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[2003年8月20日:掲載]

手洗いもドライも不可表示の有名ブランドのコート

 今回は有名ブランドの紳士コートをクリーニングに出したところ、着用できない状態になってしまったという事例を紹介する(相談は地元の消費生活センターに寄せられ、その後、国民生活センターに経由相談となったものである)。


相談内容

 半年前にアウトレットモールで海外有名ブランドの紳士物のトレンチコートを購入した。
 1シーズン着用後、洗おうと表示を見たら、洗濯は専門店に相談せよと表示されていたのでクリーニング店に相談した。クリーニング店では、取り扱い方法の表示が家庭用品品質表示法に基づいたもので、手洗い、ドライクリーニングのいずれも不可とされていることを理由に「うちでは洗えない」と断られた。しかし、無理に頼み込んで洗ってもらったところ、裏地の接着剤がはがれて固まったうえに、異臭を放つようになり、着られなくなった。クリーニング店がブランドの日本本部に問い合わせてくれたが、洗えない旨の表示はしているので何ら問題はないとして取り合ってくれなかった。価格が高い(約8万円)うえ、短期間しか着用していないので納得できない。

(20歳代 男性)



処理概要

 地元の消費生活センター(受付センター)からは、表示等に問題はないのか調査してほしいという依頼を受けた。

 当センターが表示を確認すると、家庭用品品質表示法による取り扱い表示のほかに、右前身頃の裏地に縦9?、横7・5?大の布が張り付けてあり、取り扱い上の注意に関するかなり詳しい説明が英文で記載されていた。それによると、「ドライクリーニングをしてはいけないし洗濯機で洗ってもいけない、小さな汚れはせっけんと水で落とすことができる、有機溶剤、化学洗剤の使用を避け、せっけんを付けて軽くこするだけにするように」とあった。

 当センターが経済産業省に、家庭用品品質表示法に基づく表示が手洗い、ドライいずれも不可とされていることの是非について尋ねたところ、同法で義務付けているのは決められた内容を決められた方法で表示することであり、このような表示は同法上問題ではないとのことだった。

 クリーニングの業界団体にも問い合わせたが、同様の見解で「クリーニング店に賠償すべきとは言えないだろう。洗えないという趣旨の表示は禁止されておらず、メーカーは業法上の責任は果たしている。クリーニング店は手洗い、ドライいずれも不可の表示を見て、洗う前に日本本部に処理方法を確認すべきであった」とのことだった。

 次に受付センターがブランドの日本本部に相談内容を伝えたところ、「正規代理店では取り扱い方法全般について消費者に説明したうえで販売している。苦情品は並行輸入品がアウトレットモールで販売されているため、取り扱い等に関する説明はなかったと思う」と説明があり、当該相談について返品・返金等については対応するつもりはないとの回答だった。受付センターは、クリーニング店には預かった責任があるのではないかと考え交渉したが、対応されなかったことや、表示については法令上の問題がないこと等から、これ以上斡旋はできないと判断し相談を終了した。

 受付センターがブランドの日本本部に相談内容を伝えた際、「クリーニング店は、処理方法について当方に相談すべきであった。今後表示については業界団体と相談のうえ、検討する」との見解が示されたので、当センターから表示を含めた今後の対応についてブランドの日本本部に問い合わせたところ、当該品は在庫がごくわずかなため、商品の表示の変更は考えていない。しかし、同じ素材で次回の製品企画時には、英文で表示された内容(ドライクリーニングや有機溶剤等の使用は避け小さな汚れはせっけんと水で軽くこする程度にとどめること)と同じ内容の和文表示を付けたいという回答があった。



問題点

1.取り扱い方法の詳しい説明文(表示)が英文であったため、相談者、クリーニング店とも取り扱い方法を正確に理解していなかった。クリーニング店は一度は断ったものの結局、コートを預かったのだから表示をよく読んで、ブランドの日本本部に問い合わせる等責任を持って対応をすべきであった。

2.私たちは衣料品を購入する際、クリーニングできるかを考えて購入することはあまりないのではないだろうか。購入時に店頭でクリーニングできない旨の説明があればトラブルは防げたかもしれない。

3.衣料品の表示については家庭用品品質表示法で製造業者や販売業者に日本語による表示をするよう定められている。今回は、法令上の表示はあったものの、より詳しい説明(表示)が日本語でなく、英文であったこともトラブルの遠因であったとも言えよう。

 このコートの生地は一般に「マッキントッシュ」と呼ばれているもので、防水加工した生地で、スコットランドが発祥の地であるようだ。当地の気候は寒冷で、汗をかくことは少なく衣類を丸洗いする必要性は少ないという。日本は高温多湿の気候のためか、私たちは衣類が汚れたときやシーズンが終わったときにはクリーニングに出すことがほとんどである。衣類を自宅で洗う、あるいはクリーニングに出す前に素材をよく確認し、表示を丁寧に読んで対処法を決めること、クリーニングや丸洗い以外の汚れの落とし方はないかと考えることが大切であろう。また購入時に店頭で、表示をよく読み、店員等に取り扱い方法を確認したうえで購入するかどうかを決める慎重さが消費者に求められる。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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