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[2002年7月18日:掲載]

ADSL回線を使ったプロバイダのいわゆる“回線握り”

 高速で常時接続が可能なインターネット通信が安価でできるというので、サービスの事業者のホームページで自宅がサービス提供地域内であることを確認の上、ADSL回線を使ったプロバイダに申込みをした。プロバイダからモデムが届いたので接続し設定もしたが、通信できない。パソコン自体には問題はないようなのでADSLプロバイダに連絡をして原因を尋ねたところ「調べる」というだけで、1回も原因についての連絡がない。このようなやりとりが3ヵ月にも及び、もうこれ以上使えない状態が続くのは困るので解約手続きをした。他社と契約したいが、解約したプロバイダが私のADSL回線を開放していないので、契約することができない。回線握り(注:ひとつの電話回線につき、ひとつのADSL事業者(A社)と契約し回線を繋ぐ工事が終わっていると、A社との解約処理・工事が終わらない限り、B社とのADSL事象者と契約できない。A社との解約処理が終わらずB社との契約ができない状態を通称、“回線握り”と呼んでいる)をやめてほしいがどうしたらよいか。

(20歳代 男性 給与生活者)


アドバイス

多くのプロバイダの場合、消費者側からの解約要請については期間を決めて「○ヵ月(○日)前までに申し出る」などと規約で取り決めていますが、その申し出に対する事務処理をプロバイダがいつまでに終えるかは定めていません。ユーザーサポートについても同様なので、「調べる」と言ったきり3ヵ月も返事が引き延ばされても、規約上は何の取り決めもないことになってしまいます。とはいえ、常識の範囲内で処理されることは絶対に必要であり、今回のような事業者の対応は問題です。

 同様のケースが続発していることを考えると、ADSLプロバイダを選ぶ際には、価格やスペックだけでなく、何らかのトラブルが起きたときの対応も考慮に入れる必要がありそうです。トラブル時の対応を事前に知ることは難しいですが、少なくとも、サポート方法(電話か、電子メールかなど)や対応時間が自分と合うかを事前に調べたり、実際に問合せをしてみてその応対の質を確かめたりすることはやっておいたほうがいいでしょう。

 今回のケースでは、相談者がこのADSLプロバイダへ抱く不信感が大きかったため、契約の継続を前提とした調査は求めず、早く解約処理を終えるようセンターからADSLプロバイダに求めました。その結果回線は開放され、ようやく他のプロバイダと契約できる状態になりました。併せて事業者に対し、事務処理フローの見直しや改善を要望しました。



コメント&解説

 一般家庭にブロードバンド通信が急速に普及しつつある背景には、ADSL業者間の競争による価格の低下やサービスの多様化があるのは確かです。しかしその反面、トラブルも多発しています。

 通常の消費者相談では事業者と消費者の間にさまざまな言い分の違いがあって争いになるものですが、本件のように、受注数に見合うだけの社内の事務処理体制を整えていないがためだけにトラブルになるというケースは、他業種ではあまりみられないものです。

 また、ADSLサービスは電話回線を使うことから電話会社との関わりも必要となり、消費者によっては、不具合が生じたときに、ADSL業者の問題なのか電話会社の問題なのかを正確に把握することができないケースもあります。本件でいうと(このケースはプロバイダの事務手続上のトラブルでしたが)、ADSL業者が電話会社へ回線開放の工事依頼をきちんとしなかったことが原因なのか、工事依頼を受けた電話会社の処理が遅いのかが、消費者にはすぐにはわからないのです。

 今回は解約時期に関するトラブルでしたが、ADSLサービスは、契約時にも、申込み時点では「そもそも自分はADSLサービスを利用できるのか」「いつからそのサービスが利用できるのか」ということすらわからないのが、慣例になっています。これらには、上記のように複数の事業者が関係していることや、ADSLの特性である回線の不安定さなど、それなりの理由はあるのですが、消費者にとってはわかりにくいものとなっています。一部の専門知識のある人だけをターゲットとするのではなく、初心者を含めた多くの消費者との契約を求めるのであれば、よりわかりやすく正確な説明義務を果たすことをADSLプロバイダにも求めたいと思います。

 各事業者間での価格競争が激化するにつれ、いろいろなタイプの事業者が参入していますが、行政による事前規制の時代ではなくなりました。利用者側も、価格や回線速度だけでなく事業者選択の基準を再検討する必要がありそうです。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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