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[2002年5月13日:掲載]

高齢者を狙う海外商品先物オプション取引

 「利殖の話がある」と業者から電話があった。退職者名簿で電話番号を知ったというので、警戒感を抱かず来訪を受けた。

 業者は「ペイオフ解禁を控え、銀行預金の安全性は絶対なものではない」などと説明したのち、米国市場での原油のオプション取引をしないかと持ちかけてきた。オプションという言葉の意味も理解しないまま、せっかく自宅まで来てもらったのでという親切心から、利息が付かなくても3ヶ月間なら預けてもいいと思い、契約書類に署名等をした。

 翌日業者が同行し金融機関に出かけ、定期預金を解約した。また、簡易保険も解約すれば現金化できるとその業者に言われ、合計1000万円を預けた。注文書類に署名等はしたが、具体的に注文の指示は出していない。取引を終えて最終的に手元に戻ったのは約120万円で、まさか元本の大半を失うなどとは、夢にも思わなかった。老後の蓄えのほとんどを失い、この先どうしたらいいか分からない。損失額全額を返金してほしい。

(80歳代 女性 年金生活者)


アドバイス

 勧誘時の状況や契約内容の詳細を把握するため、相談者から詳しい聴き取りを行ったところ、相談者がオプション取引の内容を理解しているとはとても思えませんでした。

 商品先物オプション取引(注)は、単なる商品先物取引と異なり損失が限定されますが、投資金額の全額を失う危険性があり、また海外市場への投資は、為替変動による影響を受け、受託業者に支払う手数料も高額なことから、極めて投機性の高い取引といえます。80歳の高齢で過去にリスクのある金融商品への投資経験のない相談者が、その仕組みを理解し、価格変動等を予測して、その判断の下に売買の指示を行うことは極めて困難だと思われました。

 相談者と業者に来所してもらい、対応を協議する場を設け話し合いを行いました。相談者は、「元本を失う危険性があると分かっていれば、お金を渡さなかった」と主張しました。センターも業者に対して以下の問題点を指摘しました。

  • 投資適合性のない者への勧誘
  • 投資リスクに対する説明不足
  • 高額な手数料のため、収益を出すためには取引でよほどの利益を上げなくてはならないことに関する説明不足

 これに対して業者は、「問題はない。取引の内容を理解したかは、アンケート用紙で確認している」として、いっさい返金には応じられないとの対応でした。

 その後センターは、この業者に対し何度も返金について検討するよう求めたところ、「見舞い金」という名目で100万円を支払うとの回答がありました。これに対してセンターは、提訴や交渉のプロである弁護士に依頼する方法もあると助言しましたが、相談者は「これ以上争うのは心身ともにとても辛いので、この条件で和解したい」と強く希望したため、相談を終了しました。

 一度業者の手に渡ったお金を取り戻すのは、困難な場合が多いのが現実です。知らない会社から勧誘の電話や来訪があっても、「自分には必要ない」ときっぱり断ることが何より大切です。しつこい場合は、ちゅうちょせず警察に通報するなり相談してください。



コメント&解説

 海外市場商品先物オプション取引は、「商品取引所法」「海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律」のいずれも適用されず、民法及び消費者契約法の規定や考え方により問題点を指摘することになりますが、業者が相対交渉の場でそれらの指摘を否定した場合は、法的手続きに移行し、裁判の場で決着を図らざるを得なくなります。

 年金で生計を立てている高齢者が、老後の蓄えの大半を同取引に投資をして、ほぼ全損したというパターンの相談が目に付くことから、国民生活センターは、同取引を「海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律」で規制するよう、同法を所管している経済産業省ならびに農林水産省に要望を行いました。

 注:オプションとは、商品などを、一定期間内に特定の価格で売買することのできる権利(選択権)のことをいう。商品市場における先物取引では、(1)商品先物取引を(2)ある価格(権利行使価格)で(3)一定期日までに(4)買い付けるまたは売り付ける「権利」を取引することになる。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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