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[2002年11月20日:掲載]
2001年6月、「訪問販売等に関する法律」が改正され「特定商取引に関する法律」(以下、特定商取引法)となり、「仕事をするために教材等を買うことが条件」という、いわゆる内職商法については、業務提供誘引販売取引として新たに規制されることになった。
今回は折り込みチラシの求人広告がきっかけで契約したが、初めの説明とは異なり、仕事がほとんど紹介されない、という事例を紹介する。
在宅で仕事ができるという新聞の折り込み広告を見つけ、業者に資料を請求した。その後、業者から電話があり説明を聞くと、約60万円もするCD-ROMを買わないと仕事ができないということが分かり、一度は断った。しかし再度、電話があり「どんなにパソコンができても自分で仕事を見つけてくるのは大変だ」、「仕事を提供してくれるところがないと在宅で仕事をするのは難しい」、「仕事をするためには投資をしなければいけない」と説明された。
「これ以上の出費はありませんね」と業者に確かめて、教材用CD-ROMを60回払い、約87万円のクレジットで購入することにした。
商品が届き勉強を始めたところ、仕事を提供してもらうためには会員にならなければならず、その会費が月約2000円かかるといわれた。もう出費はないと確認したので不満に思ったが、業者のホームページから仕事をダウンロードする際、1件ごとに300円くらいかかるが、会費を払えば好きなだけ、何回でもダウンロードできるといわれたので会員になることにした。その後、業者の試験に合格し、改めて業務委託契約を交わし、電話帳への入力作業の仕事をしたが、仕事はそれっきりなく、業者に問い合わせても要領を得ない返事だった。仕事についてはホームページから好きなだけダウンロードできるという最初の話とは違うので解約したい。
(20歳代、女性、無職)
契約までの経緯を書いて業者に送り、併せてクレジット会社に抗弁書を送付するように相談者に伝えた。そして、国民生活センターからは次のように業者に主張した。
この契約は特定商取引法の業務提供誘引販売取引になると考えられるのに、同法で定める書面を交付していない。特に、特定商取引法では、業務提供誘引販売取引のクーリング・オフ期間は20日間と定められているのに、8日間と書かれた書面が相談者に渡されている。これでは本来、消費者に交付すべき契約書類を交付したことにならないので、無条件解約してほしい。
これに対して業者は無条件解約に応じると口頭で回答したものの、実際にはなかなか返金手続きを行わなかった。
当センターが催促すると「担当部署から返事がないから」、「責任者は病気で休んでいる」と逃げるような対応に変わった。このようなケースで、販売店が倒産等で連絡がつかなくなると、無条件解約の“約束”は全く無意味になり、クレジット会社から残債務が請求される恐れがあるので、当センターは即座にクレジット会社に連絡を取り、上記の問題点に加え、業務提供誘引販売取引であればクーリングオフ期間が20日間のクレジット書面を交付すべきだと伝え、返金手続きと加盟店指導を依頼した。
クレジット会社には、すでにこの業者の苦情があり調べたところ、業者が言うように仕事を紹介できるはずがなく、問題と考え取引を停止したところであるという。そしてこの契約については既払い金の返金も行う方向であるとの回答があった。
その後クレジット会社から返金手続きが済んだと連絡があり、相談者からも抗弁書を出すまでの3カ月分の既払い金がクレジット会社から返金されたという報告があった。またクレジット会社への支払いとは別に、業者に会費(月額約2000円)として払った分も業者から返金されたことが確認されたので、相談を終了とした。
業務提供誘引販売取引に関する相談で、特定商取引法が改正されてしばらくの間、今回のケースのようにクーリング・オフ期間が訪問販売の場合と同じ、8日間の契約書面が渡されていることがほとんどであったので、当センターでは法定書面が渡されていないと見なし無条件解約を主張した。やはり業務提供誘引販売取引であればクーリング・オフは20日間と明記した書面を交付すべきである。
クレジット会社にこの点を指摘すると、業者と消費者との契約はCD-ROM等教材を使った在宅ワークであっても、業者との加盟店契約上は商品の販売となっているので、業者が業務提供誘引販売取引を行っていたとは知らなかったということが多い。クレジット会社は消費者から抗弁書等が届いたり、相談が寄せられて、業者(加盟店)の実態を知ることになるようだ。
最近の業務提供誘引販売取引に関する相談では、クーリング・オフ期間が20日間となっていて、いわゆる仕事の内容が書かれた書面(契約書面)等も用意されているケースも見受けられる。このような適正な書面が交付されているケースでは、今回の事例のように無条件解約を主張することが難しい場合もある。
消費者は「在宅で仕事」といわれて契約する場合は、「クーリングオフ期間」、「仕事の具体的な内容」、「報酬」、「仕事量等の条件」を確認し、それらが明記された書面をもらうことが必要である。何よりも仕事を始めるに当たって、商品を購入することが条件であるという契約には十分注意を払うことが重要である。
ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。