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[2002年5月20日:掲載]
資格が取れずに多額の借金が残った内職
仕事をするために必要と称する商品や技能習得講座を契約させる内職商法は、2001年6月より特定商取引に関する法律(以下、特商法)で業務提供誘引販売として規制された。しかし、法律改正前に契約して目的を果たせずに解約を望む相談が後を絶たない。その中から解約に至った事例を紹介する。
相談内容
1998年8月、業者から「行政書士の資格を取り、家事・育児の合間をみて在宅で仕事をしないか」という電話があり資料送付を承諾した。資料には、業者のプログラムで学習して行政書士試験に合格すると、業務委託される。行政書士試験に2回不合格でも業者の社内認定試験に合格すれば補助的な業務の委託があると明記されていた。その後、業者から勧誘の電話があった。受講料が57万5000円で高いと話すと、ローンでの支払いを勧め、「行政書士の資格試験は簡単に合格できる、合格すればローンの支払い以上に収入がある。社内認定試験は誰でも合格する簡単な試験で落ちる人はいない。」などと説得され、申し込んだ。
ところが、簡単に合格するという行政書士試験の合格率は5パーセント以下だった。2回受験して不合格だったので、社内認定試験を受けたがテキストに載っていない専門的知識を必要とする出題があり結局不合格だった。2001年7月、不信感が募り業者に解約交渉をしたが、クーリング・オフ期間経過を理由に断られた。
(32歳 女性 主婦)
処理概要
(1)センターの調査
相談者が提出した、総合教育ローンの申込書は金銭消費貸借契約書であった。資金使途は「○○システム費」で契約金額は57万7000円であるが、毎月の返済額、返済回数、返済日および返済方法の項目は空欄だった。クーリング・オフの告知は「本書面を受領した日を含む8日間は無条件解除ができる」と明記されていた。別途、指導期間、社内認定試験、試験合格後の扱い、契約条件などとクーリング・オフが記載された申込書があった。以上2枚の申込日は98年8月28日だが、業者から9月3日付けで契約内容の通知が交付され、申込時に不明の支払い回数(54回)、期間、毎月支払い額、支払い総額104万2940円、教材の引渡日の記載があった。貸金業者からは9月9日付けで支払い明細が届いた。センターは相談者に支払い総額について尋ねると、貸金業者から通知が届いた時点で解約を考えたがクーリング・オフ期間を過ぎていたので諦めたという。
(特商法の所管課に問合せ)
行政書士講座を契約する動機が仕事の斡旋を受けるためとなると、かつては営業行為とされ訪問販売法の適用除外で電話勧誘販売に当たらない。今回の法改正で業務提供誘引販売として規制した。
「金銭消費貸借を利用した割賦購入斡旋」は以前から存在したが、99年の割販法の改正で明文化した。
(割賦販売法の所管課)
割販法の30条の2で交付する書面には支払総額、代金の支払分の額・支払時期・方法、商品の引渡時期等の内容を記載することを義務付けている。本件は書面不備と言えなくもないが、申込書と融資決定の明細書を合わせればわかる。割賦販売は長期間の契約になるため消費者が内容を確認するために交付を義務付けている。不備書面の場合、業者に罰則があるが契約そのものに影響するかは司法の判断による。
(2)事業者との交渉
センターは相談者に契約に至った経緯を詳しく手紙に書いて、解約の意思表示をするよう助言した。
貸金業者は相談者の抗弁を認めて請求を止めた。
販売店は、センターが交渉に入り、来所を要請すると、質問事項を文書で出すよう要求。センターは(1)勧誘時の説明について、(2)契約書の問題点、(3)業者の最近の業務内容と消費者契約法、及び特商法施行に伴う契約書等の変更の有無について回答するよう管理職名で質問状を出した。
販売店は(1)について、販売担当者が退職したため事実確認ができないが、販売時の説明不十分やオーバートークで顧客が誤認をしたことを否定しない。(2)も金銭消費貸借契約の申込時点では支払総額等詳細が確定せず、クーリング・オフの起算点が不明と他センターより指摘を受け契約成立時に改めて内容を通知した。(3)断定的判断の提供は2年以上前から禁止事項。消費者契約法第9条の損害賠償額の予定に関して、業界団体の解約損料の見直し作業中である。また、特商法との関連では現在教材の電話勧誘販売であるが、社内で業務委託制度があり業務提供誘引販売についても社内で検討中という。
本件については、契約から3年近く経過しての解約の申し入れであるが、諸般の事情を勘案して既払い金約56万円の2割を返還する条件で合意解約に至った。
問題点
(1)様々の理由で働きに出られない専業主婦に在宅で仕事ができることを強調してセールスするが実態は教材の販売である。
(2)不特定多数の消費者の資質を判別できないのに、誰でも簡単に資格が取れローンの支払いを上回る収入があると思わせて契約に誘いこんでいる。
(3)業者は金銭消費貸借契約書の不備を補う書面を契約成立時に通知しているが、消費者には支払い総額がわかった時点でクーリング・オフの告知がなく、権利行使を諦める結果になる。
(4)特商法が改正され施行まで半年の準備期間があったが、販売業者は業務提供誘引販売に対応した概要書面や契約書への切り替えが順調でなく現場では混乱がみられる。
ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。




