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[2018年7月:公表]

デート商法による投資勧誘行為の違法性を認めた事例

 本件は、結婚相手紹介サイトで知り合った女性から社債等の投資を勧誘された消費者が、その女性と業者、苦情対応を行っていた者に対して、損害賠償を求めた事例の控訴審判決である。

 裁判所は、女性の上記行為について、違法なデート商法による投資勧誘行為であると判断したうえ、苦情対応等を行っていた者に共同不法行為責任を認めた。

 苦情対応等を行っていた者の責任を認めた点、デート商法の違法性を正面から認めた点において参考になる判決である。(東京高裁平成28年4月20日判決、『消費者法ニュース』108号342ページ掲載)


事案の概要

原告・被控訴人:
X1、X2(消費者)
被告:
会社Y1(塾の運営会社)、会社Y2(人材派遣会社)、Y3(会社Y1、会社Y2の元取締役の女性)、Y4(控訴人・会社Y1の元取締役で苦情対応等を行っていた者)、Y5(会社Y2の元取締役の女性)

(1)X1(男性)は、結婚相手紹介サイトを通じてY3(女性)と知り合い、2013年5月頃から連絡を取り合うようになった。

 X1は、2013年8月頃、Y3から会社Y1ヘの投資を勧誘された。X1は、Y3に好意を持っており、投資勧誘に応じることで同人とより親密になれるかもしれないと思って契約することとした。同年9月15日には会社Y1との間の投資契約書に署名、押印をし、同月16日に出資金400万円を会社Y1の口座に振込送金した。

 X1は、2013年12月頃、Y3から「会社Y2が社債の募集をしていてその利率は会社Y1よりも良い」と言われ、Y3に好意を持っていたためその話に乗ることとし、第1回社債申込証を受け取ったうえ、同月22日に社債取得の資金として200万円を会社Y2の口座に振込送金した。

 X1は、2014年10月18日、Y3から「少しでも追加で社債を購入してもらえると私としても助かる」などと言われ、新規で0.5口(100万円)を購入すると伝え、同月25日に第2回社債申込証をY3に手渡したうえ、同月29日に社債取得の資金として100万円を会社Y2の口座に振込送金した。

(2)X2(男性)も、2013年8月に結婚相手紹介サイトを通じてY3と知り合い、同年9月1日に初めて会って以降、同人と直接会ったり、メールでやり取りしたりするようになった。

 X2は、2013年10月下旬頃、Y3から会社Y1に対する出資を勧誘されたが、Y3に好意を持っていて投資をすれば同人とさらに親密になれると思って、出資金として同月29日に150万円、同月30日に850万円を会社Y1の口座に振込送金した。

 X2は、2013年11月6日にY3と会ったところ、「会社Y2に400万円を投資して株主になってもらえないか。株主になればY3が経営する会社Y2のファミリーの一員になれる」と言われ、Y3とファミリーになりたいと思って、株式への投資に応じることとし、同月7日、株式取得の代金として400万円をY3指定の会社Y2が使用する口座に振込送金した。

 Y3は、2013年12月21日、ホテルの喫茶店でX2に対して、会社Y2の20株券4枚を手渡した。

 X2は、2014年5月頃、Y3から、「カードローンで200万円を借りて、それをそのまま会社Y2に融資してほしい」と言われ、同人から言われるままに200万円を銀行で借りて、融資金として同月25日に100万円、同月26日に100万円を会社Y2の口座に振込送金した。

(3)Y4は、会社Y2の発起人として設立にかかわるとともに、2012年6月から2013年3月末まで同社の取締役であり、2012年3月中旬から2013年3月中旬までは会社Y1の取締役であった。

 Y4は、会社Y2において、同社の労働局への届出業務や登記申請業務等を行い、また同社に対する苦情の対応を一手に引き受け、弁護士からの苦情の対応も行っていた。

 Y4は、2015年3月4日、X1に対し、「会社Y2の相談役をしているY4です。会社Y2は社長に事故があり、1月に辞任届が提出され、資金ショートなどで混乱し、社債の利払いも停止せざるを得ない状況になっております」などと記載されたメールを送信した。

 Y4は、2015年3月5日、X1に対し、「社債の償還については、お知らせしたように、現在会社には利払いをする資金もない状況です。例え裁判で支払えとの判決があっても、ない物は裁判所も取り立てられませんし、訴訟費用と弁護士費用だけの無駄払いになってしまいます。今債権者一人一人とお会いして、会社再建のご協力を依頼しています。既に50名近い債権者様から同意確約書を頂いておりますが、(以下省略)」などと記載されたメールを送信した。

