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[2003年7月19日:掲載]

幼児が足の指先を切損した自転車型乗用玩具

 本事例は、2歳の男児が自転車型乗用玩具に乗り遊んでいて、ギヤ板とチェーンのかみ合い部分に左足の親指の先を挟み込み欠損するけがを負った事故で、輸入元と販売店(大手チェーンストア)に損害賠償を求めた事例である。


相談内容

 購入後初めて、次男は素足で自転車に乗り、7歳の姉が自転車を押したりしていた。次男が突然悲鳴を上げたので駆け寄ると、左足親指の先がギヤ板とチェーンのかみ合い部分によって切れて大量の血が出ていた。救急車で病院に搬送し手術を受けたが、入院には至らずに済んだ。

 事故後、夫が自転車を観察したところ、チェーンカバーは車体の外側にしかなく、内側はギヤ板とチェーンが露出した状態だった。けがをした次男は素足で遊んでいたが、それを禁じる注意表示は本体になかった。また、取扱説明書自体も添付されていなかった。近所に同じタイヤサイズの自転車があったため見比べると、その自転車には両側にチェーンカバーが取り付けてあった。このような安全対策上の違いに納得がいかず、メーカーにいろいろと尋ねてみたかったので、購入店に連絡したところ、この商品は中国製で輸入元なら分かるとのことだった。購入店は事故が発生したのであれば、詳しいことを聞きたいというので、事故について説明したところ、後日、購入店と輸入元の担当者が訪れた。その際、輸入元から当該品に関して以下のような説明がなされた。

 「この乗り物は自転車ではなく、"乗用玩具"であり、自転車の安全基準は適用されず、製造面では何ら問題がない。自転車にはブレーキがあるなど、いろいろな定義がある。当該品にはブレーキはなく、ペダルを後ろに回すと車体も後退するので三輪車のような動きをする。通常自転車なら後ろから第三者が押してもペダルは回転しないが、当該品は車輪が回転すると必ずチェーンとペダルが回転する構造になっている。また、JIS規格によれば、自転車であればサドルの最大地上高が560mm以下の幼児車については、ギヤ板の内外面にカバーを付けなくてはならないが、自転車ではない当該品には、見た目が自転車と同じでも、その義務はない。よって、補償等には応じられない」というものだった。

 幼児が遊ぶ「玩具」として安全上の配慮が欠けていたと思うし、輸入元と販売店は、その責任を負うべきだと思う。

(20歳代 女性 家事従事者)



処理概要

(1)処理経過

 次男のけがの程度を確認すると、主治医の説明は次のとおりであった。

  • 欠損した部分は完全には元に戻らない。
  • 歩行が困難になる等の影響はない。
  • つま先に力がかかる運動時等に支障が出る可能性は排除できない。

 相談者は、国民生活センター(以下当センター)に相談したことは伏せたまま、輸入元および販売店と複数回交渉を持ったが、進展はなかった。しかし、販売店が当該品を検査機関で検査したいと申し出たため、検査してもらうことになった。

 公的検査機関の検査の結果、以下のような所見が出された。
 「強度にかかわる試験項目については、SG認定基準に適合する強度を有しているが、ギヤ板内面部が保護されておらず、チェーンとのかみ合い部が露出した構造となっており危険である。当該品はJIS規格(幼児自転車)および自転車の認定基準(SG)の対象商品ではないし、それらの規格・基準には法的強制力はないものの、消費者を保護する目的からいっても、使用・形状が似た商品で横並びの規格として、引用できる項目に関しては、JIS規格、SG基準に準ずることが適正と考えられる」。

 この検査報告書の内容を受けて、輸入元および販売店は、非を認め、初めて謝罪の言葉を口にした。また、補償についても、話し合いたいとの意向が示された。

 相談者は、裁判の場での責任追及も考えたが、「簡易・迅速・費用負担なし」で紛争を解決できる当センターでのあっせんを望んだため、その意向を当センターから輸入元および販売店に伝えたところ、事業者側からも、それを望むとの回答がなされたため、当センターが正式にあっせんを行うことになった。

(2)処理結果

 当センターは、輸入元・販売店の本部に来所を求め、事情関係を確認したところ、相談者から得た情報と差異はなく、製品側の問題点を認めた上で、補償を行いたいとのことだった。

 販売店の本部によれば、当該品は1200台を仕入れ、各店舗で販売していたが、今回の事故の情報を受けて、商品を店頭から引き上げ、チェーンカバーを取り付けてから販売する措置を取った。事故前にカバーなしで販売した分についても、カバーを取り付ける対応を講じるので、店頭にその旨を知らせるポップ広告を張り出すとのことだった。

 また、示談するに当たり、輸入元・販売店の本部は、(1)治療費の実費(2)通院慰謝料(3)後遺障害に伴う遺失利益・慰謝料(4)通院看護料の名目で合計約390万円を支払うと提案し、相談者がこれを受け入れた。



問題点

 玩具であろうと自転車であろうと、幼児が使うものであれば、事故防止のための対策に手抜かりがあってはならない。事故後の対応も、事業者側の立場を押し付けるのではなく、安全対策に不備がなかったか、検証する姿勢が求められる。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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