは、3年後に返却できると考えていた消費者が少なくなかったため、業者がパンフレットや規約には記載されていない注意書きをホームページ上に加えたものと思われた。

 そこで、受付センターは国民生活センター(以下当センター)に経由相談として相談した。

 当センターでも改めて状況確認および問題点を整理したところ、以下の問題点が挙げられた。

  1. (1)PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)にも同種事例があり、相談者の誤解や不注意でトラブルになったとは必ずしも言えないと思われること。
  2. (2)リース契約は「借りる」という点ではレンタル契約と同じであるが、一般の消費者にとってなじみが薄いサービスである。業者はリース契約とレンタル契約の違いなどの説明、あるいは明示をきちんと行うべきなのに、今回は説明などが不十分だったこと。
  3. (3)仮に説明や記載方法が不十分だったとしても、契約期間満了時に残債のない商品設計を行うことにより、パソコンは消費者の所有物となるため、本件のようなトラブルは防げたはずである。しかし、消費者を誘引するために月々の支払料金を安価なプランにした結果、契約期間満了時に残債のある商品となってしまった。収益のみを考え、トラブルの未然防止という観点が欠如していたと思われること。

 そこで、当センターから業者にこれらの問題点についてただしたが、業者の回答に変化はなかった。電気通信事業法第36条の4では、「総務大臣は、(中略)第1種電気通信事業者の業務の方法が適切でないため利用者の利益を阻害していると認めるとき、(中略)業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる」と規定されている。そこで、同法96条の2に基づく申し出を相談者に行ってもらい、相談を終了とした。



問題点

 先に挙げたように、一般の消費者にとってなじみの薄いリース契約の場合、レンタル契約と混同することのないように、その旨の説明あるいは明示が必要である。

 さらに、契約期間満了時に残債がないような商品設計にすれば容易に防げたトラブルである。このことは業者が消費者に視点を向けて商品開発を行っていない証拠でもある。

 さらに、受付センターおよび当センターが業者に問題点を指摘しても、記載方法に問題はないとの態度に終始一貫し、トラブル解決に尽力しないだけでなく、同種トラブルの未然・拡大防止に対策を施さないとの対応は極めて問題と考えざるを得ない。

 情報通信分野は次々に新しいサービスが登場しているが、それに伴ってトラブルも増加している。消費者の知識の差も広がり、事業者は分かりやすい説明を行うことが重要になってくると思われる。事業者は十分注意してほしい。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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