(4)会社Y2は、労働局に対し、2013年6月25日に特定労働者派遣事業届出書および特定労働者派遣事業計画書を提出したが、その後は、2014年4月7日に関係派遣先派遣割合報告書を提出したのみで、労働者派遣事業報告書(年度報告)、労働者派遣事業報告書(6月1日現在の状況報告)および労働者派遣事業収支決算書はまったく提出していない。

(5)Y5(女性)は、Y3と同様の方法で、会社Y1と会社Y2(以下、両社を合わせて「会社Y2ら」)に対する投資の勧誘を行った。

 このような状況で、X1・X2 が、会社Y2らおよびY3〜Y5の共同不法行為責任を追及し、一審で認められたので、Y4が控訴した。



理由

 Y3は結婚相手紹介サイトを通じて同じ時期にX1らと知り合い、交際をほのめかしながら投資のリスクを何ら説明することなく、出資金、社債購入資金等として会社Y2に対する投資を勧誘したこと、X1らを勧誘したY3以外にも、会社Y2の取締役であったY5が同様の方法で会社Y2らに対する投資の勧誘を行っていたこと、Y3とY5による勧誘の方法は共通のものであり、両名が勧誘を行っていた時期は近接していることが認められる。これらによれば、Y3およびY5による投資の勧誘は、結婚相手紹介サイトで知り合った相手方に対して、交際する意思はないにもかかわらず、これがあるかのごとく装い、相手方の歓心を買い、実態の乏しい法人への投資案件を勧誘するという違法なデート商法による投資勧誘行為と評価され、これは会社Y2の業務の一環として行われていたものと認められる。

 また、Y4は会社Y2の発起人としてその設立にかかわるとともに、一定期間、会社Y2らの取締役を務めていたこと、同社の労働局への届出業務や登記申請業務等を行い、同社に対する苦情対応を一手に引き受けていたこと、X1に対して自ら苦情対応のメールを送信していることが認められる。これらによれば、Y4は会社Y2らが業務として違法なデート商法によって出資等の勧誘を行っていることを認識しながらこれに加担したものと認められ、Y4は民法719条により共同不法行為責任を負う。



解説

 本件は、結婚相手紹介サイトで知り合った女性から、消費者が出資、社債・株式取得等を名目に金銭を交付させられた事案である。被告は複数であるが、本判決は、業者の顧問などとして弁護士対応などを行っていたY4が一審の欠席判決に対して控訴した控訴審判決である。

 本判決は、「Y3およびY5による投資の勧誘は、結婚相手紹介サイトで知り合った相手方に対して、交際する意思はないにもかかわらず、これがあるかのごとく装い、相手方の歓心を買い、実態の乏しい法人への投資案件を勧誘するという違法なデート商法による投資勧誘行為と評価され、これは会社Y2の業務の一環として行われていたと認められる」と判示している。

 控訴審において、Y4は、「会社Y2 らの相談役として会社Y1、会社Y2の両社にはかかわっていたが、社債の募集等に関与したことはなく、Y3による行為について不法行為責任を負うことはない」と主張した。しかし、裁判所は、「Y4は、会社Y2らが業務として違法なデート商法によって出資等の勧誘を行っていることを認識しながらこれに加担したものである」として、Y4の主張を否定した。

 また、Y4は、「会社Y2は社債により調達した資金により実際にFXトレーダーとして労働者を派遣していたのであって、違法なデート商法を組織的に行っていたことはない」と主張した。しかし裁判所は、「Y4が示す証拠によっては会社Y2が実際に労働者を派遣する業務を行っていたものとまでは認められず、会社Y2が労働局に対し労働者派遣事業報告書(年度報告)、労働者派遣事業報告書(6月1日現在の状況報告)および労働者派遣事業収支決算書の提出をまったく行っていないことからすれば、同社が実際に労働者を派遣する業務を行っていたものとは認められない」とした。

 このような判断に基づき、裁判所は、X1らの請求を認容した原判決は相当であるとして、Y4による本件控訴を棄却した。X1等に対する苦情対応処理を行っていたY4の共同不法行為責任まで認めたことの意義は大きい。

 詐欺的投資勧誘において、デート商法としての違法性は正面から肯定されにくい傾向がある中で(否定例として参考判例[1]、肯定例として参考判例[2]がある)、本判決は、「違法なデート商法」であると認定しており、参考になる判決である。



参考判例

  1. [1]東京高裁平成27年5月26日判決(『判例時報』2280号69ページ)
  2. [2]東京地裁平成28年3月1日判決(LEX/DB)


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