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[2003年5月16日:掲載]
ビデオデッキを修理したら録画済みビデオテープを再生できなくなった
6年間使ったビデオデッキが故障したので修理に出し、ヘッドを交換してもらった。 修理終了後、このビデオデッキで以前録画したビデオテープを再生したが、トラッキングエラー(※1)の表示が出て再生不能となった。メーカーに申し出たところ、「数年間の使用でビデオデッキのヘッドの位置がずれることがあり、この状態のまま3倍モードで録画したテープは、正常なヘッドの位置では再生不能になることがあります。標準モードでの録画は、ヘッドのずれの影響を受けにくいので、大切な録画は標準モードで録画していただきたい」という説明だった。大切に残しておきたい録画の場合には、標準モードで録画すべきことと、その理由についても取扱説明書などに分かりやすく記載してほしいとメーカーに求めたところ、「新規出荷分から注意表示を付け加えることにしました」との報告があったが、内容がまだ不十分だと思う。
(70歳代 男性 自営業)
アドバイス
相談者がメーカーに要望して、改善されることになった取扱説明書の該当部分を確認したところ、「標準モード以外で録画されたテープを他のビデオデッキで再生するとノイズが出る場合がありますので、自己録再生(※2)することをおすすめします」との注意書が新規に付け加えられていました。この記述だけでトラブルを避けることが可能なのかも含め、技術的なことについても説明を聴くため、メーカーにセンターへ来所してもらいました。
メーカーの説明を要約すると、以下の内容でした。
- 録画の方法には標準モードと3倍モードの2種類があるが、3倍モードの場合、ヘッドによるテープ上の記録の読み書き面積(トラック幅)が標準モード(58μm)に比べ、3分の1(19μm)になる。
- 3倍モードで録画した後、ビデオデッキを長期間使用した場合、ヘッドの位置がずれることがある。このままテープを再生した場合、ヘッドとテープ上の記録部分との位置がずれることで、トラッキングエラーが発生し、再生できなくなることがある。
- また、ヘッドがずれた状態で3倍モードで録画すると、再生の際、ヘッドが同じずれた状態であれば問題なく再生できるが、ヘッドを交換したり、別のビデオデッキで再生した場合などには、やはりトラッキングエラーが発生し、再生できなくなることがある。
- 長期間保存するテープや大切な映像を残したいテープは、3倍モードではなく、ヘッドのずれの影響を受けにくい標準モードで録画してほしい。
これらの技術的な説明からすると、消費者がビデオデッキを使用するに際しては、より分かりやすい表現による表示が必要ではないかと思われました。そこで、表示における更なる工夫ができないか検討を依頼しました。
その結果、「大切な記録には標準モードをおすすめします。標準モードは3倍モードよりもヘッドによるテープ上への記録の読み書き面積が大きく、長期使用や他のビデオデッキとのテープ交換再生時でもヘッドと記録部分との位置がずれにくくなります」という注意書が新たに加わることになりました。
(※1) トラッキングとは、再生信号を取り出すためにテープ上に記録された部分(トラック)をヘッドが忠実になぞっていくこと。
(※2) 録画したビデオデッキそのもので再生すること。
コメント&解説
家庭用ビデオデッキが普及してから久しいですが、大多数の家庭では、3倍モードで録画しているのではないでしょうか。一般的に、「きれいに撮れるのは標準モード、画質は落ちても長時間録画できるのが3倍モード」といった感覚と思われます。3倍モードで録画したものが、場合により再生できなくなるという意識は薄いはずです。
再生専用のDVDプレーヤーは普及しつつありますが、録画機能を有したDVDレコーダーはまだ価格も高めで、家庭における録画機の主役はビデオデッキですので、今回の事例を参考に、大切な映像の録画をする場合には、気をつけたいものです。
なお、ヘッドにずれが発生していないかは、レンタルビデオなど他のビデオデッキで録画されたテープを再生して、ノイズが出ないか確認してみるという方法があります。
ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。




