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[2003年4月20日:掲載]

携帯吸い殻入れが破れ服が焦げた

 2002年10月から東京都千代田区では、指定地域内の路上での喫煙が条例(生活環境条例)で禁止され、11月からは2000円の過料が科される全国初の条例が施行された。

 今回は、吸い殻のポイ捨てをしないために使用されている携帯吸い殻入れによる事故を紹介する。

相談内容

 屋外で喫煙する機会が多いため、駅の売店で袋状の携帯吸い殻入れ(100円)を購入し利用していた。いつものように吸い殻入れのふたの裏側部分で火を消し、ふたを閉めたところ、袋の一部が溶け、吸い殻入れを持っていた手に熱さを感じた。慌てて振り払ったところ、火の粉が飛び、着ていたスーツの上着4ヵ所が焦げて穴が開いた。幸い、服が焦げる程度で済んだが大きな事故になる可能性がある。「灰皿」という名称からもこのような事故があっては困る。商品に問題があると思われるので調査し、メーカーに改善を要求してほしい。この商品は約1ヵ月前に購入し、1日に2回程使っていた。

(50代 男性 会社員)

処理概要

(1)事故品の調査

 当センターは、事故品の状況を調べるため、相談者から事故品を預かり、メーカーから当該商品のテスト結果を取り寄せた。

 事故品の形状は、8㎝角の小銭入れのようなものに、折り返しのふたが付いていて、スナップでとめる。外側の材質がオレフィン系フィルムシートで、内側にはアルミが使われていた。その間には断熱材が入っているが、相談者がタバコの火を押し付けて消していたふたの部分(穴の開いた)の途中までしか入っていなかった。穴の開いた部分はアルミが薄い紙状になり、一部外側のフィルムが溶けていた。

(2)メーカーの耐久テスト結果

 メーカーでは外部の試験所にテストを依頼しており、その結果は、次のようなものであった。テストは2分の1ほど吸ったタバコの吸い殻を火のついたまま商品の中に入れ、直ちに口を閉め、10秒後に取り出し消火の状況と商品の状況を確認するというものである。200本の使用で内側のフィルムの一部が薄くはがれ始め、1日5本の利用で1ヵ月程の耐久性があると判断されていた。

 なお、このテストは真空状態にして消火することを前提としている。

(3)当センターの調査

 当センターは、メーカー側のテストと相談者の使用方法に差違があると思われたため、事故品と同じ商品を入手し、相談者と同じ使用方法で調べてみた。 相談者の使用方法に従って、タバコの火をふたの内側アルミの部分に押し付けて消す作業を繰り返し行った。その結果、14〜15本目で内側材質のアルミは薄い紙状になり、24本目でふたに穴が開いた。また調査した商品も事故品と同様に断熱材は、ふたの途中までしか入っていなかった。

問題点

(1)安全上の問題

 この商品は真空状態にして消火する目的で作れられていた。しかし、実際にはタバコをふたの内側で、もみ消すことが予測されるのに、断熱材が途中までしか入っておらず断熱材の範囲が不十分であるといえる。

 メーカーのテストでは内側材質の耐久性は真空状態での消火による使用でも1ヵ月程であったが、耐久性についてその旨の表示はなかった。

(2)表示内容の問題

 この商品の名前が「○○灰皿」となっているため、灰皿のようにタバコの火をふたの内側でもみ消して使用することが多いと考えられる。しかし、事故品はふたの内側に「火元を奥まできっちりと使用後は、必ずふたを閉じてください」と書かれているだけで使用上の注意表示はなかった。

 そこで、この「火元を奥まできっちりと使用後は、必ずふたを閉じてください」という表現について、当センターの顧問弁護士に見解を求めたところ、ふた内側部分でもみ消す(押し付けて消す)という行動は喫煙者が行いやすい消火方法といえるので、この表現では不十分である。また、もみ消しはしない等の注意表示は本体に書くべきであろうとのことであった。

処理結果

 以上のような問題点を踏まえメーカーに次のことを申し入れた。

(1) 断熱材を入れる範囲を広げるなど商品の改良を要望。これに対し、メーカーからは価格や製造工程を見直し、検討するとの回答があった。

(2) 事故の未然防止のため、「もみ消しをしない」という表示や「外包や内包の破損後は絶対に使用しない」などの細かい使用上の注意表示を本体外側に表示するように要望し、表示されることになった。

(3) 商品の「灰皿」という名称から、消費者が吸い殻を押し付けて消すということがあり得ると考えられ、メーカーが想定する使用方法と実際に消費者がタバコを消す行為とに違いがあると思われることから、商品の名称の変更を要望したが難しいとの回答であった。

 なお、当該商品には「PL保険」がかけられていたが、賠償額の対象が10万円以下の場合には支払わないという免責条項が設けられていた。しかし、相談者の損害額は2万5000円で、保険の対象外であったため、メーカーから見舞金として2万5000円を支払うことが提案され、相談者が了承した。

 今回は、1件の相談をきっかけに商品の改良や注意表示の改善が行われた。当該商品は安価な商品で喫煙者に手軽に使われており、かなりの数が販売されていると思われる。価格との兼ね合いもあるとは思われるが、より安全で使いやすい商品への改善を望みたい。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。