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[2002年8月20日:掲載]

夫のカードを使用、盗難届出後に、第三者による使用分も請求された

 クレジットカードが盗まれて、第三者に不正使用されたという相談は少なくない。この事例は、盗難届出後に他人に使用された分を3ヵ月間もカード会社から請求され続けたというものである。


相談内容

 外出先で、ハンドバッグに入れておいた財布が盗まれた。財布には、クレジットカード(以下、カード)が入っていたので、気づいてすぐにカード会社と警察に盗難届を出した。カードは夫のもので、これまでも日常的に夫のカードを利用していた。

 しばらくして、犯人が逮捕されたが、カードは犯人の知人からさらに友人へと渡っており、戻ってこなかった。

 2ヵ月後にカード会社から夫あてに請求(利用明細)書が送付された。そこには、盗難後に不正使用されたガソリン代3万8000円分の請求があった。カード会社にその分の支払いはしたくないと伝えると、夫のカードを妻が携帯し、使用したことは、カードの会員規約に違反し盗難保険の適用にはならないので、支払い拒否はできないといわれた。しかも今後の不正使用分についても請求するというので、納得できない。

(30歳代 女性 給与生活者)



処理概要

 相談は、まず相談者が住む自治体の相談窓口(以下、相談窓口)に寄せられた。相談窓口から、カード会社に盗難届出後の請求を止めるよう求めたが、カード会社は請求を止めず、その後の第三者使用分も請求を続け、総額10万円にもなってしまったため、相談窓口から国民生活センター(以下、当センター)に処理依頼された。

 当センターでは、カード会社本社のお客様相談窓口に、カード会社の対応について説明を求めたところ、以下のような回答があった。

(1)夫のカードを妻が日常的に持ち歩いて利用していることが明らかである。このことはカード会員以外への貸与を禁止しているカード会員規約に違反しているので保険の適用は受けられない。したがって盗難届が出された後の利用代金も会員に請求した。

(2)この事例では、CAT(オンラインによる盗難カード等チェックシステム:Credit Authorization Terminal)が設置されていない加盟店で利用されたため、オンラインによるリアルタイムの照合ができなかった。また、利用情報は、ほぼ1ヶ月遅れで加盟店からカード会社に送られるため、その間のカード利用を止めることがシステム上できない。

 当センターでは、規約違反だけを理由に盗難届出以降の第三者による使用分をカード会員に負担させることには疑問があり、以下の問題点を伝えた。

(1)カード会員ではない妻がカードを持ち歩いて利用していたことが、規約違反であることは分かる。しかし、カード利用の実態上、夫のカードを妻が利用することがほとんど問題なくできる状況にあり、このことは、カード会社がこうしたカードの使われ方について事実上黙認していると思われる。

(2)この事例は、CAT等のように利用と同時に盗難カードがチェックできるシステムを設置していない店でカードが利用されたものである。しかし、そうした加盟店も「盗難リスト」などの印刷物等によりチェックできたはずである。このように何度も繰り返し使われたのはおかしい。また、加盟店を通じるなどのカード回収の努力もより積極的にすべきであった。

 これに対し、(2)の問題については、カード会社よりカードが第三者に使用されたガソリンスタンドの盗難カードのチェック体制は、リストも送られていなかった可能性があるとの報告があった。

 当センターも相談窓口から送付されてきたカード利用請求書の写しをチェックしたところ、カード会社が一度請求書に計上しながら後に取り消したものが複数あることが分かった。

 これについてカード会社に理由をただしたところ、センターから苦情を受けて調査した結果、伝票に書かれた署名の文字が判読できないものがあり、その分を取り消したとのことだった。

 当センターは、カード会社の判断で、伝票のサインが判読できず請求を取り消した事実があるのに、その後も同じガソリンスタンドで何回も不正に利用されていたことについて、次の問題点を伝え、再検討を依頼した。

(1)店が署名を確認するなど注意していれば、不正使用を防げたはずである。

(2)犯人が逮捕され、犯人の知人等が不正使用している状況が推測できるのにカード回収の努力をしていない。

 後日、カード会社からは、「検討したところ、本件については犯人が逮捕され、カードが第三者に使用されるまでの経緯が明確なことなどもあり、総合的に判断して、盗難届出以降の請求については放棄し、既払い分は返金する。しかし善管注意義務違反があった場合にすべてそのように対応するわけではなく、本件は個別的な対応である」との回答があった。

 この回答を相談窓口経由で相談者に伝え了承されたため、相談を終了した。



問題点

 盗難カードをチェックするシステムとして、CAT等のシステムがある。この場合、カードの盗難届が出されていれば買い物した時点で盗難カードかどうかの識別が即時にできる。

 しかし、CAT等のシステムが設置されていない加盟店(ガソリンスタンド等)の場合、紙のリストなどを一定期間ごとに配布することや人的なチェックには販売店の負担が大きく、あまり行われていないという実態がある。しかし、事例のガソリンスタンドでは盗難カードのリストの送付さえもされていない可能性があり、そうなると安全対策を放棄しているといえる問題である。

 また、署名の照合も不十分で、後で文字も判別できないものがあることが分かった。

 相談者が夫のカードを持ち歩いて利用していたことは、規約に違反する行為であり、それは問題である。しかし、夫のカードを妻が利用できる現実があることも事実である。この事例では当初カード会社が調査を十分行わず、会員外の利用だけを問題にし、盗難届出後の利用分までずっと請求したことは、対応として十分ではないといえよう。

 消費者も家族名義のカードを利用したい場合は、借りて使うことは規約上禁止されている行為であり、家族カードを作って利用すべきである。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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